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1999年5月19日に劇場公開された『スター・ウォーズ ファントム・メナス/エピソード1』。スター・ウォーズ旧三部作の前日譚を描く新たなトリロジーの幕開けが、今年公開25周年を迎えました。

劇場での記念上映もありましたし、改めてこの作品を鑑賞したという方もいらっしゃると思います。

米GizmodoのJames Whitbrook記者は、時が経過してもなお名作であり続ける『ファントム・メナス』の素晴らしい25のハイライトをピックアップしています。以下ご紹介します。

パドメの衣装

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数え切れないほど何度も衣装を替えるパドメですが、そのどれもが良い効果を発揮し、衣装の変化も自然に馴染んでいます。

侍女風だったり、悲しき女王、歓喜する女王、一般女性、戦闘服などなど、様式に沿いつつ民主主義の崩壊を叫ぶパドメの態度が受け取れます。

彼女は、この映画で実に多くの衣装を見せ、そのすべてが素晴らしいものです。ほかにも15種類ほどの姿を見せているので、改めて確認してください。

バトル・ドロイド

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その後の『スター・ウォーズ クローンの攻撃/エピソード2』や『スター・ウォーズ シスの復讐/エピソード3』では少し間抜けな印象で描かれ、『クローン・ウォーズ』においてはいわゆるコミックリリーフ的な存在に変わってしまった、そんなB1バトル・ドロイドです。

しかし、本作においてはほとんどの登場シーンで、魅惑的でおそろしい脅威として描かれてます。

デザインも非常に優れており、これまでのスター・ウォーズのドロイドとは違うユニークなものでした。これは、ジョージ・ルーカスが当時の新技術を使って、これまでよりデザイン性を強化したいと考えていたことを示す実にいい例といえるでしょう。

オーラ・シングのカメオ出演

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『スター・ウォーズ』には瞬きの間に見逃してしまうようなキャラクターデザインが数多くあります。ほんの1、2ショットしかスクリーンに映らないのですが、すごく魅力的な存在が多くいるわけです。

『ファントム・メナス』においてはオーラ・シングがまさにそれです。アナキン・スカイウォーカーが優勝するブーンタ・イヴ・クラシック・ポッドレースを観戦する姿が約5秒間映ります。

強烈な存在感を持つこのオーラ・シングは、その後コミックなどのコンテンツで活躍する姿を見られるようになります。最終的に『クローン・ウォーズ』のアニメシリーズで彼女の人生が描かれるのです。

N-1スターファイター

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『スター・ウォーズ』では当然宇宙空間での戦闘機であるスターファイターが多く登場し、そのどれもが優れたデザインです。なかでも惑星ナブーのN-1スターファイターのデザインは非常に美麗です。

改めて強調しますが、『ファントム・メナス』の多くのデザインは、スター・ウォーズらしさを感じさせながらもこれまでになかったようなものです。こうしたビジュアルアイデンティティは、一目見ただけでその世界観を語ってくれます。

素晴らしい衣装やメカ、舞台美術などがありますが、大胆な黄色と滑らかな曲線、クロムの輝きを持つこのデザインはその頂点に位置しています。

ポッドレース

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作中でも非常に印象的なブーンタ・イヴ・クラシック・ポッドレースは、スター・ウォーズのなかでも最高の瞬間のひとつです。

エイリアンレーサーの多さ、時速何百kmを超える速さで疾走する細長いポッドのデザイン、ぶつかれば死を意味する障害物や罠の数々。何年経って観てもエネルギッシュで興奮します。そしてサウンドも最高なんです!

