トヨタの「スーパーカーファクトリー!?」 完成したら“すぐ120キロ”で走り出す!? 人と機械で1台を作り出す「GRファクトリー」とは

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進化するクルマづくり…そして進化するGRファクトリーとは

「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を掲げているTOYOTA GAZOO Racing。
 
 その生産拠点となる「GR FACTORY(GRファクトリー)」とはどのような場所なのでしょうか。

実は色々スゴかった! GRファクトリーとは

 GRファクトリーは、2020年にトヨタの元町工事内に新設されたGRモデル専用の拠点です。

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 2020年当初は、「GRヤリス」だけが生産されていましたが、2024年現在ではGRヤリスをはじめ、「GRカローラ」、さらにはWRC(世界ラリー選手権)に参戦する「Rally 1」やその下カテゴリとなる「Rally2」もここで生産されています。

 一般的な自動車メーカーの生産拠点はいかに大量生産をするかという部分を重視した、機械化や設備配置が行われています。

 なおこの場合、生産されるクルマはベルトコンベアーで決まったレーンを通って、区間毎に機械または人により、塗装や組み立てられます。

 とくにトヨタは、世界最大級の販売台数を誇り、そこにはクルマを効率良く生産していく「トヨタ生産方式(TPS)」という高い生産システムを採用していることでも知られています。

 一方で同じトヨタながらGRファクトリーでは、できる限りの量産体制を築きながら、さらに精度の高い機械や熟練した匠の手により、塗装や組み立て、部品性能のバラツキ調整などが行われているのです。

AGVで移動するセル生産によりGRヤリスやGRカローラが作られていく

 そんなGRファクトリー内には、従来のベルトコンベアーでクルマが運ばれるのではなく、代わりに「AGV(無人搬送機)」で運ばれています。

 さらに各工程の機械設備も従来の工場のように屋根から吊り下げていないため、自由なレイアウトが可能だと言います。

 これは、その時の生産台数や状況に合わせて拡張または縮小が可能となるようです。

 このような特徴を持つGRファクトリーですが、その内部は大きく「ボディ工程」「組立工程」「検査工程」に分かれています。

「ボディ工程」ではアンダー、メインを仮付けし、追加のスポット溶接を行います。

 なお市販の「ヤリス」は約3700箇所だったのに対して改良前のGRヤリスが約3950箇所、2024年の改良後で約4500箇所と増えているようです。

 またこの際に3次元測定機で「ボディ精度検査」という取り付け精度を検査。とくに足回り部分のズレを見て、後の工程に活かされます。

 高精度な3次元測定機での検査について、GRファクトリーの担当者は次のように話しています。

「足回りに関して、あらかじめ足回りの各部品を測定しおきます。

 そしてボディ工程での測定データと部品測定データを解析システムで処理することで、『最適な部品の組み合わせ指示』と『1台1台のボディに対する組付け指示』を行います。

 これにより、ボディと足回り部品の細かなばらつきをお互い補正するカタチで組み付けることで高精度な足回りを実現しました」

自動化と熟練した匠により1台1台を生産している

 その後「組立工程」ではカーボンルーフや内装パネルなどが付けられます。

 ここでは、前述の測定結果に基づいた部品と取り付け位置に基づいて、1Gの重力をかけた状態で取り付けるのです。

 なおここまでの工程では、ステアリングを一切切らない状態で行うなどこだわりも。

「検査工程」では、運転席・助手席それぞれに75kg、リア(トランク)に25kgのウエイトを搭載した実際に人が乗り、燃料満タンの状態でアライメント調整を匠の手によって行います。

 この匠が凄いのは、クルマの下側に潜り、右手で右側を、左手で左側とそれぞれのアライメント調整を同時に数ミリ単位で行うという、まさに熟練した技術の賜物です。

 そして、工場内にある1周3kmのテストコースにて最高120km/hで走行し、ステアリングや直進安定性などに問題ないことを確認。

 最終検査を受けて、出荷されるという流れになっています。

完成したらすぐにテストコースに!

 冒頭の通り、モータースポーツのノウハウをクルマづくりに活かしているTOYOTA GAZOO Racingですが、それは生産工程でも同様でラリーの現場で行われている方法を生産現場に応用しているということも。

 なお前出の担当者によれば「GRファクトリーは定期的にカイゼンにより設備配置が変わるので、常に進化しているとも言えます」と語っていました。

 今後も生産車種が増えることは予想されるGRファクトリーですが、どのような進化があるのか、今後も注目です。