ボランチの守田が2得点。いかに日本が押し込めていたかが分かるね。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 日本代表が北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第2戦で、バーレーンと敵地で対戦。5−0で勝利した。

 森保ジャパンにとってバーレーンは勝って当たり前の相手という印象で、レベルの差が大きかったね。上田が37分に決めた先制のPK弾を含め、5得点の全てがボックス内。守備的なポジションの守田が2点を取れたことからも、いかに日本が前でプレーできて相手を押し込んでいたかが分かる。

 対するバーレーンは、なかなか攻撃できなかった。キーパーの鈴木もディフェンダーの谷口らも目立たなかったほどだ。

 懸念されていた“中東アウェー”の影響は、それほど感じられなかった。スタジアムの形状が理由で、現地の人は無料で入場できたようだけど、会場のバーレーン・ナショナルスタジアムは定員が3万5000人程度と大きくなく、スタンドの傾斜が緩いうえに陸上用トラックもありピッチとの距離もあった。上田へのレーザーポインターは酷かったけどね。

 この結果、日本は7−0で勝利した5日の中国戦とあわせ、2連勝で9月シリーズを終えた。大勝続きで話題性はありそうだけど、相手との力の差から考えると、まるでアジア2次予選のようだ。次回のワールドカップから、アジアの出場国枠が従来の“4.5”から“8.5”に拡大される。そのため、最終予選のレベルが落ちたとも言っていいだろう。

 最終予選では各グループの2位以内に入れば、その時点でワールドカップ出場を決められる。日本が入っているグループCは、サウジアラビア、オーストラリアとの三つ巴になると思われる。
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 サウジアラビアは、初戦はインドネシアと引き分けたが、今日は敵地の中国で前半に退場者を出しながら逆転勝ちした。オーストラリアは、1戦目はバーレーンに負け、今回はインドネシアと引き分けているけど、ともに内容では上回っていた。

 グループAとBを見ても、格上とされる国が上位に来ており、アジアのレベルが急に変化しているようには見えない。日本は2試合で12得点を挙げたため、得失点差で有利に立っているけど、同勝点の得失点差で勝ち抜くのではなく、明確な差をつけて予選を突破したい。目ざしているのは、ギリギリでの予選通過ではなく、ワールドカップでの勝ち上がりだからね。

 その意味で、次の10月の戦いは最初の根比べになると思う。森保ジャパンは、敵地でサウジアラビア、ホームでオーストラリアと対戦する。ここでまた連勝できれば有利になる一方、2か国ともまだ十分に逆転を狙える状況だ。

 レベルが上がる相手に対して日本は、今回のように攻撃的な3バックを採用するのか、それともオーソドックスな4バックで臨むのか、注目したいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、79歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。