サウンドデザイン

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サウンドについては、「サウンドデザイン」として1つのカテゴリーとして扱う必要があります。そうしなければ、今回紹介するリストの90%はこの映画のあらゆる擬音になってしまうからです。

ポッドレーサーのエンジン音、ドロイデカの足音、グンガンの持つエネルギー・シールドの小さな振動音、そして「ブワー!」というナブーのブラスター音。映画を通して最高のサウンドが詰まっています。

シオ・ビブル

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ナブーの首都・シードの知事であるシオ・ビブルは、『ファントム・メナス』においてはあまり活躍していたわけではありませんが、オリヴァー・フォード・デイヴィスはあらゆる場面で全力で演じています。

通信障害が何を意味するかを即座に見抜くシオ・ビブル。そして、通商連合によって犠牲者が多数出ているのですぐに連絡をくださいとホロコムで連絡するのも、このシオ・ビブルなのです。それらすべてを真顔でこなすのはすごいとしかいえません。

クワイ=ガンとオビ=ワンのフォース・ダッシュ

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新三部作、つまり前日譚では、ジェダイの影響力と彼らが権力の頂点に立つ姿を見せることも重要だといえます。さらにいえば、旧三部作においてルーク・スカイウォーカーやダース・ベイダーらが見せられなかった戦い方を見せられることもまた、重要です。

さて、そんな新たな戦い方のひとつとして映画冒頭に、クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービが通商連合の貨物船内でドロイデカから逃げる際に使うのがフォース・ダッシュです。2人がビデオゲームのキャラクターのようにとんでもない速さで移動するのです。

が、驚くべきは、このフォース・ダッシュシーンが信じられないほど短く、そしてこれ以降に作られたシリーズで二度と使われていないということです。

笑えるほど非効率な修理

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スター・ウォーズの世界の技術進化をきちんと捉えるのは少々困難です。ナブーという国家が、宇宙船がブラスター攻撃を受けながら、破壊された箇所の修理にR2-D2のようなアストロメク・ドロイドを派遣する以外の方法がないというのも少し滑稽であり、おそろしくもあります。

たとえば、R2-D2だったら大丈夫だとわかっていますが、集中砲火の下で作業しながら仲間の宇宙船がその砲火で吹き飛ばされていくのを見なければならないわけです。非常に危険な環境下での修理作業の報酬は、パドメからのねぎらいの言葉だけ。

スター・ウォーズとドロイドの人格との関係が混乱を極めたものだとわかります。

ジャー・ジャー・ビンクス

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『ファントム・メナス』の後しばらくの間、ジャー・ジャー・ビンクスを突飛で間抜けすぎるキャラクターだとこき下ろすのが流行りました。劇中でジャー・ジャーのそうした面がかなり強調されている一方で、ジャー・ジャーがおもしろいキャラクターであると感じる部分もしばしばあります。

たとえば、ジャー・ジャーがクワイ=ガンやオビ=ワンの無謀さをたびたび皮肉交じりに指摘する様子は魅力的なキャラクター描写といえます。ジャー・ジャーは置かれている状況に対して現実的な人物であり、同時に少々利己的な臆病者でもある、という絶妙なキャラクター設定をコミックリリーフとして配置するのも興味深く感じます。

途切れるホログラムのパルパティーン

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新三部作ではいくつもミーム化されたものがありますが、そのひとつがホログラムのパルパティーンです。

ナブーの評議会が見つめるなか、通信障害により途切れ途切となったときにホロ映像が乱れ、パルパティーンが揺れたり歪んだりするというシーンは非常におもしろい。

この胴体が膨らんだ姿を見てください。これが後の帝国皇帝なのです。素晴らしい!

ナブーとコルサントの美しさ

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旧三部作のスター・ウォーズがデザインの観点から注目に値する作品となった理由のひとつが、セットや小道具に「生活感」を添えたことでしょう。ほとんどすべてが少し汚れていたり、傷がついていることで、すべてのシーンにおいてそれらが登場する前から長い間人々に使われてきたものに見えるのです。

『ファントム・メナス』においては中盤のタトゥイーンでその美学を見せ、一方でその間に挿し込まれるナブーやコルサントのアールデコ調の清潔さと対比させているのが興味深いといえます。

先述のように、これらもスター・ウォーズでありながらスター・ウォーズではないようなものの一例です。タイムラインのこの時点における銀河の状況を物語っているという点でこの対比もうまく機能しています。

