井岡一翔の視界から外れた田中恒成 「質より量」過酷トレで描く逆襲「その中で4団体統一を…」
7.20トリプル世界戦
ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者・田中恒成(畑中)が31日、都内で会見し、7月20日に東京・両国国技館で行われるトリプル世界戦興行で同級12位ジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)との初防衛戦を行うと発表した。興行はAmazon プライム・ビデオで生配信。戦績は28歳の田中が20勝(11KO)1敗、28歳のロドリゲスは25勝(17KO)2敗1分け。
田中は自分への“リベンジ”を誓った。2月にクリスチャン・バカセグア(メキシコ)に3-0の判定勝ち。2020年大晦日に井岡一翔(志成)に敗れて以来、3年2か月ぶりの世界戦で井岡、井上尚弥に続く日本人3人目の4階級制覇を達成した。しかも、元世界6階級制覇王者オスカー・デラホーヤ(米国)の24戦を上回る世界最速21戦目。
だが、本人は「獲れた嬉しさよりもKOできなかった悔しさが残っています」と反省が口をついた。派手な試合に飢えている。
「KOはもちろん意識して戦います。それに加えて、前回出た課題。左でしっかりコントロールしながら、いかに右に繋いでいくか。コンビネーションを繋いでいくか。自分のボクシングを、自分の武器を、良さをもっと出せるように頑張ります。自信はあります」
相手のロドリゲスは「タイタン(巨神)」の異名を持つ28歳。3年前にIBF世界同級王座を9度防衛したジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に0-3の判定負けを喫したが、スタミナと好戦的なスタイルを併せ持つ。田中は「腕力が強いのかなと。フックとアッパー系のパンチは、力強さに加えてスピードもある。接近戦でも常に警戒しておかなければいけない」とイメージした。
「今回の試合、危機感というか、緊張感をとても持っています。これからスーパーフライ級でWBCのビックマッチ、統一戦がある。この試合で求められるのは勝ち方、試合内容。前回このベルトを獲得した試合内容ではもちろん不十分。だからこそ、自分自身を追い込んで前回よりもより良いパフォーマンスを見せられるように頑張ります」
同級は井岡がWBA王座、フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)がIBF王座、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)がWBC王座に君臨。エストラーダは6月29日にIBF&WBO世界フライ級王者ジェシー・ロドリゲス(米国)の挑戦を受け、井岡とマルチネスが7月7日に統一戦を行う。4団体統一が目標の田中は存在感を見せないといけないところだ。
井岡の興味がないという発言に「それが当たり前の回答」
そのために大事にするのが「攻める」。すでにスパーリングを始めたが、今回は海外合宿ではなく所属ジムに軸足を置いた。「量より質とか、質より量とかいう言葉もありますが、今回は量を意識して自分を追い込んで作り上げたい」。理由は明白。KOだ。
「追い込んでやるからこそ、チャレンジャー精神だったり、出てくる気持ちがある。ラウンド数は決めていないけど、ジムワークも走り込みも追い込んでいきたい。ただ、こう見せたいとか意識すると、うまく運ばないことが多い。そういう中でいかに自分に集中していくか。他人に振り回されないように。
見ているのはこの先の大きい試合。7月に統一戦があるし、6月29日にもある。そういう選手たちとの試合です。そこにたどり着くためには防衛戦の勝ち方がとても大切。これからの防衛戦は常にそれを考えることになる」
井岡は一度下した田中について興味がないという主旨の発言をした。視界から外れたことを受け、田中は「その気持ちはわかる。当たり前の回答だと思う」と理解を示し、「その中で4団体統一をしたいし、そこまでにどういう道になるか」と王座総獲りを見据えた。
「KOするにしても、完封するにしても、勝ち方が問われる。しっかり追い込んでつくること。KOすると思っていなくてもKOするくらいにしたい」
興行は「Prime Video presents Live Boxing」の第9弾として行われる。この日はプライム・ビデオが那須川とスポンサーシップ契約を締結したことも発表された。
【7月20日の対戦カード】
▽WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
王者・中谷潤人(M.T)
VS
同級1位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)
▽WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
王者・田中恒成(畑中)
VS
同級12位ジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)
▽WBO世界フライ級王座決定戦12回戦
同級1位・加納陸(大成)
VS
同級2位アンソニー・オラスクアガ(米国)
▽10回戦
那須川天心(帝拳)
VS
ジョナサン・ロドリゲス(米国)
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)