“銀座のフレンチでデート”と聞いたら少し堅苦しく感じてしまう。そんな不安を吹き飛ばす要素にあふれる店が「新橋演舞場」近くにある。

シェフがフランスでも修業した本格派なのも頼もしい『TROIS VISAGES』で、気軽にフレンチデートを!


華麗なキャリアを歩んだシェフが、銀座に新風を吹き込む

『TROIS VISAGES』の店内。 デンマーク「ハンス J.ウェグナー」のイスや「ルイスポールセン」の照明を配置。器はパリで購入するなど、ディテールすべてがハイセンスだ


「銀座という都会にいながらも、季節感や地方の自然を感じてほしい」と話すシェフ・國長亮平さんの意図が、人を和ませる要素を多く生んでいる。



珪藻土の塗り壁、屋久島の地杉を使った荷物置きなど、日本古来の建築材にもフォーカスして作られた店内


ナチュラルな内装もメニューの見せ方もその一貫。


誰もが懐かしさに笑顔になる、めくって楽しい「本日の献立」


着席して目の前にある「ウェルカムボウル」を開けると、中にはカラフルな季節の草花と小さな単語帳が。




実は、単語帳にはこの日の料理が1品ずつ記載。




その月に合う糸で束ねられたメニューを集めている常連もいる。



キッチン内に視界を遮るものは何もなく、どの席からも調理する姿がよく見える。國長さんは山口県出身の35歳。店名はフランス語で“3つの顔”を意味し、生産者・ゲスト・店のスタッフを指す。「この3者がより密接に交わるような店にしたい」


國長さんはクラシックフレンチの名店『ル・マンジュ・トゥー』で長年修業し、フランスでも腕を磨いたエリートにして、自然との距離が近いシェフでもある。

千葉の契約畑に頻繁に赴く他、地方の生産者の収穫にも参加。その中で、フレンチで魅力を引き出したいと思う食材を見つけていく。


身近なエノキを、ここまで完成したフレンチに仕立てるとは!

高知『横田きのこ』が海洋深層水で育てたエノキを使った「極みエノキのソーセージ」。旨みが強いエノキをソテーして豚肉と合わせ、豚腸に詰めている。横に添えたうずらの卵につけるとより濃厚に


店の個性を表す逸品が「極みエノキのソーセージ」だ。

普通は主役にならない食材だが、高知のエノキに惚れ込み、冷凍と脱水で質感を調整し、85%がエノキのソーセージを完成させた。



コースは一斉スタートではないので、他の客を気にせず楽しめる。コース 14,300円


野菜の端材を煮詰めたソースをかけて食べると、肉に負けないエノキの旨みが口内に充満。

さらにブルゴーニュのピノ・ノワールを合わせれば、銀座らしい高級感に浸る。


フレンチのマジックで日本で育まれた冬の味覚の新たな魅力を知る


甘みが強い埼玉の下仁田ねぎが主役の「下仁田ネギのグラタン」。

ねぎを1時間ローストして、カブと玉ねぎのクリーム煮、牛のトリッパと重ねている。

肉の香りを活かすため、特殊なトリッパの下処理を施しているのが肝。




鳥取産ズワイガニのほぐし身が詰まった「ズワイガニのヴォロヴァン」。

ヴォロヴァンはパイ生地を皿に見立てた古典料理のこと。

他に文旦、リンゴ酢ドレッシング、カリフラワーのムースが入る。至極エアリーな食感だ。




作り置きでは香りが損なわれると、予約客が到着してから作り始めてベストなタイミングで提供する「川俣軍鶏のコンソメ」。

卵白や野菜を一切使っていないので、福島産川俣軍鶏の豊かな旨みをストレートに感じられる。


個性際立つワインとのマリアージュも秀逸!


ワインを選んでいるのはマネージャーでソムリエの高木皓平さん。フランスを中心に、オーストリアなどのユニークな銘柄も取り扱う。

ワインペアリング6杯 8,800円〜。



ガラス張りがスタイリッシュな『TROIS VISAGES』の外観。夜になると店内の灯りがロマンティックに通りに漏れ出る。店から出ても一気に周囲が明るくならないのが心地良い


令和のフレンチは、大人の知的好奇心を満たしながら舌も喜ばせるのだ。


新感覚フレンチがワインを進ませたから、少し散歩してから帰るのがちょうどいい


駅まで少しだけ歩く立地なので、帰りはディナーの余韻に浸りながら散歩することに。

銀座はバーも多い街なので、2軒目の相談を。


【店主に聞いた“銀座で勝負した理由”】


「感度が高く、飲食店に行き慣れているお客さまが多い銀座。気をてらった料理ではなく、本質をついた料理を好まれる印象があるので、やりがいがあります」


■店舗概要
店名:TROIS VISAGES
住所:中央区銀座7-16-21 雲ビル 1F
TEL:03-3544-5205
営業時間:18:00〜(L.O.20:00)
定休日:日曜、月曜、祝日
席数:カウンター10席、テーブル2席、個室1(6席)


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