今回は「新玉ねぎのサラダ」の作り方を伝授します(以下、写真はすべて筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は「新玉ねぎのスライス」「新玉ねぎのサラダ」です。

皮が薄く、水分が多くてやわらかい

春は店頭に新玉ねぎ、新キャベツ、新じゃがいも、新にんじんなど名前に新がつく野菜が並ぶ季節です。なかでも新玉ねぎは今の時期だけの味わい。通常の玉ねぎは収穫してから1カ月ほど乾燥させて出荷されるのですが、新玉ねぎはすぐに出荷されます。そのため皮が薄く、水分が多くてやわらかい、という特徴があります。保存はきかないので買ってきたら野菜室に保存し、早めに食べましょう。


新玉ねぎは早生種の玉ねぎ。ふつうの玉ねぎとは品種も違います

新玉ねぎは個人的にも好きな野菜の1つ。なるべく手をかけずに旬の素材のおいしさを味わいましょう。オニオンスライスは居酒屋料理の定番ですが、通常は薄切りにした玉ねぎを水にさらすことで、辛味を抜きます。しかし、新玉ねぎを水にさらすとせっかくの甘みが逃げてしまうので、そのまま調理します。

新玉ねぎのスライスの材料(2皿分)
新玉ねぎ      1個
しらす       30〜40g
酢         大さじ1/2(1皿に対して)
うすくちしょうゆ  小さじ1(1皿に対して)

新玉ねぎは天と地を切り落とし、薄い皮を剥きます。まずは半分に切りましょう。


半分に切るときは根元を上にして切ると確実です

繊維を断ち切るようになるべく薄く切っていきます。包丁をなるべく大きく動かして細胞を壊さないように切るのがコツ。切った玉ねぎをかじってみて、辛味が強いと感じたら皿などに広げて15分ほど放置します。この工程で玉ねぎの辛味成分の一部が揮発し、辛味がマイルドになります。


根本は取り除いてもいいですが、そのままでも食べられます

とはいえ新玉ねぎはこの辛味もおいしさの1つ。ビールのつまみにするのであればすぐに盛り付けてしまってもかまいません。お皿に移し、しらすをたっぷりと載せましょう。


しらすをたっぷり載せます

酢をまわしかけます。酢の酸味が加わると玉ねぎの甘みが引き立ち、辛味が和らぎます。酢は穀物酢を使いましたが、米酢でもかまいませんし、レモン汁も意外と合います。


ポン酢で味付けする場合も先に酢を回しかけると甘みが引き立ちます

うすくちしょうゆで味付け。しらすの塩味があるのでしょうゆは控えめに。


しょうゆも全体にまわしかけます

出来上がり。たっぷり載せたしらすの塩味とうま味で新玉ねぎを食べる料理です。シンプルですが、これがおいしい。新玉ねぎのスライスはお刺身にたっぷりと添えてもいいですし、焼いた肉に添えてもおいしく食べられます。もっともこれは辛味を楽しむ料理。玉ねぎの辛味があまり好きではないという方は加熱して食べることをオススメします。


しらすの代わりに鰹節を使ってもいいでしょう

新玉ねぎのサラダの材料(2人分)
新玉ねぎ      1個
イタリアンパセリ  適量
酢         小さじ1
うすくちしょうゆ  小さじ1
サラダ油      小さじ2
黒こしょう     少々

新玉ねぎは1cmのくし形に切ります。この切り方だと中心部分は薄く、外側ほど厚くなり、食感に変化が生まれます。


繊維を残す切り方です

ドレッシングは油、酢、しょうゆを混ぜるだけです。このドレッシングはどんな野菜にもよくあいます。


時間が経つと分離するので使う直前にもう一度混ぜます

辛味を抜くために1%塩分濃度の湯で短時間ボイルします。


鍋に水500mlと塩5gを加えました

ゆですぎは禁物。タイマーを使い1分だけゆでます。余熱でも火が通るので早めに引き上げるのがコツです。


玉ねぎを加えると湯の温度が下がるので火を強めましょう

水が入ると味が薄くなるのでザルなどで水気をしっかりと切ってからドレッシングのボウルに加えます。


上からキッチンペーパーで押さえるようにして水気を切るとより丁寧です

ドレッシングでさっとあえたらイタリアンパセリと黒こしょうを加えてアクセントにします。


パセリはハサミで切ると香りが立ちます

少し時間を置いて、冷めてきたところが食べごろ。しゃっきり感を残したまま新玉ねぎの甘さが味わえる料理です。塩が入った湯でゆでるので下味が入っていますが、味が足りなければ塩ひとつまみを足してください。焼いた魚の付け合わせにもなりますし、そのまま箸休めにもなります。


出来上がり

新玉ねぎは今の時期しか味わえない食材です。今回のようなサラダ仕立て以外も煮ても炒めてもおいしく食べられるので、今のうちに楽しみましょう。


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(樋口 直哉 : 作家・料理家)