厚生労働省によって指定難病に認定されている「全身性エリテマトーデス(SLE)」の病理的免疫反応を促進する分子欠損を発見したという研究が、科学誌・Natureで発表されました。当該欠損を回復させることにより、疾患が回復する可能性もあるとのことです。

Interferon subverts an AHR-JUN axis to promote CXCL13+ T cells in lupus | Nature

https://www.nature.com/articles/s41586-024-07627-2

Scientists Discover a Cause of Lupus and a Possible Way to Reverse It - News Center

https://news.feinberg.northwestern.edu/2024/07/10/scientists-discover-a-cause-of-lupus-and-a-possible-way-to-reverse-it/



Scientists Discover a Cause of Lupus and a Possible Way to Reverse It - YouTube

研究は、ノースウエスタン大学フェインバーグ医学部のチェ・ジェヒョク医学博士らが行ったものです。



チェ博士によると、SLEは生命を脅かすような皮膚、脳、腎臓、肺の病気につながる可能性のある自己免疫疾患で、アメリカでは150万人が苦しめられているとのこと。

研究チームは「アリール炭化水素受容体(AHR)」と呼ばれる分子を発見しました。AHRは、環境汚染物質や細菌、代謝産物への細胞の応答を調整する役割を持ちますが、SLE患者はAHRが制御する経路の活性化が不十分になり、疾患を引き起こす自己抗体の産生を促進する末梢ヘルパーT細胞の働きが過剰になることへとつながります。

チェ博士らは、SLEを引き起こす細胞を「Th22細胞」と呼ばれる細胞へと再プログラムすることで、自己免疫疾患によって引き起こされるダメージからの回復を促進できる可能性があると述べています。

チェ博士と研究チームのディーパック・ラオ博士らは、SLE患者のための新たな治療法開発への取り組み拡大を目指しており、AHR活性化分子を安全かつ効果的に人々に届ける方法を模索していくとのことです。