タパレスにKO勝ちした井上尚弥【写真:荒川祐史】

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パッキャオの全盛期も取材したベテランフィリピン記者にインタビュー

 ボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)4団体統一戦12回戦が26日、東京・有明アリーナで行われ、WBC&WBO王者・井上尚弥(大橋)がWBA&IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)に10回KO勝ち。男子では世界2人目、アジア人初の「2階級4団体統一」の歴史的偉業とともに、日本人最多タイの世界戦通算21勝も飾った。現地で見届けたフィリピンのベテラン記者も絶賛。「イノウエの顔を見てみろ。まだ戦いが始まる前みたいじゃないか」と舌を巻いた。

 リングを支配し続けた完勝に客席は総立ちだった。井上は4回後半に左フックを着弾。ふらつかせ、ロープ際でのラッシュでダウンを奪った。中盤に顔が真っ赤に腫れ上がったタパレス。タフさを見せながら守勢を強める中、井上が攻め続けた。決着は10回。見事なワンツーを突き刺し、2度目のダウンを奪取。膝をついたタパレスは10カウントを取られ、モンスターのKO勝ちが決まった。

 タパレスの母国フィリピンから駆けつけた地元紙「フィリピン・スター」のアバック・コルデロ記者も、モンスターを手放しで称えた。ボクシング取材歴20年以上、世界6階級制覇を成し遂げた母国の英雄マニー・パッキャオ氏の試合も25戦ほど取材してきた大ベテラン。その目にも井上の戦いぶりは際立って見えた。「THE ANSWER」の取材に対し、称賛の言葉を並べた。

「まず、決着の仕方には驚かなかった。私たちはみんなイノウエがどれだけ優れているか知っている。オッズだけの話ではなくね。今夜、彼のスキルはリング上で本当に明らかだった。最後には、どちらがより優れたボクサーかみんなが目撃することになったね」

 井上について一番印象に残ったのは「彼のスタイル」という同記者。「彼は対戦相手を徹底的に分析していた。相手に対してどう戦えばいいか分かっている。そして彼は非常に忍耐強かった。最初の2、3回で性急にならなかった。タパレスが待ち構えているであろう時に急いで行かなかった」と勝因を分析した。

 井上を生で見るのは初めて。「生でイノウエがパフォーマンスをするところを見るのは全然違った。イノウエの顔を見てみろ。まだ戦いが始まる前みたいじゃないか。とても感激させるパフォーマンスだったよ」と顔をほころばせた同記者。最後まで戦い抜いたタパレスにも「彼は戦いから逃げなかった。決して逃げ出しはしなかった」と敬意を表した。

(THE ANSWER編集部)