ゼンリンは、複数の物流事業者の荷物を地域の事業者がまとめて配送する「共同配送システム」をヤマト運輸の協力のもとに構築。埼玉県秩父市において、ヤマト運輸、西濃運輸、福山通運の3社の荷物を集約して配送する「おむす便」の実運用を開始したことを6月3日発表した。

埼玉県秩父市でスタートするおむす便の概要(同社資料より)

山間地域の生活インフラの維持のための実証実験として2019年より開始、2022年より複数の物流事業者の荷物をヤマト運輸が配達するプレサービスとして実施していたが、異なる配送システムであるため配達状況管理をアナログで処理せざるを得ず、各事業者や配送担当の地域事業者の業務負担が増加するという課題が浮上していた。

サービスの全体統括を行うゼンリンはパナソニック コネクトの「配送見える化ソリューション」をカスタマイズ。各社の伝票バーコードを専用端末でスキャンすることで荷物の受付や持ち出しの登録、荷物の受け渡しや各物流業者によるリアルタイムでの配送状況の確認など一連の流れをデジタル化することで6月2日より実運用に至っている。

システムの流れ(同社資料より)

増加する小口の物流ニーズや働き方改革関連法による残業時間の上限規制と経済を支える輸送力不足が懸念される「物流2024年問題」に対して流通を担う各社が協力する"共同配送"は効果が期待されるがシステム改修が複雑になるなどの懸念材料も存在していた。同社によれば既存の基幹システムの改修は不要で共同配送を実現する新たな配達管理システムとして利用できるとのこと。