佐々木:天候不良などで欠航する場合もありますが、7割ぐらいは出ているんじゃないかなと。1年間トータルで7割という感じで、8月とか夏の時期は就航率が100%だったりもするんです。逆に欠航が多いのは1月や2月ですね。ヘリコプターの場合も、霧がかかったりすると降りられなくなることも結構ありますね。梅雨の時期なんかもそうですし。

◆ヘリコプターと船、どちらで来る人が多いのか

――八丈島からヘリコプターだと約20分、船だと約3時間と所要時間が違いますが、やはりヘリコプターを利用する方が多いですか?

佐々木:そうですね。皆さん普段はお仕事をされていると思いますし、「どうしてもこの日に行かなきゃいけない」という方はヘリコプターに乗って、逆にある程度融通がきく方は「明日は天気が良さそうだから、船で行こう」と船を選んだり。青ヶ島に来られるような方は、けっこう離島に行った経験が多かったり、旅慣れしている方が多い印象ですね。

――青ヶ島は、島全体が「二重カルデラ」(高さ250mの断崖で囲まれ、外輪山と内輪山のある二重の火山島)という独特の地形ですが、そのことが旅行者の好奇心をくすぐる?

佐々木:やっぱりインパクトがあるんで。何があるからっていうよりも、「青ヶ島にたどり着いた時点で完結」みたいな感覚なんじゃないですか。たどり着くのが難しいからこそ着いただけで満足、みたいに思ってもらえているのかなと。

◆物々交換で野菜や魚をもらえることも

――青ヶ島には「ひんぎゃ」(“火の際”が語源とされる青ヶ島の言葉)という地熱蒸気が噴き出す穴が多数あり、地熱を利用した窯は自由に利用できるみたいですね。

佐々木:干物でも野菜でも色々な食材を蒸せますし、水蒸気がもくもく出ているので、青ヶ島が火山島であることが実感できると思いますよ。卵を蒸すのがおいしくておすすめです。ゴールデンウィークとか夏休みとかはキャンプで来られる方が多いですね。

――食材を買える場所は?

佐々木:肉や野菜、日用品などが置いてある商店が一軒あるのでそこで買うか、Amazonなどの通販で買います。今はネットで色々なものが買えるのでそんなに困ることはないですね。あと、野菜などを自分で作っている方もいますし、何かを手伝ったりしたら魚をもらえるとか……物々交換じゃないですけどそういうこともあったりします。

◆120世帯の家を“覚えて”配達

――青ヶ島全域が「無番地」ですよね。荷物はどのように届けているのですか?

佐々木:お名前やお顔、家の場所を覚えなきゃいけないっていうのはありますね。でも、そんなに世帯数がないので……120世帯ぐらいじゃないですか。

――佐々木さんは配送のお仕事もされていますしね。そのほかにも民宿のお手伝い、コワーキングスペース「NYAYA」の運営、グラフィックデザインもされていて、尚且つYouTubeも投稿。毎日忙しいですよね?

佐々木:それらの仕事が全部毎日あるわけではないので、それほど忙しくはないですよ。荷物を載せた船が来るのも週に2〜3回ですし、YouTubeの投稿も不定期。ほとんどの仕事がポツポツっていう感じでやっていますし、ゆっくりやっている感じですかね。

 必ずやらなきゃいけないのは配送だけですし、ほかの仕事は何とでもなるというか調整できるので。配送に関しては船が来るのが昼なので、昼頃から2〜3時間ぐらいかけて終わらせます。それ以降は民宿の掃除をしたり、宿泊客の方が多い時は夕食の準備をしたりしていますね。

◆YouTubeにとらわれすぎないように

――暮らしの中でYouTubeの投稿の優先度は高いですか?やはりこれだけのチャンネル登録者がいると、そう考えたりもするのかなと……。