昨年10月の会見で語る東山社長(右)

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ジャニ担はそのまま

 旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.以下SMILE社)の前社長、藤島ジュリー景子氏(58)が、グループ会社4社の会長職を退任したことが報じられた。いずれも関連会社で、「MENT RECORDING」、「ブライト・ノート・ミュージック」、「グルーヴ・ミュージックカンパニー」、「ヤング・コミュニケーション」の4社。SMILE社によると、5月末から8月1日までに辞任。自身のおじで、創業者である故ジャニー喜多川氏による性加害の被害者補償を担当するSMILE社の代表取締役にはとどまるという。

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 ジュリー氏は昨年9月7日に開いた会見で、後任を少年隊の東山紀之(57)が務めることを表明。質問者をめぐりNGリストの存在も問題となった2回目の会見は10月2日、ジュリー氏は不在だったが、社名を同17日付でSMILE社に変更することを発表した。また今年4月からは、旧ジャニーズの所属タレントのマネジメント権を、SMILE社から新会社のSTARTO ENTERTAINMENTに委譲している。

昨年10月の会見で語る東山社長(右)

「2度の会見で目立ったのは、在京スポーツ紙6紙の『ジャニ担(以下J担)』と呼ばれる担当記者たちの消極的な姿勢でした。ジャニー氏の法的・道義的責任を追及する積極的な質問も特になし。もっとも、長年にわたって代々の担当記者が様々な恩恵を受けてきたわけですから、無理のないことですが」(ベテラン芸能記者)

 去年の会見時と現在の担当記者の顔触れはほぼ変わっておらず、社名変更したものの、今でも「J担」の通名が残っているという。

「女性週刊誌やテレビ局にもJ担はいますが、スポーツ紙は付き合いの密度が段違いです。旧ジャニーズは現在、STARTO社に加え、元SMAPメンバーの稲垣吾郎(50)、草なぎ剛(50)、香取慎吾(47)のプロジェクト『新しい地図』、旧ジャニーズ元副社長の滝沢秀明氏(42)が率いる『TOBE』の3派に分かれており、それぞれに担当記者がいますが、中には2派を掛け持ちしている記者もいると聞きます。元V6の岡田准一(43)、元KAT-TUNの赤西仁(40)、元NEWSの山下智久(39)ら、個人事務所組には特に担当を置いていないようですね」(テレビ局関係者)

表舞台から姿を消した大物

 J担記者にとって現場での変化といえば、当時の副社長で旧ジャニーズの黎明(れいめい)期から半世紀にわたって広報担当をほぼ一人で担っていたS氏の退任だったという。

「S氏はまさに“スーパー広報”と言える活躍でした。旧ジャニーズ時代は週刊誌、女性誌、夕刊紙がスキャンダルや事務所に関するネタを書いていました。それに対抗するため、S氏は90年代に入ると各スポーツ紙のJ担記者の囲い込みに成功しました。たとえば 、ある週刊誌でタレントのスキャンダルが出た場合、スポーツ各紙に後追い取材をして欲しくないと判断すると、『スルーでお願い』と電話口でささやく。民放各局のワイドショーのデスクたちにも同じようにしていました。逆に好都合な記事の場合は、積極的に後追い報道を推奨することもありました」(スポーツ紙元芸能担当記者)

 その一方で、対応の必要に迫られる案件……たとえば、16年の正月明けに勃発したSMAPの解散・分裂騒動などの際は、徹底的にコントロール。ジャニー氏や、姉の故メリー喜多川氏に関わる記事は書かせないなど、情報統制が徹底していたという。

「定期的にJ担を集めた食事会を開くのですが、そこではジャニー氏に加え、東山やTOKIOの松岡昌宏(47)が同席したこともあったそうです。タレントの結婚、グループからの脱退、新グループのCDデビューといった重要な情報は、J担の記者を集めた“大本営発表”でデカデカと紙面を飾らせていました。その見返りなのか、記者たちは、高級家電製品をもらったり、誕生日には自宅に胡蝶蘭が届けられたりしました。それらをすべてS氏がやっていたので、退任後の今は何もなくなったそうです」(同)

 S氏が一番恐れていたのがメリー氏だったという。ジャニー氏やメリー氏ら、創業家一族の記事を目にすると、メリー氏は怒ってS氏にクレームを入れる。そのため、

「S氏は平穏に業務をこなすため、創業家一族の記事だけはなんとしても止めていたと言います」(同)