ガスガノ

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ポッドレースのシーンでは、さまざまなデザインのエイリアンが現われます。とりわけガスガノには特別な賞賛を贈るべきでしょう。

ガスガノは第一に多腕デザインの魅力的な変人であることがまず素晴らしい。そして、ブーンタ・イヴ・クラシック・ポッドレースにおいて途中でクラッシュすることなく、最終的に2位入賞を果たしたという点も素晴らしいといえます。

パドメの玉座にあるブラスター・ピストル

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ナブーという国のビジュアルアイデンティティは、平和主義者であり「軍事力よりも貿易や文化交流を優先する社会」という概念の喚起を目的としています。

軍事的なアイコンも洗練されたデザインとして表現されています。先述のスターファイター、木製のハンドルのブラスターや首都シード警備隊の制服、パドメや侍女たちの戦闘服などなど、ナブー社会の見え方を形作っています。

だからこそ、捕らえられたかのように見えたパドメが通商連合のヌート・ガンレイに対して形勢を逆転させるシーンは非常におもしろいといえます。玉座に飛び乗って、ひじ掛けのひとつにあるパネルを開けると隠されたいくつかのブラスター・ピストルが現われます。それを捕らえられた警備隊にすばやく投げ、集まったバトル・ドロイドを排除させ、ヌート・ガンレイとルーン・ハーコを捕虜にするのです。

ここで気になるのは、通商連合の侵攻の前から緊迫した状況であったことはわかりますが、パドメはいつから、つまりどれくらいの間玉座にブラスター・ピストルを隠していたのか、ということです。

ダース・モールのダブル=ブレード・ライトセーバー

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ライトセーバーをよりかっこよくするにはどうすればいいか、そんな問いに対する答えがこのダブル=ブレード・ライトセーバーです。2本目のライトセーバーを取り付ける、つまり柄の両端からブレードが出ているわけですね。

ダース・モールは、クワイ=ガンとオビ=ワンと戦う前に、柄を前方に回して片側のブレードを放出し、次に2本目を出す前に動きを一度止めて投げるような動作をします。このちょっとした華麗なモーションによってかっこよく見えるわけです。

ピット・ドロイド

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先述のようにバトル・ドロイドが『ファントム・メナス』以降にコミックリリーフとなりましたが、この作品ではそうなってはいません。その理由のひとつに、すでにピット・ドロイドという存在がいることがいえるでしょう。

素晴らしいデザインでとてもおもしろく、いきいきと動く姿が愛らしいです。

ジェダイ・オーダーはすでにひどい状態だった

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旧三部作は、ジェダイの破滅を覚悟しながらも、彼らが台頭していた時代でもあったという描かれ方がされています。そのなかで画面上に映らないが、基本的にはちょっとひどい感じ、といった言及もあるわけです。

ジェダイ・オーダーがライトセーバーを扱うのは上手いけど、この時点ですでに腐敗した状態であると表わすようなシーンがあります。

ジェダイ評議会でクワイ=ガンが懸念やアナキンの可能性を語り、弟子として育てると提言シーンにおいて、評議会のメンバーは何気なく自然にそれらを無視するのです。

こうした姿勢を見せるジェダイですが、ルーク・スカイウォーカーが目指した神話や伝説の英雄たち、それが彼らといえるのだろうか、と考えたりもします。

一方で、アナキンが憧れるジェダイの英雄はタトゥイーンの奴隷を解放するためではない、としながらも引き裂かれるような表情を見せるクワイ=ガンの存在に救われる気もします。

グンガン軍のブーマ

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グンガンたちが使用するプラズマエネルギーの球体型グレネードのブーマです。

ここでもサウンドデザインの妙がみられるわけですが、転がり弾む音や敵の歩兵などを飛び越えるときのエレクトリックな振動音はとにかく素晴らしいです。

ブーマはビジュアルとしても非常に美しいデザインです。グンガンとナブーの興味深い文化的なつながりや芸術性を重要視する姿勢も表わすようなものといえるでしょう。

レイ・シールド

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シールドという概念は『スター・ウォーズ』において新しいものではありません。しかし、旧三部作では実際にシールドを視覚的に見ることはなかったのです。

