サイゼリヤの「ミラノ風ドリアとドリンクバー」で時間を潰す…平均年金「14万円」の高齢者「家にいるほうがお金がかかる」の実情

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平日の午前中にファミリーレストランに押し寄せる高齢者たち。そこには物価上昇が続くなか「コスパ」を優先する高齢者の姿がありました。いまどきの高齢者の実情とともに、シニアのなかでも60代のうちに出来ることを考えていきましょう。

光熱費高騰…家よりサイゼにいるほうがお得?

――平日の午前中は高齢者でいっぱい

そんな投稿の舞台となったいるのは、郊外のとある「サイゼリヤ」。店内のあちらこちらで、高齢者が中心のグループが話を咲かせ、ほぼ満席状態だったといいます。同じような光景は多くのサイゼリヤで見られるよう。なぜ、サイゼリヤに高齢者は集まるのでしょうか。

――ミラノ風ドリアとドリンクバーで500円。神だね

老若男女問わず「コスパ最強」が支持の理由のようです。また「ずっと家にいるほうがお金がかかるから」との声。昨今の光熱費の高騰で、友人たちとサイゼリヤで過ごしたほうがずっとお得だといいます。

総務省『総務省統計局 小売物価統計調査(2023年12月)』によると、全国の電気代(従量電灯/最低料金制/441kWh)は1万3,020円。同年1月の1万5,278円よりもだいぶ下がったものの、まだ「電気代、高いなぁ……」とボヤいてしまう水準です。

さらに灯油代(白灯油/詰め替え売り/店頭売り)は全国平均2,104円。こちらも近年の世界的なエネルギー価格の高騰により、高止まり状態が続いています。

実際、自宅にいたらどれくらいお金がかかるものでしょうか。たとえばクーラーの電気代。1時間当たりの電気代は「消費電力(W)÷1000×電気料金単価(円)」で算出します。

たとえば大手家電量販店で売上トップだったパナソニックCS-J223D-Wの場合、「470÷1000×電気料金単価(円)。電力料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価に準じて、1kWhあたり31円とすると、1時間当たり14.57円。1日8時間使用したとしたら116.56円。1ヵ月(30日)使用したら、3,496円となります。

この機種は6畳用なので、リビング用のエアコン、売上トップの東芝 RAS-K562DXBK-W(主に18畳用)で算出してみると、1時間当たり60.45円、1日8時間使用で483.6円、1ヵ月(30日)使用で1万4,508円となります。

単純に友人たちとサイゼリヤで「ミラノ風ドリア+ドリンクバー」で過ごすのと、自宅で過ごすのとを単純に比べられるものではありませんが、高齢者でも「コスパ」を考える時代、「サイゼで行ったほうがお得」と考える人が多いのも納得です。

70〜80代になるころには「平均年金11万円」…60代のうちにできること

日本銀行が全国の満20歳以上の個人を対象に行った『第96回 生活意識に関するアンケート調査』(調査期間:2023年11月9日〜12月5日)によると、「1年前よりも景気が悪くなった」と回答したのは58.9%。昨年9月調査では55.0%、6月調査では49.6%で、「景気が良くなった」の回答も減少していることから、「景気が悪くなっている」と感じている人が増えていることが分かります。

また「1年後の景気」に関して、「良くなる」が8.4%、「悪くなる」が38.5%。その差は昨年12月▲30.1%。昨年9月▲30.1%、昨年調査と変わらず、6月調査では▲15.8%。将来を悲観している人のほうが優勢、という状況が続いています。

高齢者に限れば、生活を支える年金が2024年4月支給分から2.7%引き上げとなり、2年連続の増額と歓喜のはずが、年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」も2年連続で発動されるため、増加率は実際の賃金の伸びに比べて0.4ポイント目減り。物価上昇分を超えることはなく、厳しい家計運営が続きます。

さらにネガティブな話を続けるなら、これから先、年金の目減りは既定路線で、現在の60代が70〜80代になる2040年代には、2割減は確実です。現在、厚生年金の平均受給額は併給の国民年金と合わせて14万4,982円。働いて収入を増やすことが難しくなる年のころには、手にする年金が平均11.5万円ほどの水準になるということになります。

――年金月11万円

なかなか厳しいことはイメージがつくでしょう。そのためにまだシニアとしては若い60代のうちにできることを実践すれば、これから先の不安を減らすことができるでしょう。

60代にできること:収入を増やす

正攻法といえるのは、やはり元気なうちは働き、給与収入を得ること。昨今60代前半の就業率は7割、60代後半は5割に達し、70代前半でも3割の人は働いています。定年後も働くというのが、いまどきのスタンダードです。また定年後も厚生年金に入れるなら、保険料を払った分だけ年金額も増加。また国民年金に未加入期間や未納機関があるなら、高齢任意加入で満額受給を目指すことも重要です。

60代にできること:収支を常に把握し見直す

現役時代に比べて、収入が大きく減る60代。定年により3〜4割、現役完全引退し年金生活に入るタイミングではさらに3〜4割減となります。そのようななか、大切なのは収支をコントロールすること。常に「支出が収入を上回らない」ように生活できれば、老後の不安は大きく減少します。

[参考資料]

総務省『総務省統計局 小売物価統計調査(2023年12月)』

日本銀行『第96回 生活意識に関するアンケート調査』

厚生労働省『令和6年度の年金額改定について』