 S氏による統制がなくなってからの変化といえば、タレントたちの熱愛報道だ。ファンへの影響を考え、熱愛・結婚報道には細心の注意を払っていたが、それが取り払われたのである。まず、昨年末にはKing & Princeの高橋海人(25)と有村架純(31)の交際を「NEWSポストセブン」が報じ、おおみそかに「FRIDAYデジタル」が匿名で報じたのを発端に、KAT-TUN・亀梨和也(38)と、田中みな実(37)の熱愛を元旦の各スポーツ紙が報じた。

 今年に入ってからも、1月には「ポストセブン」がSexy Zone(現・timelesz)の中島健人(30)と元E-girlsの鷲尾伶菜(30)、2月にはスポニチがHey! Say! JUMPの伊野尾慧(34)とタレントの雪平莉左(30)、3月にもスポニチがSexy Zone(同)の菊池風磨(29)と元乃木坂46の白石麻衣(32)の交際を報道。各タレントのファンを落胆させた。

 熱愛だけでなく、結婚も相次いだ。1月はKinKi Kidsの堂本剛(45)がももいろクローバーZの百田夏菜子(30)と、KAT-TUNの中丸雄一(41)が元日本テレビの笹崎里菜アナ(32)と、3月にはいずれもNEWSの加藤シゲアキ(37)が一般女性と、小山慶一郎(40)がAAAの宇野実彩子(38)との結婚を発表している。今年上半期だけでも、大変な熱愛&結婚ラッシュとなったが、そんな中で耳目を集めるコメントを発表したのが、SixTONESのジェシー(28)だった。

 7月に昨年公開の映画「リボルバー・リリー」で共演した綾瀬はるか(39)との熱愛を「ポストセブン」で報じられたが、《プライベートはお任せください! 仲良くさせていただいております。ズドン》とファン心理を逆なでしかねないコメントを発表したのだ。

「かつてなら、相当な裏取りをしてそれを当てる以外、事務所と密なJ担のいるスポーツ紙が2カ月連続で熱愛を報じるなどあり得ない話でした。結婚発表にしても、前なら情報が集中しないようにうまく調整していたはずですが、タレントたちにすれば、以前のようにコソコソする必要がなくなったということでしょう。今年4月からマネジメント権を委譲した、SMILE社では、大半の所属タレントはエージェント契約を結んでいます。専属契約が基本だった旧ジャニーズ時代とは違い、メディアから問い合わせがあると、タレント本人から来たコメントを、窓口としてメディアにリリースするだけ。だから、ジェシーのようなコメントも出てしまう。S氏がいたら、こんな騒動は起きていないでしょう」(民放テレビ関係者)

 さらに先月、「文春オンライン」で女子大生との“アパ不倫密会疑惑”を報じられ活動休止状態に追い込まれた中丸だが、

「S氏がいたら、被害を最小限に食い止め、出演番組で謝罪して活動を続けていたのではないでしょうか。取材の呼び込みやPRなどはSATARTO社の広報担当が各社のJ担と連絡を取り、以前と同じように行われているものの、S氏のような“汚れ仕事”までできる人材はいないのが現状です」(同)

最も大きな変化とは……

 そして、J担の記者たちにとって、最も大きな変化があったというのが……。

「以前は、事務所に頼めば嵐以外は1公演4枚まで所属グループのコンサートチケットを定価で斡旋してもらえました。しかし、1月にある民放キー局の情報番組デスクが、ファクスでチケットを受注していたことをすっぱ抜かれたことがきっかけで、これがなくなりました」(先の記者)

 コンサートなど公演取材の前に、ジャニー氏やグループのメンバーの囲み取材を行う際、豪華な食事が出て、会場のVIPラウンジのような場所で公演を観覧できたが、それもなしに。囲み取材がない代わりに、公演終了後、メンバーたちが報道関係者を「お見送りする」ようになったという。

「よほど、旧ジャニーズタレントのファンという記者以外にはJ担のうまみはまったくありません」(先の記者)

 それでも、担当記者を置き、タレントたちの活動を伝える記事を書き続ける最大の理由がある。

「“ジャニヲタ”と言われる旧ジャニーズの熱烈なファンたちは関連グッズを熱心に収集しています。いまだに推しのグループのCDだけでなく記事が載っている雑誌やスポーツ紙などを買って収集する熱心なファンも。だから大きく扱えば、確実に売れるのです。人気グループが載った紙面はメルカリなどで転売されることもあるほど。扱いが以前と変わらないのは、こうした理由からなのです」(同前)

デイリー新潮編集部