フケが出る原因は?

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 毎日、髪を洗っているにもかかわらず、フケが出ることがあります。気温や湿度の変化によってフケが出る人もいれば、シャンプーを別の製品に変えたことでフケが出るようになった人もいるようです。

 そもそも、フケが出るのはなぜなのでしょうか。フケを抑えるにはどのように髪を洗った方がよいのでしょうか。フケを放置した場合のリスクなどについて、「ナチュラルAGAクリニック」(東京都目黒区)統括院長で皮膚科医の新行内出(しんぎょううち・いずる)さんに聞きました。

「髪の洗い過ぎ」などが原因

Q.毎日、髪を洗っているにもかかわらず、フケが出ることがありますが、なぜなのでしょうか。考えられる原因について、教えてください。

新行内さん「フケは、古くなった頭皮の角質が剥がれ落ちたものを指します。髪をしっかり洗っているにもかかわらずフケが出る場合、髪を洗い過ぎている可能性や、洗いが不十分な可能性が考えられます。

フケには大きく分けて、『乾性フケ』と『脂性フケ』の2種類があります。乾性フケは、髪の洗い過ぎで皮脂が必要以上に失われ、頭皮が乾燥することが原因で生じます。乾燥により、古い頭皮が細かい粉状となってパラパラと剥がれ落ちるのが特徴です。

空気が乾燥する冬から春にかけて、乾性フケが出ることが多いです。乾性フケの人は頭皮以外の肌も乾燥している可能性が高いため、ご自身でも判断できるかもしれません。

脂性フケは、主に皮脂の過剰分泌や髪の洗い方が不十分なことが原因で生じます。洗髪時に頭皮の汚れをしっかり落とせていない場合、毛根に油脂が蓄積し、それが塊状のフケとなって落ちます。そのため、脂性フケはベタベタしています。

しかし、脂性フケが出たからといって、髪をうまく洗えていないとは限りません。シャンプーの使用量が少ない可能性や、使っているシャンプーの洗浄力が弱い可能性もあるため、シャンプーの種類や使用量も見直すと良いかもしれません。

このように、毎日髪を洗っていても、ご自身に合った方法で適切に洗えていないとフケが出てしまうことがあります。また、適切に髪を洗えていたとしても、シャンプーやヘアケア製品が合っていないことでアレルギー反応を起こしていると、かゆみやフケの原因になります。特定の製品を使った後、頭皮にかゆみや赤みが出た場合はアレルギーが生じている可能性があります。

そのほかにも、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、乾癬(かんせん)などの皮膚の病気もフケを引き起こすことがあります。これらの病気は、髪をしっかり洗っていても、ご自身の体質や遺伝、免疫状態などによって発生します。フケが出ていなくても、赤みやかゆみなどの症状がある場合はこれらの病気が原因の可能性があります。

特に脂漏性皮膚炎は、寒い時期やストレスを抱えているときに悪くなる傾向にあるため、気候のほか、ご自身のストレスの状態にも注意してください」

Q.フケを抑えるには、どのような方法で髪を洗った方がよいのでしょうか。

新行内さん「シャンプーを使う頻度やシャンプーの使い方、シャンプーの種類などが重要になります。人によって皮脂の分泌量が異なるため、ご自身に合う頻度で洗髪することが大事です。基本的には1日1回、夜にシャンプーで髪を洗うのが良いでしょう。

若い男性で皮脂の分泌が多い場合は、より念入りに汚れを落とすように頭皮を洗いましょう。女性や高齢の人で皮脂量がそれほど多くない場合は、シャンプーを使う頻度を落としても良いと思います。例えば、2日に1回程度でも十分かもしれません。

シャンプーを使って髪を洗う方法ですが、まずはぬるま湯で頭皮と髪の毛をぬらし、簡単に汚れを洗い流します。シャンプーを髪に付けた後は手でよく泡立て、頭皮を指の腹で優しくマッサージするように洗います。爪が伸びた状態で爪を立てて洗うと、頭皮に傷をつけてしまう可能性があるため、気を付けましょう。

ぬるま湯ですすぎ残しがないようにしっかりと流した後、ドライヤーでしっかり髪を乾かしましょう。その際、髪に近づけた状態で温風を当て続けると頭皮にダメージを与える可能性があるため、注意してください。ドライヤーは、髪から20センチほど離した位置で使用しましょう。

また、同じ場所に温風を当て続けないように、ドライヤーを左右に振りながら乾かしてください。生乾きの状態や髪を一切乾かさない状態で寝てしまうと、頭皮に雑菌が増殖する原因となります。洗髪後はしっかりと髪を乾かすことをお勧めします。

シャンプーの種類については、もし乾燥が気になるようであれば比較的頭皮に優しいタイプのシャンプーを使った方がいいかもしれません。人によって合う、合わないがあると思うので、実際に使ってみてご自身に合うシャンプーを選ぶと良いと思います」

皮膚科を受診した方がよい?

Q.髪を丁寧に洗っていても、どうしてもフケが出てしまう場合、どうすればよいのでしょうか。皮膚科の受診を検討した方がよいのでしょうか。

新行内さん「髪の洗い方以外にも気を付けるポイントはあります。乾性フケのように寒い時期に細かいパラパラとしたフケが出る場合、先述のように頭皮の乾燥が原因になっている可能性があるため、保湿を意識してみてください。保湿力のあるシャンプーや頭皮用の保湿剤を使用すると良いでしょう。

ベタベタしたフケが特徴の脂性フケの場合、洗い方が不十分な可能性があるため、洗浄力の強いシャンプーに変えたり、毎日シャンプーを使ってしっかり洗ったりすると良いでしょう。

毎日、髪を適切に洗っていてもフケが出てしまう場合は、皮膚炎などが原因になっている可能性があるため、皮膚科の受診を検討した方が良いでしょう。ヘアケア製品に対するアレルギーが原因で皮膚炎が起きている場合は、その製品の使用を中止する必要があります。特定の製品を使った後に赤みやかゆみが出ていないかどうかを確認してみてください。

また、フケ以外にも赤みやかゆみがある場合は、頭皮の常在菌である『マラセチア菌』が増殖することで起こる脂漏性皮膚炎に陥っているかもしれません。その場合は菌の増殖を抑える『ケトコナゾール』が含まれた塗り薬やシャンプーのほか、炎症を抑えるステロイドの塗り薬などを使用します。

そのほかにもフケが生じる病気があるため、自己判断をせずに皮膚科を受診し、適切な治療を行うのが良いでしょう」

Q.フケが出る状態を放置すると、頭皮や髪にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。

新行内さん「乾燥が原因でフケが出ている場合、季節が変われば改善する可能性があると思います。しかし皮膚炎が原因でフケが出ている場合、放置すると頭皮だけでなく毛根にもダメージが及び、『抜け毛が増加する』『毛が細くなる』『髪の密度が減る』といった症状が出て薄毛が進行します。そのため、フケのほかにかゆみや赤みが出ている場合は放置せず、適切に対処する必要があります。

治療すれば良くなる可能性があるのに、放置したせいで薄毛になってしまったら後悔すると思います。また、皮膚炎が原因でなかったとしても、フケが出ていると印象が悪くなる可能性があります。ご自身のフケの原因をしっかりと見極めた上で適切に対処するのをお勧めします」

 フケが気になる場合、まずは「乾性フケ」と「脂性フケ」のどちらに該当するのかを確認した上で、頭皮にかゆみや赤みが生じている場合は皮膚科の受診も検討しましょう。