ジャクソン・ホリデー(左)、ドリュー・ジョーンズ(右)(写真=GettyImages)

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◆ もがき続けるサラブレッド

 メジャーリーグのレギュラーシーズンは残り約3週間。各地区の優勝争いはこれから佳境を迎える。

 両リーグの全6地区で最も熾烈な争いとなっているのは、ア・リーグの東地区だ。81勝60敗で首位に立つオリオールズをヤンキースが0.5ゲーム差で追いかけているが、最後まで一進一退の攻防になる雰囲気が漂う。

 僅差で首位に立つオリオールズは、遊撃手ガナー・ヘンダーソンや、捕手アドリー・ラッチマンなど若手がチームの中心。そんな中、目が離せない存在といえるのが20歳にして正二塁手としての起用が続くジャクソン・ホリデーである。

 メジャー通算316本塁打を放ったマット・ホリデーを父に持つジャクソンは、2022年のドラフトで全体1位指名を受けた逸材だ。ドラフトから2年も経たない今年4月にメジャーデビューを飾ったが、10試合で放った安打は僅か2本。打率.059と低迷し、メジャー定着には至らなかった。

 しかし、その後は3Aで結果を残し、7月末にメジャー再昇格。今季の打率はいまだ.179と低空飛行が続くが、再昇格後は33試合で5本塁打をマークするなど、徐々にその才能を開花させようとしている。

 怖いもの知らずの20歳の若者だけに、ポストシーズンではチームのカギを握る存在になるかもしれない。

 そんなホリデーとは対照的にマイナーリーグでもがき続けている“同期のサラブレッド”がいる。

 22年ドラフトでホリデーの直後となる全体2位でダイヤモンドバックスから指名を受けたドリュー・ジョーンズだ。

 ドリューの父は、メジャー通算434本塁打を誇るアンドリュー・ジョーンズ。パワフルな打撃だけでなく、広い守備範囲と強肩で魅せた2000年代を代表する外野手は、2013〜14年に楽天でもプレーした。

 父と同じくセンターを守る右投げ右打ちのドリュー・ジョーンズだが、今のところ父のような“早熟性”を見せられていない。

 父は1996年に19歳でメジャーデビューを果たすと、2か月後のワールドシリーズにも出場。本塁打を放つなどセンセーショナルな活躍を見せた。息子にその父の姿を重ね合わせたファンもいたはずだ。

 ところがドリュー・ジョーンズはプロ入り後の最初の打撃練習で左肩を負傷。手術を要する重傷で、プロデビューは翌年に持ち越しとなってしまった。

 ドリューにとって実質1年目の昨季はルーキーリーグとシングルAバイサリアで計41試合に出場。負傷の影響もあったのか、打率.238、2本塁打と精彩を欠いた。

 そして迎えた今季は、開幕から引き続きシングルAバイサリアでプレー。ここまで107試合に出場し、打率.272、5本塁打、20盗塁とまずまずの成績を残している。

 同期のライバル・ホリデーには大きく水を開けられた形だが、父から受け継いだポテンシャルは間違いなくメジャーリーグレベルのそれ。まだ、ハイA(A+)、2A、3Aとメジャーに到達するまでに3つのハードルを越えなければいけないが、いずれその時は来るだろう。

 果たしてそれがいつになるのか。今後のドリュー・ジョーンズの巻き返しに期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)