これまでは、ブラスターの射撃が閃光とともに消えることで表現されていましたが、『ファントム・メナス』ではシールドを視覚的に表現していることがわかります。

ドロイデカの一斉射撃からクワイ=ガンとオビ=ワンを守る球体状のものや、砲撃からグンガン軍を守る巨大なドームなど、シールドが目に見えるのは実に素晴らしいです。

パルパティーンの巧みな悪だくみ

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非常にメタ的な話ですが、観客である私たちはパルパティーンが登場していることで、すぐにパルパティーンが悪事を企んでいることがわかります。

それでも、演じるイアン・マクダーミドは、元老院議員としての姿で登場するときは正にそうであるかのように高い演技力を披露するのです。

一方ダース・シディアス卿のシーンではかつての(劇中では未来の)帝国皇帝として要素が見られます。

議会において彼がパドメにコルサントの現状を説明し、ヴァローラム議長を退任させる流れに誘導していくあたりは、卑劣なまでに完璧に演じています。『ファントム・メナス』において、彼はケラケラと笑ったり、"正に悪役"といった見た目もしていませんが、実に魅力的な邪悪さを持っているのです。

政治的な背景

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新三部作の最初のオープニングクロールとしていきなり課税について語られたのは、公開当時に物議を醸したりしました。

しかしながら銀河共和国がこのような政治的な泥沼に陥っていたことを知れたのはよかったといえます。

その後、現在のシステムが維持不可能になり、パルパティーンのような人物が利用しようとするためにうってつけの状況であることがわかるので、むしろ効果的だとも考えられます。

シミ・スカイウォーカー

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アナキンの母であるシミ・スカイウォーカーは、一連のタトゥイーンでのシーンでのみ登場します。それでも、演じるペルニラ・アウグストは、その少ない出演時間にもかかわらず、アナキンの母として信じられないほど感動的な演技を見せてくれます。

息子に対する心配や不安と、自由を勝ち取った喜びと自分自身は取り残される絶望と、さまざまな側面を見せるシミの存在は、新三部作の基盤となるアナキンのストーリーの核となっています。

その後成長していくアナキンが抱える苦悩と正義感、そうした精神を定義づける意味でもうまく演じ切らなければキャラクターというわけです。そしてペルニラ・アウグストはその控えめな演技によって成功させました。

運命の闘い(サウンドトラック)

新三部作のアンセムともいえるこの曲を取り上げないわけにはいきません。

ジョン・ウィリアムズによる楽曲は新三部作においても素晴らしい作品が山ほどありますが、このコーラスを初めて聴いたときの感動は一番でしょう。

この曲は、これまでスター・ウォーズのサウンドスケープとして私たちが描いてきたものとは違いました。しかし、今ではこの曲なしでスター・ウォーズの音楽を思い描くことは不可能といえます。

運命の闘い(シーン)

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楽曲によって、クワイ=ガンとオビ=ワン対ダース・モールの決闘が『ファントム・メナス』のハイライトのひとつになったのは間違いないでしょう。

しかし、この決闘シーン自体もまた素晴らしいスペクタクルといえます。フォースの使い手同士の戦いが、回転や跳躍といったアクションを見せ、さらに1対1ではなく3人が入り乱れるようなシーンは旧三部作では見られなかったものです。

剣の衝突というよりもむしろダンスに近いこの決闘は、以降のスター・ウォーズにおけるライトセーバーの戦いのベースのようになっています。

ナブーの平和の珠

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改めて、ナブーの人々は光るボールが好きなんだなあと思います。

通商連合による侵攻が終わり、平和の象徴として掲げられたこの平和の珠は例によってプラズマエネルギーを利用して光ります。

ルーガー・ナスがこのミラーボールを空に掲げながら平和を叫ぶこのシーンは、平和の珠の光もあり非常に明るいものとなりました。

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