大手アパレルチェーンのフットロッカー(Foot Locker)は3月、ビジネスの合理化と成長をめざして進められている「レースアップ(Lace Up)」計画の一環として、今年中にモバイルアプリとリワードプログラムを刷新し、再ローンチさせると発表した。6月末、同社は新たに再設計された「FLXリワード(FLX Rewards)プログラム」を発表し、今年後半にローンチされる新しいモバイルアプリの詳細について米グロッシーに語った。

フットロッカーの最高顧客責任者であるキム・ウォルドマン氏によると新しいFLXリワードプログラムとアプリはどちらも、同社のオンラインとオフライン販売の連携を強化させることと顧客が限定商品にアクセスしやすくなるようにすることの2点に注力しているという。

「当社の行動はすべて、顧客との対話に基づいている。そこでアンケートを通じて、顧客が何を望んでいるかを尋ねた。その結果、商品へのアクセスのしやすさの向上、人気商品を入手できるチャンスの増大、忠実な顧客に与えられる特典の強化が望まれていることがわかった」。

ポイントを利用して人気商品の入手可能性を高める



フットロッカーが現在取り組んでいる方法のひとつが、顧客がリワードポイントを使うことで限定商品やその獲得チャンスをさらに増やせるようにするという方法だ。まず限定商品の発売日が近づくとユーザーはFLXリワードアプリにログインし、エントリーして抽選に参加する。そして持っているロイヤルティポイントを「エクストラブースト(Xtra Boosts)」に使うと、当選確率を高めることができるという仕組みである。これまでそのポイントは、キャッシュバックや次回の商品購入時の割引に活用されていた。

顧客がブーストに使用できるポイント数に制限はない。しかし顧客がいつポイントを使うべきかを判断できるよう、同社はモバイルアプリに各商品がどれだけ人気か、つまり入手困難かを大まかに示す「ヒートモニター(Heat Monitor)」を導入するという。ロイヤルティプログラムのそのほかの新しい特典には、既存の送料無料に加えて返品送料の無料も加わった。

ウォルドマン氏によると商品の人気を判断する正確なプロセスは、その商品の予約注文数や、以前に発売されたことのある商品であれば過去の実績などの要素を考慮に入れた独自のモデルだという。また、ブランドから提供される商品の在庫状況や今後の発売予定などの情報も反映される。これは競争率が低く、入手できる可能性の高い商品のために顧客がポイントを使い切ってしまうことを防ぐための対策だ。

オンラインとオフラインの連携により、オンライン販売を強化



アプリ再設計のもうひとつの主な目的は、店舗とオンライン販売の統合にある。アプリの新たな「ストアモード(Store Mode)」では、たとえば顧客が店舗で商品をスキャンして、各サイズの在庫を確認できるようになる。この機能は来年初めに導入される予定だ。

ウォルドマン氏は、フットロッカー店舗の店員たちがこのリワードプログラム推進のカギを握るだろうと話した。彼らはフットロッカーの売上の大半を占める店舗において、利用可能な特典について顧客に説明して登録を促すよう指示されている。

フットロッカーはオンライン販売の収益に占める割合を増やそうとしている。同社の全売上高の17%を占めていたオンライン販売は前四半期に20%近くにまで増加した。同社の前四半期売上高は23億ドル(約3700億円)で、その前の四半期から2%増加している。

この新たなFLXリワードプログラムは、今年初めにカナダで試験導入された。その結果、会員のエンゲージメントや平均注文額、来店頻度が向上したという。全体として、前四半期の同社売上の20%以上がロイヤルティ会員によるものだった。フットロッカーは2026年までに顧客のプログラム登録率を50%に到達させ、最終的には登録率70%を目標としている。

「当社の強化されたFLXリワードプログラムは、スニーカー愛好家に快適なショッピング体験を提供するための重要な一歩だ」とフットロッカーのCEOであるメアリー・ディロン氏は言い、このプログラムによって顧客との関係と同社オムニチャネルサービスが強化されることを期待していると付け加えた。

[原文:Foot Locker’s new loyalty program prioritizes product access, omnichannel]

DANNY PARISI(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:都築成果)