「進捗率95%」浜松〜長野直結「三遠南信道」最大の難関「青崩峠トンネル」工事大詰め!? 完成形見えてきた「超ショートカット道路」どこまで進んだのか
トンネル貫通から1年が経過
静岡県と長野県をまっすぐつなぐ新たな高規格道路「三遠南信道」の整備がすすんでいます。
そのなかでも特に難所である、県境周辺の「青崩峠トンネル」は、完成まで大詰めというところまで来ています。
いったいどんな道路になるのでしょうか。
高規格道路「三遠南信道」は、新東名の「浜松いなさ北IC」から北へ分岐し、伊那山地と赤石山脈に挟まれた長い谷間を北上し、伊那山地を貫通して飯田市内に入り、中央道に接続する、約100kmの計画です。
【画像】超便利!? これが「三遠南信道」ルートと「青崩峠トンネル」工事状況です。まずはここからチェック!
静岡県から長野方面へは、急峻な南アルプスと広大な山岳地帯が立ちはだかり、そこを抜ける道路は、延々と長い山道のみでした。東海環状道から中央道へ大回りせざるを得ず、互いに「遠い存在」でした。
三遠南信道は、その静岡〜長野をまっすぐ南北につなぐ唯一の「まともな道路」として、各地で整備中となっています。そのなかで、特に厳しい山岳地帯を抜けるのが「青崩峠トンネル」です。
ここは太古から両エリアをつなぐ峠道として使われていました。ほかに通るルートも無いため、現在でも周囲に道路らしい道路すらありません。天竜川の深い谷間にそって、何とか県道1号やJR飯田線がへばりつくように通っています。
戦国時代、甲斐の武田信玄が南下して駿河・遠江・三河へ攻め込んだ際も、この峠を通ったと言われており、峠の近くには「信玄の腰掛岩」という場所があります。
ここを国道152号の未開通部のバイパスとして、東側の谷筋へ迂回するルートが計画され、「草木トンネル」が1994年に開通しています。しかし地盤の状態や設計の難しさもあり、結局そこから北へ伸びることはありませんでした。
現在作られているのは、青崩峠をそのまま北へ突っ切るもので、長さ4998mで一気に長野県飯田市へ抜けます。
トンネル掘削開始は2019年で、4年後の2023年5月に貫通。一度敗退した青崩越えを、進歩した土木技術が乗り越えた形となりました。
さて、現在の工事進捗ですが、工事を担当する国土交通省 飯田国道事務所は2024年5月末時点の工事状況を公開。
掘削が終わったあとは、トンネル内部のコンクリートを打っていく作業となりますが、それもすでに、4998mのうち4767mまで完了。進捗率はなんと「95%」に達しています。
公開された写真では、養生中のコンクリートの様子や、トンネルの一部が広くなっている「非常駐車帯」の様子も明らかになり、今にも通行ができそうなくらいの完成度になってきています。5月11日には、小学生の親子を招いて、イルミネーションされたトンネルの特別風景が公開されています。
今後は、走行部分まで底面のコンクリート「インバート」を打つ作業が進められていきます。それから排水設備や非常用設備、電気設備や舗装が終われば、いよいよ開通を迎えることとなります。