救急車の後ろを「ラッキー追走」は本当に交通違反? 渋滞回避の裏ワザ…「ズルいから駄目」「ネットで叩かれる」以外に「絶対するべきでない理由」とは

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緊急車両の特権 利用していいの?

 救急車やパトカー、消防車などが赤灯を点灯させつつサイレンを鳴らして近づいてくると、ほかのクルマは走行を邪魔しないように交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止しなければいけません。
 
 このとき、後ろにくっついて走る行為は、交通違反になるのでしょうか。

救急車が来るとみんな避けてくれる

 緊急車両は、事故や犯罪、火事などの非常事態が起こったときにいち早く現場に駆けつけるため、道路交通法の一部のルールを免除されて走行することができます。

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 また、緊急車両が目的を達成できるよう、周囲の交通は先述のように道を譲らなければなりません。

 もし、緊急車両に道を譲らなかった場合は、「緊急車妨害等違反」として普通車だと反則金6000円、違反点数1点が科されることがあります。

 緊急車両の接近がすぐわかるよう、サイレン音や赤灯の点灯が必須で、たとえば、救急車のサイレンの音量は、道路運送車両法の保安基準で「前方20mの位置において90dB以上120dB以下」と定められています。

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 さて、緊急車両は、道を譲ってもらえるとのことですが、それでは「緊急車両の後ろに付いていくと、渋滞していても皆がよけてくれるので、ラッキーじゃないか」などと考える方もいるかもしれません。

「別に緊急車両の走行を妨害しているわけではないし、誰に迷惑をかけているというのか」という言い分もありますが、周囲からすれば「ズルい」行為と感じられるでしょう。そういった行為を取り締まる法律はあるのでしょうか。

「ラッキー追走」実際に法律違反なの? 警察の答えは

「救急車の後ろを追うように走行する行為」について、交通相談コーナーの担当者は以下のように話します。

「緊急車両に追従してはいけないという法律はございません。ですが、後ろを走っているからといって救急車などの緊急車両に認められている特例などが適応されることはございません。

 また、追従している際の走り方によってはさらに何らかの法律違反をしている場合がございます。

 状況によるため、特定の法律の名前は挙げられませんが、速度や信号機に関する違反をしやすい状況なのではないかと思います」

 たとえば、前が赤信号であれば、当然停止しなければなりません。「ラッキー」と後ろについていったままだと、うっかり信号無視を犯すことになります。信号待ちをすれば、救急車は遠くへ行ってしまって「ラッキータイム」は終わりです。

 ほかにも、緊急車両は追い越し禁止場所での追い越しが可能ですが、何も考えずに付いていくと、そうした違反を犯す可能性があります。もちろん、対向車線に入った場合、逆走としてアウトになります。

 さらに、信号が無くて片側2車線以上の広い道路や高速道路でも、上手くいくことはないでしょう。

 なぜなら緊急車両は、前の車列を押しのけて行くという性質上、「車線と車線の間を突っ切っていく」ことが多いです。この行為は道路交通法第20条の「通行帯区分」の違反に該当する可能性があります。

「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない」というのが基本で、追越しの場合は車線からはみだしても可能ですが、追越しが終わればただちに元の通行帯へ戻らなくてはなりません。

 今回の「ラッキー追走」行為が正当な「追越し」に該当せず、この条項の違反になる可能性があります。

 もちろん、救急車が去ったあと、車列が戻ろうとするときに「どけどけ!俺様も通るんだ」と他車を譲らせる行為は、道路交通法第32条の「割り込み禁止」に該当する可能性もあります。

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 緊急車両に追従してはいけないという法律自体はないようですが、当然のことながらモラルやマナーの観点から褒められるものではなく、スマートフォンで撮影されることで大きくバッシングされ、社会的制裁を受ける恐れもあります。

 とにもかくにも緊急車両が近づいてきたら道を譲ることを最優先にするモラルある行動が望まれます。