創設者兼CEOのパーヴェル・ドゥーロフ氏がフランスで逮捕されたメッセージングアプリのTelegramが、同氏の逮捕後に「プライベートチャットはモデレートしない」という文言を公式サイト上からひっそりと削除していたことが明らかになりました。

Telegram changes its tone on moderating private chats after CEO’s arrest - The Verge

https://www.theverge.com/2024/9/5/24237254/telegram-pavel-durov-arrest-private-chats-moderation-policy-change



プライバシーを重視したメッセージンングアプリであることをアピールしてきたTelegramですが、現地時間の2024年8月24日(土)20時頃に創設者でありCEOでもあるドゥーロフ氏が、フランスの警察組織のひとつである国家憲兵隊に逮捕されました。ドゥーロフ氏には、フランスの捜査機関のひとつで児童性搾取に焦点を当てたOFMINが行った予備捜査に基づいた逮捕状が出ていた模様。

メッセージアプリ「Telegram」の創設者兼CEOのパーヴェル・ドゥーロフがフランスで逮捕されたとの報道 - GIGAZINE



その後、ドゥーロフ氏は「児童虐待画像の拡散」「麻薬の密売」「法執行機関の要請に対する不服従」などの罪で起訴されています。

逮捕されたTelegramのCEOが「児童虐待画像の拡散」「麻薬の密売」など12の罪で起訴される - GIGAZINE



ドゥーロフ氏が逮捕される以前、Telegramの公式サイト上にあるFAQの「Telegramには違法コンテンツがあります。削除するにはどうすればいいですか?」という項目には、「すべてのTelegramチャットとグループチャットは参加者間でのみ利用できるチャットであり、その他には非公開となっています。そのため、当社がこれらのチャットに関連する削除リクエストを処理することはありません」と記されていました。これはインターネットアーカイブのWayback Machineで過去の記載を見直せばわかります。

しかし、記事作成時点では同項目から「削除リクエストを処理することはない」という記述が削除され、代わりに「すべてのTelegramアプリには『報告』ボタンがあり、数回タップするだけで違法コンテンツをモデレーターに報告できます」と書き直されています。

Telegram FAQ

https://telegram.org/faq



FAQ上の記述を変更した理由について、テクノロジーメディアのThe VergeがTelegramに問い合わせたところ、同社の広報担当者であるレミ・ヴォーン氏からは「プライベートチャット(個人が利用するチャットおよびグループチャット)はプライベートなままです。ただし、『報告』ボタンを使って新しいチャットの着信をモデレーターに報告することがいつでも可能です。Telegramのオープンソースコードは誰でもチェックでき、変更がなかったことが分かります」という回答が得られたそうです。ヴォーン氏はソースコードに変更はないと語っており、ソフトウェア上の変更はないと主張しています。

なお、ドゥーロフ氏が国家憲兵隊に逮捕された直後、Telegramは「隠すものは何もない」という声明を発表し、自社の潔白を主張していました。

しかし、現地時間の2024年9月6日に国家憲兵隊に逮捕されてから初めてドゥーロフ氏が公式声明を発表しており、Telegram上でのコンテンツモデレーションを強化することを約束しています。ドゥーロフ氏は「Telegramのユーザー数が9億5000万人に急増したことで、犯罪者がプラットフォームを悪用しやすい状況が生まれてしまいました」「そのため、この点を大幅に改善することを個人的な目標にしました。社内ではすでにそのプロセスを開始しており、進捗状況の詳細は近日中にお知らせします」と語り、コンテンツモデレーションの改善に取り組むと約束しました。





なお、TelegramのFAQの記述が変更されたのはドゥーロフ氏が公式声明を発表してから24時間以内に行われており、ドゥーロフ氏の意向でTelegramの方針が大きく転換したものと推察できます。