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マルチツールといえば、ビクトリノックス社のスイスアーミーナイフでしょう。栓抜きや爪やすり、小さなハサミ、ナイフなど、複数の道具がコンパクトにまとまっていて便利なんですよね。

でも、ビクトリノックス社は、そんなポケットツールからナイフを省いたものを新たに開発中なんですって(すでに既存のツールからナイフを省いたバリエーションは存在しています)。

ナイフ付きのスイスアーミーナイフを歓迎しない国が増えてきている

スイス土産としても大人気のスイスアーミーナイフですが、日本を含む一部の国ではナイフの携帯に対して厳しいルールが定められています。

たとえば、日本なら銃刀法や軽犯罪法でナイフをはじめとする刃物の所持が制限されています。過去にはスイスアーミーナイフを携帯していた人が有罪判決を受けたこともありました。

イギリスは18歳未満への3インチ(約7.6cm)を超える刃物の販売は禁止されていて、正当な理由がなければ所持してはいけません。スイスアーミーナイフのように折りたたみ式かつ刃渡り3インチ以下のようなものは含まれませんが、街中にナイフの回収ボックスが設置されるほど所持率を低下させるための取り組みが盛んなんです。

ビクトリノックス社はこういった国におけるサービスの展開を模索してきました。そして、ナイフのついていないポケットツールを開発することになったのだそうです。

ナイフを省く決断は大きな意味を持っていると思う

スイスアーミーナイフからナイフを省くというのは、ビクトリノックス社にしたら大きな決断だったと思います。

同社は、1884年に創業者のカール・エルズナーがスイスのシュヴィーツ州イーバッハにナイフのワークショップを開いたところから始まっています。

その後、スイス軍にスイス製のソルジャーナイフを供給したり、今のマルチツールの原型ともなるオフィサーナイフが特許を取得したりしました。

ビクトリノックスという名前も、創業者を献身的に支えてくれた母親「ビクトリア」と、刃物にとって欠かせない「ステンレススチール(Inox)」を組み合わせて作った言葉。つまり、ナイフは同社の存在意義といっても過言ではないと思われます。しかし、ナイフを道具ではなく武器だと捉える人が増えてきている中、変化を受け入れることが生存戦略の一つなのでしょう。

ちなみに、すべてのスイスアーミーナイフからナイフを省くわけではなく選択肢を増やしたまで。

ナイフが理由で購入を躊躇していた層にとって、喜ばしい判断ではないでしょうか。

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