Microsoftが物議を醸すRecall機能の搭載をCopilot+ PCのリリース当初では見送ることを発表
Microsoftは2024年5月にPCの操作をすべて記録して検索できるAI機能「Recall」を発表しましたが、Recallにはセキュリティやプライバシーの観点から懸念の声が続出しています。新たに、Microsoftは2024年6月18日に発売される「Copilot+ PC」のリリース初期にはRecallが搭載されないことを発表しました。
Update on the Recall preview feature for Copilot+ PCs | Windows Experience Blog
Microsoft’s all-knowing Recall AI feature is being delayed - The Verge
https://www.theverge.com/2024/6/13/24178144/microsoft-windows-ai-recall-feature-delay
Microsoft delays the launch of Recall for Copilot+ PCs; there's no word on a new date - Neowin
https://www.neowin.net/news/microsoft-delays-the-launch-of-recall-for-copilot-pcs-theres-no-word-on-a-new-date/
Recallとは、PC上の操作をスクリーンショットとともに記録して、それらに含まれる文字列や画像をデータベース化し、後から検索できるようにするものです。Microsoftは、このRecallを強力なAI処理専用チップを搭載したCopilot+ PCの目玉機能としてアピールしていました。
MicrosoftがWindows 11の新AI機能「Recall」を発表、PCで見たもの行ったことをすべて記録しあとから検索できるパワフルすぎるAI検索機能 - GIGAZINE
一方でRecallについては、「ハッカーがPCに侵入した場合、この機能を有効化しているとPC上の情報が盗まれてしまう」などの指摘が相次いだほか、実際にPCからRecallの記録データを抜き出す方法も発見されています。
Windows11のすべてを保存する「Recall」機能の記録データからあらゆるものを抽出する「TotalRecall(トータル・リコール)」 - GIGAZINE
これを受けてMicrosoftは2024年6月7日に、「Recallをデフォルトで無効状態にする」「Recallを有効化するにはWindows Helloでの認証を求める」「データベースの暗号化を含むセキュリティの強化」などの機能見直しを表明しました。
Windowsの操作全記録AI「Recall」についてセキュリティ上の問題が露呈しMicrosoftが機能のデフォルト無効化を発表 - GIGAZINE
そしてMicrosoftは2024年6月11日に、6月18日に各社から発売されるCopilot+ PCにRecallが搭載されないことを発表。Microsoftはリリースの中で「RecallはCopilot+ PCで利用できるプレビューエクスペリエンスから、Windows Insider Programで利用できるプレビュー段階へと移行します。Windows InsiderコミュニティからRecallに関するフィードバックをいただいた後、通常どおり、全てのCopilot+ PCにプレビュー段階のRecallを搭載する予定です」と述べています。
また、Microsoftは「Windows Insiderコミュニティの専門知識を活用して、Recallのエクスペリエンスが品質とセキュリティに関する高い評価基準を満たしていることを確認するために、Recallのリリースモデルを調整しています。今回の決定は、全てのお客様に信頼性が高く、安全で堅牢なエクスペリエンスを提供し、全てのCopilot+ PCユーザーがこの機能を利用できるようにする前に追加のフィードバックを求めるというMicrosoftのコミットメントに根ざしたものです」「Windows Insider ProgramでRecallが利用可能になった際は、入手方法の詳細を記載した新たなブログ記事を公開する予定です」と報告しています。
アメリカの下院国土安全保障委員会に出席したMicrosoftの副会長兼社長のブラッド・スミス氏は「Microsoftはセキュア フューチャー イニシアティブ(SFI)の一環として、セキュリティを何よりも重視している」と証言。また、Microsoftは全従業員に対する半年ごとの評価プロセスに、セキュリティの項目を加えることを明らかにしています。スミス氏は証言の中で「この変更により、全ての従業員の年次ボーナスと報酬の面でサイバーセキュリティが考慮されるようになります」と語りました。