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(カナダ・トロントから現地レポート)『スパイダーマン』シリーズで、ピーター・パーカー(トム・ホランド)の友人ネッドを演じたジェイコブ・バタロン。彼のホラー映画デビューとなる作品『Tarot(原題)』が、北米で劇場公開となった。

本作は、Rotten Tomatoesで批評家スコア12%(現地時間5月5日時点)という散々な数字を叩き出しているが、その一方で、米によると米国内興行収入で625万ドルを記録、すでに予算の800万ドルに近い数字に到達し、赤字にはならない予想。オープニング週末ランキングでは、低スコアとは裏腹に4位を記録している。

そんな本作の最大の魅力は、次々と若者を襲うホラーキャラクターたち。ギレルモ・デル・トロが製作を務めた『スケアリーストーリーズ 怖い本』を彷彿させる個性的なビジュアルで、独特な襲い方を披露する。

1992年のニコラス・アダムスの小説「Horrorscope(原題)」を原作とした本作は、7人の大学生たちを中心に描かれる。ヘイリー(ハリエット・スレイター)、グラント(アダン・ブラッドレイ)、ルーカス(ヴォルフガング・ノボグラッツ)、パクストン(ジェイコブ・バタロン)、ペイジ(アヴァンティカ・バンダナプ)、マデリン(ハンバリー・ゴンザレス)は、エリーズ(ラーセン・トンプソン)の誕生日を祝うために、ある屋敷を借りる。そこで閉ざされた地下室を発見し、探索することに。

不気味なアンティークが置かれているこの場所で、奇妙な絵柄が入ったタロットカードを見つける。タロットのリーディングができるヘイリーは、エリーズから早速占って欲しいと頼まれるが、「他人のタロットカードのデッキを使ってはいけない」という神聖なルールを破ることにためらう。しかし、仲間の強引な要求により、星座に基づく占いをすることに。エリーズは「女教皇」、マデリンは「吊るされた男」…などそれぞれ違うカードが出る中、ヘイリーも自身を占ってみるが、そこで「死」のカードが出てしまう。

翌日キャンパスに戻る途中で、ルーカスがくじに当たり700ドルをゲット。「金銭的な変化がある」というヘイリーの占いが当たっていることに一行は驚く。その夜、エリーズはカードから出てきた「女教皇」に襲われ無惨に殺されてしまう。仲間が1人、また1人と襲われる中、ヘイリーは仲間を襲う不幸がタロットの占い結果と一致していることに気づく。

「女教皇」「吊るされた男」「愚者」「魔術師」など、呪われたタロットカードの絵柄が現実となって、容赦無く襲いかかる。襲い方も非常にユニークで、「吊るされた男」はロープ、「魔術師」はステージ道具を使うなど、それぞれのカードの特徴を活かしているのも面白い。また、いつ恐怖が来るのかわからない「耐え難い静寂」も多く含まれており、まるで複数のホラー映画のジャンプスケアシーンを集めたような仕上がりになっている。

その一方で「変えられない運命に翻弄される」「1人、また1人と犠牲になっていく」という設定はかなり王道で、ストーリー展開的にそれほどスリルがなかったのが残念ポイント。「薄っぺらい物語」という辛辣なレビューも海外では見受けられたため、これがRotten Tomatoesで低スコアとなった理由の一つなのかもしれない。

ちなみに本作で監督を務めたのは、脚本も手がけたスペンサー・コーエンとアンナ・ハルバーグ。ふたりはこれまで、脚本家、監督、プロデューサーとして、『ムーンフォール』、『エクスペンダブルズ ニューブラッド』、『エクスティンクション 地球奪還』などの作品でタッグを組んできた。そんな2人の長編デビュー作となった『Tarot(原題)』、日本公開は今のところ未定である。

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