毎日出入りする玄関。「明日使うかもしれない」靴や小物を全部置いていると、ごちゃごちゃした空間に見えてしまいます。そこで今回は、ハギヤマジュンコさん・ようさん・瀧本真奈美さん・櫻木なおみさんの4人に「すっきり玄関」のコツを聞きました。

玄関まわりで使う&収納したいものに、優先順位をつける

一級建築士の資格を持ち、整理収納アドバイザーとしても活躍中のハギヤマジュンコさん。実践している「玄関収納」の工夫と、100円アイテムを使った収納アイデアを教えてもらいました。

玄関の土間部分にはつくりつけ収納がなく、あるのは玄関の向かいの階段下のみ。つくりつけの靴箱も廊下にあります。どちらかというと条件が悪いのではないかと感じていますが、玄関周りには収納したいものがたくさんあるため、工夫が必須です。

そこで、しまうものに使用頻度で優先順位をつけ、場所を分けて収納するようにしています。

よく使うものは出しっぱなし。インテリアも兼ねた収納を活用

いちばんよく使うものは、玄関土間に後づけした「ドローアライン」という、おしゃれなつっぱり棒を使って収納しています。

ここには、マスク・印鑑・娘の傘を。使ったあとの濡れた傘もこの場所に一時置き。出しっぱなし状態になるため、使用頻度がいちばん高いものを収納しています。

玄関に入ってすぐの場所だからこそ、インテリアも兼ねて見せる収納ができるドローアラインをチョイス。使うものと飾るものを意識して配置し、煩雑にならないようにしています。

身支度アイテムは階段下収納に。扉裏に100円グッズで収納をプラス

玄関を上がってすぐのところにある階段下収納には、身支度に使うものをメインで収納しています。

春夏は帽子やアームウォーマー、秋冬は防寒着や手袋などをしまっていて、季節に関係ない普段使いのバッグや夫の仕事バッグもこの場所に。

出かける際にこの扉をあけて身支度をしたら、帰ってきて脱いだものもここにしまい、リビングには持ち込まないようにしています。

両壁面に無印良品の「壁に付けられる家具」をつけていますが、それではたりないため、100円ショップでそろえたワイヤーメッシュと引っ掛けパーツ、粘着フックを使い、扉裏にアウターや小物類をチョイ置きできるスペースを追加しています。

靴は年間で6足に。身支度も管理もラクになった

50代のインスタグラマー・ようさんは、お子さんの独立を経て、ものを「持たない」暮らしを楽しんでいます。そんな彼女が履く靴は、スニーカー2足とサンダル1足。そして、ブーツ3足。合わせると年間6足で過ごしています。ブーツのうち1足は、レインシューズも兼ねています(ひとつ上の写真)。

10年ほど前から、モートン病という足裏の中指と薬指のつけ根あたりが痛くなってしまう症状が続いています。最初はなんとなく痛いなと感じるだけでしたが、この症状が2年前から進み、痛みが出にくい靴を残していくうちに、今の6足に落ち着きました。

靴の選択肢が少ないのは、おしゃれな方だと寂しく感じるかもしれません。しかし、ようさんの場合は、履けるものが決まっていることで悩む時間がなくなり、かえって支度がラクになったと感じているそうです。

無印良品のアイテムで、防災グッズもすっきり収納

玄関の靴箱は、5段あります。6足しかない靴は2段に収まってしまうため、スカスカの状態。そこで、1段は玄関掃除のほうきとちり取りを、もう2段は、無印良品のファイルボックスで区切って収納に使うことにしました。

上段のファイルボックスには、以下のものを入れています。
・家の契約書類など、引っ越しに必要なもの
・非常用のストック食品
・折りたたみ傘、エコバッグなど

引っ越し関連のものをまとめたのには、理由があります。賃貸の引っ越し時は、書類以外にインターネット接続のコードや使用していない備品など、原状回復に必要なものがあります。前回の引っ越しは、それらをバラバラにしまっていたので苦労しました。そこで、引っ越しの予定はありませんが、備えとしてまとめて玄関に置くことにしました。

下段のファイルボックスには、以下のものを入れています。
・非常用の水
・非常用の着替え
・来客用スリッパ、玄関のインテリア小物など

防災用品は寝室のクローゼットが定位置ですが、災害時に避難をすることになったとき、玄関にも置いておくと持ち出しやすいだろうと思い、一部を移しました。

玄関には「水」「食料品」と「防災リュックに入りきらなかったもので、洋服など季節によって中身を変えたいもの」を収納しています。以前は防災リュックに食料品を入れていましたが、賞味期限ぎれのものがたくさん出てきた経験が。それからは、食料品はリュックの中ではなく、こまめにチェックできる場所に置くようにしました。

玄関には来客用スリッパを「置かない」

家の中には汚れやすい場所がたくさんありますが、外から持ち込まれた汚れがいちばんたまりやすいのが玄関。整理収納コンサルタントで、メディアにも多数出演する瀧本真奈美さんは、来客用スリッパを持たない生活を始めました。

その理由は、衛生管理が難しい、買い替えが大変、普段使わないのに収納場所を取られる、履いたあと、長くそのままにするとニオイの原因になるなど、デメリットを感じることが多かったからです。

瀧本さん自身も、だれが履いたのかわからないスリッパに躊躇してしまうことがあるので、最近は来客予定があり、必要を感じた場合にだけ使い捨てスリッパを用意するようにしているそうです。

水を流す掃除は「しない」

昔は、水を流しての玄関丸洗いが好きでした。すみずみまできれいにできた気持ちになるので、定期的にやっていました。SNSでも時々見かけますが、今の家では水を流す掃除をやめています。理由は、手間も時間もかかるだけでなく、ただでさえ湿気の多い玄関のカビ被害を少なくするためです。

たたきには、汚れを予防するために長年クッションフロアを置いています。店舗用なので土足にも対応。汚れても簡単にふき取るだけできれいになるので便利です。

高価な靴は「持たない」

年齢が進むと「本物」や「よいもの」を身につけないと恥ずかしいといったような話を未だに耳にしますが、高価なものはなかなか手放せず、ずっと使っていないのにも関わらず収納を圧迫するケースが多いです。また、手入れが行き届かないまま長い年数を経た靴は、ニオイの原因にもなり兼ねません。

個人個人、自分にとってよいと感じるものは、人それぞれ。田舎住まいでラフな洋服が多く管理も面倒な私には、普段履き程度の靴を必ず履く数だけを持ち、定期的に交換するという持ち方がベストのように感じています。

生活感の出る玄関はお気に入りグッズでおしゃれに

「ESSE収納グランプリ2023」でインテリア賞を獲得した、50代の櫻木なおみさん。玄関にあるチェストは20年来の相棒だそう(ひとつ上の写真)。上にアンティークのブリキの箱を置き、お出かけに必要なものをセット。

「チェストの中は、お正月やクリスマスなどの季節のアイテムを収納。玄関=靴と思いがちな発想を転換して使っています」(櫻木なおみさん、以下同)

ゴミ箱もフタつきなら玄関に置ける

不要なDMは玄関の小さなゴミ箱に即捨て。
「部屋に持ち込まなくなり、散らかる原因をひとつ減らせました」

深さのあるボックスにごちゃつく小物を集約

日やけ止めや粘着クリーナー、ハンカチなどを収納。
「横からはすっきりした見た目なのに、取り出しやすいです」

ほうろうバットをディスプレーに活用

料理で使うほうろうバットに絵ハガキをはり、雰囲気のあるフレームに。
「白いバットが手前の花器を引き立ててくれています」