ソーラーパネルを含む大規模な太陽光発電施設の建設が進む昨今、施設周辺に生い茂る雑草の処理が処理がひとつの課題となっています。人の手を借りるよりも安価に雑草を処理する方法として、草を食べる羊の需要が高まりつつあるといいます。

6,000 sheep will soon be grazing on 10,000 acres of… | Canary Media

https://www.canarymedia.com/articles/solar/6-000-sheep-will-soon-be-grazing-on-10-00-acres-of-texas-solar-fields

Enel announces largest U.S. solar grazing contract

https://www.enelnorthamerica.com/about-us/newsroom/search-press/press/2024/08/solar-grazing

ソーラーパネルの多くは、屋根の上や、原子力発電所跡地のような他の用途に使えない汚染された土地に建設されますが、将来的に脱炭素社会を目指す地域では農地を使わずに太陽光発電の需要を満たすことは不可能で、一部地域では農地に施設を建設するところも増えているそうです。

農地に太陽光発電施設を建設した場合、環境に配慮して牧草等はそのままにしておくことが多いそうですが、定期的に雑草を刈らないとソーラーパネルが日陰になって発電効率が落ちてしまいます。しかし、生い茂る牧草を機械などで処理しようとすると石やゴミが舞い上がってパネルを壊す可能性があるため、環境に配慮しつつ、安価に除草する手段が模索されています。そこで注目されているのが羊を使った除草です。



テキサス・ソーラー・シープ社のJR・ハワード氏は太陽光発電施設に羊を貸し出す事業を営む人物の一人です。ビジネスを始めた当初は400頭の羊しか飼っていませんでしたが、3年間で1万頭以上の羊を飼育するにまで成長し、各地の太陽光発電所に羊を派遣しているといいます。

羊はパネルの下の隅々まで入り込むことができ、細かいところの除草も問題なくこなせるほか、排せつ物が天然の肥料にもなるという利点があります。羊側にも「ソーラーパネルが日陰になる」というメリットがあり、ハワード氏いわく広場で放牧されているときほど水を必要としないそうです。さらにハワード氏は、飼育した羊を食肉用に提供するというビジネスも行っているとのことです。



ハワード氏が次に6000頭の羊を貸し出すというエネル社の太陽光発電施設は、テキサス州だけで8箇所あり、土地面積を合計するとマンハッタンのほぼ75%に相当する広大な土地になるそうです。エネルによると、以前に羊による除草を試したところ、土壌の質が向上し、在来植物やミツバチなどの昆虫の生物多様性を増加させ、土壌浸食を軽減するという結果が得られたため、持続可能性という軸を太陽光発電プロジェクトに組み込む上で羊の重要性に目を向けたといいます。

ハワード氏は「太陽光発電施設における除草需要の高まりは、羊産業にとって最大のチャンスです。いつの日か羊の群れの一部を売却して、他の農家が太陽光発電施設用の羊ビジネスを始める手助けをしたいと願っています。それが本当の目標です」と語りました。