浜田酒造(※「浜」は異体字)は9月26日に、本格麦焼酎「うかぜ」を発売した。4つの原酒をブレンドした “甘芳ばしさ” で、40〜50代前半のミドル世代にアプローチ。新定番を目指していくという。本記事では、9月5日に開催された試飲会で味わってきた麦本来の味わいのレポートとともに、新商品の魅力をたっぷりお伝えしよう。

 

鹿児島の酒造メーカーとして「麦」焼酎市場への挑戦

↑9月26日から発売された本格麦焼酎「うかぜ」

 

浜田酒造(鹿児島県いちき串木野市)は、1868年に創業してから2023年で創業155年を迎えた。創業元年から続く伝統を守り続け、研さんと革新を積み重ねてきた同社は、国内外でも評価の高い老舗酒造メーカーだ。しかし、近年の焼酎業界は、芋焼酎の原料であるサツマイモ基腐病(もとぐされびょう)が広がっていることや少子高齢化、若者の酒離れなどを背景にした国内市場の縮小が影響し、厳しい環境が続く。そこで、同社は改めて「麦焼酎」の魅力を伝えるべく、麦焼酎市場へ更なる挑戦をすることを決めた。

 

これまでにも同社は、主力ブランド「隠し蔵」で2019年に「ロサンゼルス国際スピリッツコンペティション」における焼酎の最高賞である「Best of Shochu」を受賞。明治元年創業の伝統の蔵「伝兵衛蔵」の「甕貯蔵 兼重(麦)」が「令和4酒造年度鹿児島県本格焼酎鑑評会」の麦製部門において、最高賞である「総裁賞代表」を受賞するなど、国内外で高い評価を得てきた。そして、2023年2月には、焼酎エントリー層向けのボタニカル系麦焼酎「CHILL GREEN spicy&citrus」を発売。香辛料「マーガオ」で香り付けをした新感覚の麦焼酎として、20〜30代の女性を中心に人気を集めているという。

 

これに続き今回、40〜50代前半をターゲットに本格麦焼酎「うかぜ」(アルコール分25度/1.8L 2195円/900ml 1166円、いずれも税込み)を発売。

 

高いブレンド技術で実現した本格麦焼酎で “新定番” を目指す

本格麦焼酎「うかぜ」は、個性豊かな4つの原酒を1%単位の高いブレンド技術で調合。こだわりのブレンド比率を同社では「音楽に例えると四重奏。その名も『カルテットブレンド』です」と紹介。開発期間15か月、試作100パターンという開発過程を経て、スッキリとしていながらビスケットやパンを思わせる “甘芳しさ” と麦本来の味わいを実現した。

 

ブランド名の「うかぜ」は、「おおかぜ(大風)」を意味する鹿児島弁に由来し、 “鹿児島発の定番本格麦焼酎として大きな風を吹かす” という思いを込めているとのこと。

↑パッケージに配された、「うかぜ」の大きな特徴である「4つの原酒」をイメージしたデザイン。黄色は芳薫、茶色は樽熟、橙色は芳醇、青は淡麗。水彩のにじみで、絶妙に混ぜ合わせて調和する原酒を表現したという

 

本格麦焼酎好きが多い50代後半以上の世代はもちろん、1980年代前半に起こった第2次焼酎ブーム未経験の40〜50代前半のミドル世代にもアプローチしていく。「自分たちの世代で作られた」という認識を持ってもらい、麦焼酎市場の “新定番” を目指すという。

 

4つの原酒の個性の調和が決め手。飲み方で変化する味わい

「うかぜ」にブレンドされている4つの原酒は「芳薫(ほうくん)原酒」「芳醇原酒」「淡麗原酒」「樽熟原酒」。試飲では、4つの原酒をそれぞれ味わうことができた。

↑「うかぜ」に使用されている個性豊かな4つの原酒

 

「芳薫原酒」は、芳ばしさを生成する独自の「ロースティ酵母」を使用しており、ビスケットやコーヒー、チョコレートのような芳ばしさが特徴だ。飲んでみると、麦らしいすっきりとした口当たりと、あとから鼻を抜ける芳ばしさを感じられた。「芳醇原酒」は、常圧蒸溜を採用することで豊かな香りを引き出した後、氷点下の中で雑味を取り除き滑らかな口当たりを実現。紅茶のような豊かな香りとスムーズな口当たりが特徴だ。雑味を取り除いただけあって、4つの中では最も癖のない味わいに感じられた。普段あまり焼酎を飲まない筆者にとっては、この「芳醇原酒」が一番飲みやすいと思えた。

 

「淡麗原酒」は、減圧蒸留を使って低温で蒸溜し、さらに冷却ろ過で瑞々しいフルーツの香りが表現されている。麦独特の甘みとまろやかさに、さらりとした飲み口が心地よい。馴染みのある味わいだと思ったのだが、それもそのはず。「淡麗原酒」は、一般的に流通している焼酎に最も近いタイプなのだという。そして、「樽熟原酒」は、オーク樽で約3年熟成させることにより、マイルドでコクのある味わいとほのかな甘みを感じられる琥珀色の原酒。バニラやはちみつのような香りも象徴的で、この原酒を使用することで全体のバランスがぐっと引き締まるのだそう。熟成による樽の風味はもちろん、甘みだけでなくコクもしっかりと感じられた。木の香りとバニラっぽい甘く華やかな香りの調和も素晴らしく、香りだけでも十分に楽しめる原酒だった。

↑試飲会で提供された4つの原酒と「うかぜ」。浜田酒造が言う通り、それぞれの個性豊かな味わいを楽しめた

 

もちろん、会場では「うかぜ」の試飲も堪能できた。飲み方は、お湯割り(5:5)と水割り(4:6)。お湯割りは甘く芳ばしい、麦のうま味を全体に感じられた。この甘芳ばしさには、焼き鳥や牛すじの煮込みなど、濃厚な味わいの料理が合うという。対して水割りは、フルーティで華やかな香りを感じやすくなる。すっきりとした甘さが冷たく喉を伝っていく爽快感は、残暑厳しいこれからの時期にもぴったりだろう。こちらは、淡泊な味わいの刺身やカツオのたたきなどとのペアリングがおすすめ。繊細な素材の味を壊すことなく絶妙にマッチするという。

↑「うかぜ」の水割り(左)とお湯割り(右)。さっぱりが好きなら水割り、こっくりが好きならお湯割りという印象だ。季節や料理に合わせて飲み分けるのも楽しそう

 

そのほか、炭酸割りやサワー、アルコ―ルが苦手な人にはお茶割りなど、多様なアレンジも楽しむことができる。

 

ライトユーザーからヘビーユーザーまで多くの人に楽しんでもらいたい、と「焼酎王国 鹿児島」から提案する “新定番麦” の「うかぜ」。麦焼酎業界に新しいムーブメントの風を吹かせるか、今後の「うかぜ」の動向からも目が離せない。

 

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