フットロッカー(Foot Locker)は4月24日の朝、将来のスニーカー発売やカスタマイズシューズに焦点を当てるコーナーを備えた、新たな小売コンセプトを発表した。この新店舗はニュージャージー州のショッピングモールである「ウィローブルックモール(Willowbrook Mall)」にオープンした。

フットロッカーにとってこの新しいストアコンセプトは、将来的にどのように店舗をデザインしたいかを示すプレビューであると同時に、遅まきながら小売の優先順位を見直すという課題の表れでもある。同社の収益の80%以上は、数千の実店舗を通じて生み出されている。

スニーカーファンにとって最高の場所に



フットロッカーはウィローブルック店と同じデザイン要素をいくつか取り入れた店舗を、今年中にさらにオープンする予定だ。今年後半には子ども用スニーカーに注力した別の旗艦店がマンハッタンにオープンし、パリ、デリー、メルボルンにも新店舗を展開する。既存店舗もリニューアルし、2500店舗のうちの3分の2以上を来年末までに改装する見通しである。

フットロッカーのエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフコマーシャルオフィサーであるフランク・ブラッケン氏は、フットロッカーがスニーカーファンにとって最高の場所であることを証明したいと米Glossyに語った。同氏はこの店舗を「スニーカーファンのために最新のオムニチャネル体験を提供するという当社の取り組みを実証するものだ」と説明している。

「この新店舗によりフットウェアを最前線に置き、品揃えを充実させ、ブランドのストーリーテリングを高めることで、消費者をスニーカー文化に没入させる」。

店舗に「スニーカーハブ」を設置



この新店舗がさらに幅広いスニーカー文化を発信する方法のひとつに、新しい「スニーカーハブ(sneaker hub)」の提供がある。このコーナーでは今後発売される注目のスニーカーが紹介され、購入したスニーカーのカスタマイズも可能だ。またシューズの共同試着エリアも設け、そこではどのシューズが人気で売れているかを顧客が把握することができる。

この刷新は、フットロッカーが継続させている「レースアップ(Lace Up)」ブランド戦略の一環であり、昨年のフットロッカーの投資家デーにおいて、同社CEOであるメアリー・ディロン氏が発表した。この戦略のために、同社は店舗改装に2億ドル(約315億円)以上を投資した。ディロン氏は2022年にフットロッカーに入社して以来、実店舗小売をフットロッカーの成長戦略の中心に位置づけようと注力している。

ディロン氏はプレス向け発表において、フットロッカーの主な対象顧客としてスニーカーファンに注力するというブラッケン氏のこだわりを改めて強調した。同氏はこの新しいコンセプトについて、「スニーカーファンに魅力的で最先端のショッピング体験」を提供するというフットロッカーの取り組みを反映していると語る。

フットロッカーの株価は、ホリデーシーズンの売上目標を達成できなかった前四半期に30%近く下落した。前四半期の売上高は前年同期比で23億8000万ドル(約3751億円)に増加したが、投資のなかでも特に小売への支出を増やしていたため損失は拡大した。

[原文:Foot Locker’s new retail concept reflects deeper investment in brick-and-mortar]

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)