「何となくいい感じにしてほしい」じゃダメ?

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 髪をカットしてもらいたいと思ったとき、明確に「こういう髪形になりたい!」と希望するイメージがある場合もあれば、「何となくいい感じにしてもらいたい」と曖昧なときもありますよね。実際、担当美容師に「ちょうどいい感じで!」などと伝えた経験がある人もいると思いますが、このような“ざっくりオーダー”に対して、プロはどのように感じ、対応しているのでしょうか。美容師の原木佳祐さんに本音を聞いてみました。

やりとりを重ねながら「なりたい姿」を予測し…

Q.美容院で髪形や長さをオーダーするときは、どのくらい具体的に説明した方がよいのでしょうか。

原木さん「なりたいイメージがある場合は、もちろん細かくお伝えいただいた方がよいのですが、特にない場合もありますよね。そのようなときは、いくつかお客さまとやりとりを重ねながら、なりたい姿を予測しつつ気持ちをくみ取るようにしています。

例えば、『長さはそろえる程度で』と言われたら『あまり雰囲気を変えたくないのかな?』『このまま髪を伸ばしたいのかな?』などと予測します。その上で、『どこまで切ってもいいのか』『毛先以外の部分をどうするか』といったやりとりを経て施術に入ります。

もし『お任せします』というオーダーだった場合、『自分(美容師)の提案するスタイルやセンスに期待してくれているのかな?』と感じると思います。ただ、日本の場合、『お任せ』といっても『何でも好きにどうぞ!』とまでオープンに考える人は少ないため、お客さまの許容範囲はお聞きしながら進めることになりますね」

Q.「ちょうどいい感じで」や「クセが目立たない感じで」など、美容師それぞれの主観で変わるようなオーダーはどのように対応されるのでしょうか。

原木さん「お客さま自身の『ちょうどいい』というイメージと、美容師が似合うと思う『ちょうどいい』のイメージが大きく異なってしまうと、ご満足いただけない結果につながってしまいます。そういうことがないように、イメージの認識をすり合わせながら施術を進めることになると思います。ある程度の全体像を先につくっておき、『こういう感じでどうですか?』とイメージをお伝えする…という流れです。場合によっては『前髪の長さを数ミリ単位で』など、細かい調整に及ぶこともあります」

Q.“ざっくりオーダー”の施術後、喜んでもらえなかったり、納得してもらえなかったりした場合はどうしていますか。

原木さん「あまりにも方向性が定まっていないオーダーになると困惑してしまうかもしれませんが、美容師が施術をするときは、どんなお客さまでも『喜んでいただける』ことが一番です。

もしも『ちょっとイメージと違う』ということであれば、その場で修正できる程度であればすぐに修正しますし、予約時間内での対応が難しい場合は、後日カットのお直しをさせていただくことになると思います」

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 美容院へ行くときに「なりたいイメージ」が固まっていなくても、雰囲気や似合う要素などを照らし合わせて、美容師が髪形を提案してくれることが多いようです。ただ、どのように顧客とやりとりをするのかは、美容師それぞれの進め方があると思われるので、好きなスタイルやNGのイメージがあれば先に伝えておくと、納得できる仕上がりになりそうですね。