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近年の物価高や不景気の影響で、「周囲の人に優しくできる<精神的なゆとり>をなかなか持てない」という方もいるのではないでしょうか。そのようななか、精神科医の和田秀樹先生は「こんな時代だからこそ、『優しさとは何か?』を改めて見つめ直す必要がある」と指摘しています。そこで今回は、和田先生の著書『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』から、毎日を前向きに過ごすためのヒントを一部ご紹介します。

【書影】精神科医が教える、毎日を明るく前向きに過ごすための考え方。和田秀樹『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』

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優しさには、相手の気持ちを優しくする効果がある

人は誰でも、心や気持ちが満たされていないと、人に優しくすることはできないものです。

マスコミが芸能人の不倫を叩いているのを見て、一緒になってバッシングをしているのは、やはり気持ちが満たされていない人たちです。

「不倫はダメ」という正論を振りかざすことで、寂しい自分を慰めようとしても、それで自分が満たされることは永遠にありません。

自分を慰めるどころか、気がつけばムダな行動をしている自分を発見して自己嫌悪に陥ることになり、不機嫌な状態が延々と続くことになります。

優しさの効果

自分が満たされていないと感じるならば、他人を攻撃して憂さ晴らしをするのではなく、意識して人に優しく接するように心がけることが大切です。

「情けは人の為ならず」という言葉の意味を思い出して、日ごろの言動を客観的に見つめ直すことが、自分の心を満たすことにつながります。

優しさには、相手の気持ちを優しくする効果もあります。

親が認知症になって介護をしている人に対して、私たち精神科医は、「叱るよりも、優しくしてあげた方がトラブルは少ないですよ」とアドバイスしています。

どんなに怒りっぽくなったとしても、優しい言葉をかけてあげると、少なからず穏やかな気持ちになってくれます。

人に優しくすることは、自分のためだけではなく、相手のためでもあるのです。

優しさのキャッチボール

ムリな我慢をせずに、「人に優しく、自分にも優しく」を心がければ、自分の気持ちが満たされて、もっと人に優しくすることができます。


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日常的に周囲の人たちと優しさのキャッチボールをしていけば、毎日を前向きな気持ちで過ごすことができます。

そうした繰り返しが、自分の人生を楽しいものにしてくれるのです。

※本稿は、『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。