【どっち】お歳暮の「お返し」必要? それとも不要? “正解”をマナーコンサルタントに聞いてみた
今年も残すところ1カ月を切りました。毎年、12月に入ると「お歳暮」が届くという人もいると思います。お歳暮を受け取ったときに迷いがちなのが「お返し」。ネット上では、「品物を頂いているわけだからお返ししなくちゃ…」「何も返さないのはちょっと不安」などと考える人が少なくないようですが、一方で「お歳暮は“お返し不要”って聞いたことがある」「お礼だけ伝えて、品物は返さない」という人もいるようで、「どっちがいいの?」とますます迷うケースもあるようです。
そこで、マナーの観点からみた、お歳暮のお返しにおける“正解”について、一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事で、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマのマナー指導などでも活躍する、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。
一般的には『お返しは不要』だが…
Q.まず、「お歳暮」の意味合い、贈る際の渡す時期の目安などを教えてください。
西出さん「お歳暮とは、日頃からお世話になっている人に、一年の感謝の気持ちを込めて贈るものです。
お歳暮は、年の暮れに行われる、ご先祖さまをおまつりする『御霊(みたま)祭』としてお供え物を贈っていたことに由来します。やがて親族を中心に品物を贈るようになり、その後、日頃お世話になった人へ贈り物をする行事として定着したのが、現在のお歳暮です。
お歳暮を送る時期は、地域によって違いがあります。各地の時期の目安は次の通りです」
【北海道】
以前は、「正月事始め」である12月13日ごろから20日ごろまででしたが、近年は積雪や配送がその時期に集中するなどの問題から、早い時期に贈るようになり、12月初旬(12月5日前後、第1日曜日ごろ)から12月中旬(遅くても12月20日ごろまで)となっています。また、北海道の中でも、地域によって贈る時期が異なる傾向もあります。
【東北地方】
12月10日から20日の間です。12月1日から15日くらいの地域もあります。
【北陸地方】
12月10日から20日の間ですが、12月1日から15日くらいの地域もあります。この期間の中で、「できるだけ大安の日にお届けするように配慮する」他、「3軒隣まで滅ぼす」という意味をもつ「三隣亡(さんりんぼう)の日」は避けるという考えもあるようです。配送する場合は、雪による影響で遅延する可能性があるので、それを考慮し、なるべく早い時期にお歳暮の手配をすることも必要でしょう。
【関東地方】
11月末から12月15日までです。
【東海地方】
12月初旬から15日までです。
【関西地方、中国・四国地方、九州地方】
いずれも、12月1日から12月20日までです。
【沖縄】
12月1日から12月20日までです。今年一年の感謝をお伝えするために、できるだけ送り先のご自宅に足を運び、贈り物を持参します。そして仏壇にお供えし、線香をあげ、手を合わせます。近年は、宅配便であいさつを済ませる人も多くなっています。
Q.お歳暮を受け取った際、品物の「お返し」は必要ですか。それとも不要ですか。
西出さん「お歳暮は、お世話になった人への感謝の気持ちを贈るため、一般的には『お返しは不要』といわれています。ただし、これは規則ではないため、お返しを贈りたいと思えば、贈っても構いません。マナーは、相手に向ける気持ちを形で表現するものだからです」
Q.その他、お歳暮やそのお返しを贈るときに、注意が必要なこととは。
西出さん「生ものを贈る場合は、贈る相手先が留守にしている可能性を考慮し、事前に贈る時期や場所などの確認をしておくと安心です。また近年、企業においては、コンプライアンスの観点から贈答品を控える傾向にあるため、事前に確認を行うことが大切な時代となりました。
お返しをする場合、個人の場合は12月25日くらいまでに届くように贈ると安心です。また、『お正月に召し上がってほしい』という気持ちから、年末に届けることもあります。この場合も、先方が受け取り可能かどうかの確認が大切です。
企業の場合、12月20日くらいまでに届くよう手配するのが難しいときは、『お年賀』として『松の内』(1月7日または15日)までに届くように贈るとよいでしょう。1月15日を過ぎるようであれば、立春の2月3日までに『寒中御見舞』として贈りましょう。なお、『お年賀』は個人の場合も同様です」
※協力(敬称略)
北海道…マナー講師・半田典世
東北・北陸…マナーコンサルタント・須藤悦子
中部…マナー講師・山田なつき
関西…マナー講師・余部裕美
中国・四国…マナーコンサルタント・川道映里
九州…マナー講師・山崎聡子(※崎=たつさき)
沖縄…マナー講師・新田純子