片づかない家にある「大量の消耗品」。家はスーパーでない、たりないものがあっていい
家事に育児に追われて、片づけたいけど手が回らないと悩むことも。整理収納アドバイザーとして、数多くの散らかった家の片づけ指導を行うおまいさんは、2児の母で単身赴任家庭だから、常にワンオペ。昔は家事に育児に仕事で毎日クタクタだったそう。そんなおまいさんが思いきってやめてラクになったことは、「消耗品のストック」。暮らしがラクになるストックの持ち方について聞きました。
ストックがあればあるほど便利?
突然ですが、家にストック品はどのくらいありますか?
じつは、家が片づかないとご相談をされてくる方は共通して、ストック品を大量に持ってらっしゃるんです。うん、わかりますよ、ストックしておかないと、なくなるたびにいちいち買いに行かないといけないのだから、家にストックがあると便利ですよね!
でも、自分を助けるためにしているはずのストックには、「便利」から「不便」に変わる境界線があるのはご存じですか?
便利から不便に変わる境界線がある
かくいう私も昔はストックがあればあるほど、自分をラクにしてくれると思っていました。パントリーがある家に住める人はラッキーで、そうじゃない人はアンラッキー。一点の曇りもなくそう思っていましたし、せっせと缶詰・調味料・レトルト食品・乾麺等の食品ストックを管理していました。突然ストックが切れることがないように、その都度わざわざ買い物に行かなくてもいいように…。
もちろん一定数までは、ストックは自分をラクにしてくれます。でも、ある境界線を越えるとラクにするつもりが「いつも万全の状態にしておく」という家事に変わってしまうんです。
さらには、家族も万全の状態が当たり前だと思うようになってくるんですよね。でもいつも家族にとって万全の状態であるようにストックを管理するって、ものすごく大変じゃないですか。なにがどのタイミングでなくなるか? どのタイミングでいくつ必要になるのか? を思案し、ストックしたものたちを賞味期限がきれないように管理する。ものすごく頭を使うんですよね。
ラクにしてくれるはずのストックがストレスの原因に
にもかかわらず、家族はその大変さも知らず、ただただ万全の状態が当たり前と思い込む。万全の状態が当たり前なのだから、なにかたりないものがあったときに不満を感じる。
さらには自分も万全の状態が慣れていると、必要なものが家にないって事態になったときに「あぁ…買い忘れていた…失敗した」と気分が落ち込む。賞味期限をきらせてしまったり、重複して同じものを買ってきては、「あぁまた無駄遣いしてしまった…なんでこんな当たり前のこともできないんだろう」と自己嫌悪に陥る。
家はスーパーでないのだから、たりないものがあって当たり前だし、母親ってほかにもたくさんのことに気をまわしているから、たくさんの在庫を完璧に把握するなんて、できなくて当たり前なのに…。
なんでもかんでもストックしない
そうすると、自分をラクにするつもりのストックが、結果として自分を苦しめるんですよね。そう気づいてからは、なんでもかんでもストックすることやめました。
サラダ油は、揚げ物をするときにたりなくなることが多いので必ず1本ストックするなど、日々の自分の行動を観察して、「これはあったほうがいいな」「これはなくなったらそのとき買えばいいか」と、本当に便利にしてくれるものだけストックするように。
家族も材料が家にあることが当たり前だと思っていないので、「お昼はそうめんがいい! 買ってこようか?」など、声をかけてくれます。
境界線は人それぞれ違う
ただ、誤解してほしくないのは、「日本の全母親たちよ! ストックをやめましょう!」なんて1mmも思っていません。お留守番ができないご年齢のお子さんがいらっしゃる方と、そうでない方は、外出するときの負担が天と地ほど違います。家からスーパーまでの距離だって、人それぞれ違います。
大事なことは、「ストックがあればあるほど便利というわけではない」ということを知っていること。便利から不便に変わる境界線が必ずあります。自分にとってその境界線はどこにあるのかを、しっかりと見極めてくださいね。