「人として扱ってもらえない」「ただの駒」非正規の女性公務員たちの不安と嘆き
会計年度任用職員など非正規で働く公務員の待遇改善を求めている「公務非正規女性全国ネットワーク」(はむねっと)は9月11日、東京・霞が関の厚労省で会見し、2021年から継続している非正規雇用公務員を対象としたアンケート調査の結果を公表した。
調査は前年同様、仕事を辞めた人の4割が「仕事を続けたかったが、雇い止めにあった」と回答しており、最も問題だと感じることとして、6割の人が「雇用の不安定」を挙げたという。
はむねっとでは、「多くの人が将来への不安を感じている状況が続いている」と指摘、待遇の改善をうったえた。
●6割以上が年収250万円未満
今回のアンケートは、国の機関や自治体で働いている非正規雇用職員を対象に、6月1日から7月14日にかけてネットで募った(2024年3月までの在職者も含む)。有効回答は676件で、9割が女性だった。回答は、47都道府県からあり、4割が関東地方だった。
また、回答者の最終学歴は大学(54%)が最多で、続いて短大(19%)、大学院(11%)で、国が調査した女性の進学率と比較して、高い傾向があった。
回答者の74%がパートタイムの会計年度任用職員となっている。職種は学校司書(18%)、一般事務職員(17%)、図書館員(15%)など、幅広く回答があった。
調査結果によると、年間就労収入は200〜250万円が最多で、続いて150〜200万円だった。250万円未満が全体の6割以上を占めた。
今回新たに「名前以外で呼ばれたことがあるか」という設問が加えられたところ、「呼ばれたことがある」と回答した人は3割だった。「会計年度さん」「会計さん」「非常勤さん」といった呼称があげられている。
●「人として扱ってもらえない」「自治体の行く末に不安」
自由回答では、理不尽な雇い止めに対する憤りや不安、公共サービスの低下を懸念する声などが集まった。一部を抜粋して紹介する。
・使い捨て。ただの数合わせ。正規より仕事ができても、多くの仕事、重要な仕事をしても、守ってもらえない。もちろん給料も低い。次年度の雇用を打診され受けたが、4月のわずか数日前に突如雇用数が減ったので雇えないと切られた。人として扱ってもらえてない。ただの駒(30代、教員、女性)
・スクールカウンセラーはほぼ非正規雇用(会計年度任用職員)です。いじめ、不登校、自傷、心の不調などの最前線で活動していますが、来年度雇用が更新されるのか、5年(3年)で再度採用試験を受けて落ちたら無職になるという不安の中で仕事をしています。人の心に寄り添うスクールカウンセラーだからこそ、安心安定の正規雇用にするべきだと思います。教育委員会は「スクールカウンセラーを派遣して児童生徒の心のケアに」と簡単に言いますが、国も自治体も非正規雇の問題は見て見ぬふり、お互い責任をなすりつけあってます(30代、学校の相談・支援員、男性)
・有期雇用であるため、毎年更新の時期が近づくと精神的に非常に不安で、毎日びくびくしながら仕事に向かわなければならない。 更新(継続)されるかどうかが3月中旬以降なので、もしそこで更新されないとなるとその時期から次の仕事を探すことが非常に難しい(30代、博物館職員、女性)
・人の命を預かるため責任感を強く感じる。責務の重さに比べ給料の低さは改善されない(50代、保育士、女性)
・正規司書同様に生徒対応・司書業務をするにもかかわらず、職員会議に出席できない、生徒情報は共有されない、校務分掌には名前はかっこ書きなど、人として扱われていないように感じる(40代、学校司書、女性)
・上司からパワハラなどを受けても相談できるところがない。所属部署内に採用の権限があるため、問題が起こっても表面化しない(40代、一般事務職員、女性)
・問題は山積みだが、公共とは利益を出す為に行うものではない。社会の基盤、土台として必要なものであり、通貨を創出できる政府がしっかりと支出し、氷河期世代や非正規雇用公務員を正規として雇用すべきである(40代、教員、男性)
・どれだけ成果を上げてもB(普通)評価となる。これでは仕事のモチベーションは下がり、「その程度かそれ以下」の人材しか残らない。しかし、会計年度任用職員は増加方向。自治体の行く末に不安しかない(60代、学校司書、女性)