(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第118回は、東大生も実践する、記憶を定着させる方法を紹介します。

何度も覚えたはずなのにド忘れする


「なかなか物事を覚えることができない!」

「覚えられても、すぐに忘れてしまう!」

そんな悩みを抱える人は、多いのではないでしょうか? 記憶というのは不思議なもので、何度も触れているはずのものでも、忘れてしまうこともありますし、テストになって「あれ!? ド忘れしちゃった!」となってしまう場合もあります。

今回は、記憶を定着させるために、東大生がやっている勉強法について、みなさんにご紹介したいと思います。1日5分あれば誰でも簡単にできる勉強法で、「メモリーツリー勉強法」と呼ばれています。

まずは、『ドラゴン桜』の中でこの勉強法が実践されているシーンをご覧ください。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)



(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしょうか? このメモリーツリーは、3つのステップで作るものです。

1 なんでもいいから、真ん中にテーマを書く

歴史の勉強であればその時代を象徴するような出来事を、英単語であれば派生語が多い単語を書きましょう。人の名前や、今日あった出来事を覚えたい場合は「〇〇さん」とか「今日の講義で覚えたこと」など、なんでもいいので書いてみましょう。

2 そのテーマから派生させて、いろんな言葉を書いていく

どんなつながりでもいいので、関係性のある言葉を書いていきましょう。歴史の出来事であれば、それが起きた年号・関連する歴史上の人物などを書き、英単語であれば同じ意味の言葉や、派生した言葉・反対の意味の言葉などを書きます。


英単語のメモリーツリー(筆者作成)

厳密なルールがあるわけではなく、自分で「つながり」を意識できるものであればなんでもいいので、拡大解釈して、書いても構いません。

でも、「覚えたい単語を書く」という縛りは設けておいたほうがいいかもしれません。覚えなくてもいい言葉は書かず、忘れたくない言葉をいっぱい書くことができれば、メモリーツリーの効果が出てきます。

さまざまな要素がつながって記憶が形成される

3 作ったツリーに情報を書き足していく

漫画の中では絵や語呂合わせでしたが、その言葉に付随する情報や、その言葉の説明など、何を書き加えても大丈夫です。記憶に取っ掛かりを作るイメージで、ぜひどんどん書いてみてください。

これを、毎日のように白い紙に書いていく習慣を作れば、物事を忘れにくくなります。人間の記憶というのは、「一対一」で対応して覚えていくものではありません。

例えば、言葉であれば、「不可能=できないこと」「不自由=自由がないこと」「不本意=本意でないこと」という3つを覚えているのではなく、「『不』と頭に付いたら、その後ろの熟語を否定する意味になる。例:不可能=できないこと・不自由=自由がないこと」というように、共通点やつながりが、頭の中に形成されていくことになります。

英語でも「『sta』と付く単語には『立つ』という意味が多い。例:stand=立つ・establish=確「立」する・stable=安定する(立つことができる)」と覚えていくと覚えやすいです。


この連載の一覧はこちら

また、歴史では「関ヶ原の戦いで石田三成が徳川家康に敗れ、徳川幕府が作られるようになり、この戦いの前から付き従っていた大名を『譜代大名』、戦いの後から付き従った大名を『外様大名』と言う」と、1つの単語から次の単語につなげていくように覚えていくことで、複数の単語を同時に覚えることができるようになります。

1つの単語から派生して思い出す

このように覚えることで、1つの単語を忘れてしまったとしても、「安定する、ってなんだっけ? 確か、『立つ』と同じタイミングで覚えたよな?ってことはstaが入ってて……stableか!」と思い出すことができるようになります。つまり、1つの単語から派生して物事を思い出すことができるようになるのです。

「なかなか物事を覚えることができない」という人はぜひ、このメモリーツリーを作ってみましょう。

受験勉強や、子供への教育など、西岡壱誠さんへの質問を募集しています。こちらの応募フォームからご応募ください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)