SNSの"さらし行為"、約2割が「被害経験あり」 事件関係者と疑われ「勤め先・実名・写真晒された」人も〈アンケート結果〉
インターネットやSNS上での「さらし行為」による被害が、あとを絶ちません。その実態について、弁護士ドットコムの一般会員を対象にアンケートを実施しました。(実施期間:5月22日〜5月28日、有効回答数717人)
アンケートでは、回答者の5.2%にあたる37人が「さらし行為をした経験がある」と回答しています。さらし行為をした動機、その結末とは--。アンケート結果の詳細を紹介します。
●さらし行為をされた経験「ある」137人、さらし行為をした経験「ある」37人
アンケートの回答者は、約6割を40代〜50代が占めました。30代は16.3%、60代は14.6%、20代は5.7%、10代は5.7%、70代以上は3.1%でした。
このうち「さらし行為の被害にあったことがある」人は19.1%(137人)でした。
さらし行為をした経験については、5.2%にあたる37人が「ある」と回答しました。
●さらし行為の主な動機は7割以上が「報復心と社会的制裁」
さらし行為の加害者37人に、その動機を尋ねると、44.6%(回答数25)が「報復心(怒りや復讐心)」と回答し、「社会的制裁(正義感含む)」が32.1%(回答数18)と続きました。
一方で、注目を集めたいという「自己顕示欲」や「フォロワー数を増やすため」と回答した人はいませんでした。
●さらし行為をしたプラットフォームはX(旧ツイッター)が36%(回答数18)
さらし行為を行ったサイトなどについて尋ねたところ、「X(旧ツイッター)」が最も多く36%(回答数18)でした。「フェイスブック」の14%(回答数7)、「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」の14%(回答数7)が続きました。
●さらし行為を行った相手は?
さらし行為をした相手は、2番目に多い回答が「職場の同僚(上司・部下含む)」16.7%(回答数7)、以下に「交際相手・配偶者」11.9%(回答数5)、「知人・友人」7.1%(回答数3)、と続いています。
最も多かったのは、「上記以外の知らない人」28.6%(回答数12)でした。知っている人へのさらし行為が多いようです。
また、「交際相手・配偶者」との回答は、「交際相手の浮気相手、配偶者の不倫相手」2.4%(回答数1)よりも多い結果となっていました。他に、「自分が働いていた店・サービスの利用客」や「自分が利用する店・サービスの従業員」という回答もありました。
●半数以上が「2回以上」さらし行為に及んだ
さらし行為をした回数については、1回と答えたのが43.2%(16人)で、2回以上9回以下が37.8%(14人)、10回以上19回以下が18.9%(7人)でした。さらし行為をした半数以上が2回以上、行為に及んでいます。
⚫︎サレ妻の攻撃「不倫相手の勤務先に彼女の情報を書き込んだ」
続いて、さらし行為をしてしまった動機や状況について、詳しく聞きました(自由回答)。
「元夫の不倫相手で同じ会社(販売店)での社内不倫だったため、不倫相手が働いてる店舗のFacebookアカウントに不倫相手の本名、年齢、顔写真をコメントした」(女性・30代・フェイスブック)
「私のことを、Twitterで『このチンカス野郎』と言ってきたので、スクショにとって、Facebook友だち限定で『カレは、こういうツイートをしました』とさらしました」(男性・60代・フェイスブック)
「撮影不許可の施設内で撮影をしている旅行者について、顔などはモザイクをかけて掲載した」(男性・40代・その他)
「さらされたのでさらし返した。報復措置」(男性・50代・X)
「Xでデマを流されたので反論の為に相手とのDMでのやり取りを晒した」(女性・40代・X)
「既婚男性から食事に誘われてそれを断ったら、相手から私の氏名や携帯電話番号と一緒に『やれる女に』と書き込まれたから」(女性・50代・フェイスブック、5ちゃんねる、爆サイ、ブログ)
「ライブイベントに行って、スタッフに体を触られたので、イベントのアカウントに上がっていたスタッフの集合写真に『こいつにチカンされた』と印を付けて、ツイートした」(女性・40代・X)
⚫︎さらし行為をしたが「特に何事もなかった」
さらし行為をしてしまったあと、どのような結果が生じたのか、訴訟に発展した場合の例示も示して質問しました。
結果は「特に何事もなかった」との回答が最も多く、83.8%(回答数31)を占めました。
⚫︎被害者は「抗議した」「相手の身元を特定して法的手続きをとった」
今回のアンケートでは、さらし行為の被害にあったと答えた137人に、さらし行為の被害にどのような対応をしたのか、も尋ねました。
結果は、「抗議した」が50.0%(回答数68)、「相手の身元を特定して民事裁判や刑事告訴など法的手続きをとった」が8.8%(回答数12)となり、両者を合わせると、「何もしなかった」との回答50.0%(回答数68)を上回っています。
⚫︎「Twitterで名指しで悪口を投稿された」「事実無根なのに犯人とされた」
さらし行為の被害にあった状況について、詳しく聞きました(自由回答)
「事実無根のある事件の犯人と書き込みされ、勤め先実名写真を晒された」(女性・50代・X、フェイスブック、5ちゃんねる)
「私のインスタグラムの写真のデータから違うアカウントを作って成りすまし『セフレ募集』など卑猥な文言をつけて電話番号も公開した」(女性・40代)
「ゲーム機について自分なりの考えを書いたところ、こんなバカがいる、とSNSや個人ブログにさらされてトラウマになった。抗議はしたが、今も消されていない」(男性・50代・X、5ちゃんねる、ブログ)
「顧客サービスで行っていた特典がお一人様1点だったが、複数入手しようとした20代男性の利用客がいたため阻止したところ、その日の夜にTwitterで私の名を名指しで悪口を投稿していた。心臓が一気に冷える感覚がある程傷付き、たくさん泣きました。(女性・30代、X)
「近所の人から嫌がらせをされて怒ったら、逆に自分が嫌がらせをされているのだ、と怒っている様子をさらされた」(女性・30代、爆サイ、LINEグループ、オープンチャット)
また、さらし行為の被害を受けた場所については、X(旧ツィッター)が最も多く38.2%(回答数52)で、5ちゃんねる30.9%(回答数42)が続きました。加害者側の回答と照応しているようです。
さらし行為をした相手は、「上記以外の知らない人」が40.1%(回答数55)と最も多い回答となっていますが、「知人・友人」21.9%が(回答数30)、「職場の同僚(上司・部下含む)」が15.3%(回答数21)となっています。
そのほかの回答もあわせると、知っている人からの被害だとする回答が、半分以上となりました。