「見づらいんですが…」 一時停止“超えての停止”は違反? どうやって通行すべき? 警察も呼びかける「正しい方法」とは
信号機のない見通しの悪い交差点には、一時停止の道路標識が多く設置されています。
中には停止線で止まったときに建物などで見通しが悪くなっている場所も少なくありませんが、どのように通行すれば良いのでしょうか。
【画像】「これはアウトー!!」これが駐車違反に該当する停め方です(20枚)
住宅地などには、信号機がなく左右の見通しが悪い十字路交差点や丁字路交差点があります。
このような交差点においては多くの場合、車両同士の出会い頭の事故を防止するため交差点の手前に「一時停止」の道路標識が設置されています。
しかし交差点付近に住宅や植栽などがあると、停止線で止まっても交差点が見通せない場合があります。
これに関してSNS上では「交差点が見えないからって一時停止線を越えて止まるドライバーがめっちゃ多い」「一時不停止で切符切られた人が警察に『この停止線の位置だと左右から来るクルマが見えない』と文句を言っていた」などの声が寄せられています。
実際のところ、道路標識や停止線が交差点から少し離れた場所に設置されているケースも見られます。
では、停止線で止まっても見通しが悪い交差点においては、どのように通行するのがベストなのでしょうか。
そもそも一時停止については道路交通法 第43条に規定されており、一時停止の道路標識・道路標示がある交差点では停止線の直前で一時停止しなければいけません。
また、ここでいう一時停止とは法律の解釈上、クルマの車輪が完全に停止することを意味します。
そのため早いスピードはもちろん、ジワジワと進行して停止線を越えた場合も厳密には一時不停止の違反に該当し、検挙されれば違反点数2点が加算されるほか、普通車で7000円の反則金を科される可能性があります。
さらに過去の裁判例では、「停止線の直前の位置で左右の見通しがきかないときには徐行して左右の見通しが可能な地点まで進出し、必要があればそこで再び停止すべきである」と結論づけています。
つまり停止線の手前で一時停止をした後、そこで左右の見通しが悪ければ見通しの良い場所までゆっくりと進行して再度止まる、という段階的な安全確認が必要といえるでしょう。
これは通称「二段階停止」と呼ばれており、過去にはX(旧Twitter)で福井県警が「事故の多くが、交差点で発生 見通しの悪い交差点では、二段階停止してしっかり確認!」と注意喚起しています。
「停止線が交差点から離れた場所」に設置されているのは何故だろう?
ここで、「二段階停止をしなければいけないほど、停止線を交差点から離れた場所に設置するのは何故だろう?」と疑問に思う人がいるかもしれません。
まずその理由として、優先道路側の車両や、歩道を通行する歩行者などと接触する危険を減らすことが挙げられます。
仮に停止線が交差点の直近にあれば、クルマのフロント部分(鼻先)が優先道路にはみ出て車両と接触したり、通行してきた歩行者に当たってしまったりするおそれがあります。
特にセダンやSUV車などはフロント部分が長い傾向にあるため、停止線で止まった後も、注意して進行することが大切です。
また停止線が交差点から離れているのは、優先道路側から右左折してくる車両を通行しやすくする目的もあります。
たとえばトラックやバスなどの大型車が左折する場合は車体の軌道が外側に大きくふくらみますが、停止線が後ろに下がっていれば、そのスペースを利用して曲がることができます。
このように、停止線が交差点から離れているのは事故防止やスムーズな交通のための工夫といえるでしょう。
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内閣府の「令和6年版交通安全白書」によると2023年中、事故類型別の交通死亡事故発生件数は多い順に正面衝突等(全体の31.7%)、歩行者横断中(22.7%)、出会い頭衝突(10.5%)でした。
特に信号機のない見通しの悪い交差点では出会い頭の事故が発生しやすいため、停止線でしっかり止まった後、ゆっくり・段階的に安全確認する習慣を身につけましょう。