所沢市は、埼玉県内4位(2023年8月31日時点)の34万人を超える人口を有する大きな市です。西武池袋線や西武新宿線などの鉄道網が充実し、通勤アクセスで良好であるとともに、狭山湖や多摩湖などの豊かな自然も身近。所沢駅などの中心市街地には商業施設が集まり、「ところざわサクラタウン」の開業など新たな人気スポットも誕生しています。今回は、所沢市の魅力と住宅事情について紹介します。

角川武蔵野ミュージアムの夜の風景(画像素材:PIXTA)

都心30キロ圏のベッドタウンとして発展

所沢駅西口(筆者撮影)

都心から約30キロメートル圏にあり、埼玉県南部に位置する所沢市。北は川越市、狭山市、北西は入間市、南は柳瀬川を挟んで東京都多摩地域と接しています。狭山丘陵を水源とする柳瀬川、東川、砂川(砂川堀)などの河川が市内を流れ、雑木林なども残る自然豊かなエリアです。

所沢市生活圏別の地域区分(出典:所沢市都市計画マスタープラン)

所沢は江戸時代には鎌倉街道などが通る交通の要衝として栄え、宿場も形成されました。1895年に川越鉄道(現西武新宿線)の所沢駅が開業。さらに1915年に武蔵野鉄道(現西武池袋線)の飯能-池袋間が開通し、都心へと結ばれる鉄道網がいち早く形成されました。

所沢航空記念公園の飛行機(画像素材:PIXTA)

また、1911年には日本最初の飛行場である所沢飛行場が開設。日本の航空発祥の地であるその跡地は、1978年に所沢航空記念公園として開園し、地域の憩いの場となっています。所沢市は1950年に市政がスタート。都心アクセスの良さから新所沢などに住宅団地が建設されるとともに宅地開発も活発化し、首都圏有数のベッドタウンとして発展してきました。

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西武園ゆうえんち(画像素材:PIXTA)

所沢市内には、埼玉西武ライオンズの本拠地ベルーナドームや西武園ゆうえんちなどがあり、レジャースポットも充実しています。現在の所沢市域となった1955年12月31日に5万6,249人だった人口は、2023年8月31日時点で34万3,933人に。埼玉県内で4番目に人口の多い街に成長しました。

【所沢市のデータ】
総面積…72.11平方キロメートル
人口…34万3,933人(2023年8月31日時点)
世帯数…16万8,687世帯(2023年8月31日時点)

池袋駅へ20分台、西武新宿駅へ40分台でアクセス

所沢駅から池袋駅までは急行利用で20分台の好アクセス。写真はハレザ池袋(画像素材:PIXTA)

所沢市の魅力としてまず挙げられるのが、池袋駅、新宿駅といった都心方面へのアクセスです。所沢駅から池袋駅へは西武池袋線急行利用で20分台(各駅停車で30分台)。西武新宿駅へも西武新宿線急行利用で40分台でのアクセス可能です。JR武蔵野線の東所沢駅も利用できます。

車では関越自動車道所沢ICがあり、関越自動車道を経由して圏央道や東京外環自動車道へもアクセスできます。1時間程度で、都心方面へ通勤・通学できるのは所沢市で暮らすメリットと言えるでしょう。

狭山湖畔から見た富士山(画像素材:PIXTA)

自然環境が充実していることも所沢市の魅力です。東京都民の水源にもなっている人工の湖である狭山湖周辺には、埼玉県立狭山自然公園が立地。ベンチなどが置かれ、散歩やサイクリングの場にもなっています。里山の風景を守るために1990年に発足した「トトロのふるさと基金委員会」が取得した「トトロの森1号地」には、コナラやスギなどの雑木林が残されています。クロスケの家はトトロのふるさと基金が森を守るための活動拠点として管理している古民家。予約制で見学が可能です。

所沢航空記念公園(画像素材:PIXTA)

所沢航空記念公園は、50ヘクタールもの広大な敷地を持つ地域の人気のスポット。航空機の展示や記念碑があるほか子どもが遊べる広場があり、家族でのびのびと過ごすことができます。敷地内にある所沢航空発祥記念館には、実物の機体が展示されるなどリアルな体験も。日本の航空の出発点としての歴史を今に伝えています。

所沢市は農業も盛んで、市内にはいちご狩りやぶどう狩りのできる果樹園も。野菜の直売所も市内広域に豊富にあります。自然の恵みを身近で楽しめるのは、所沢市で暮らす大きな魅力でしょう。

所沢プロぺ商店街(筆者撮影)

2024年秋、所沢駅西口に新たな商業施設が開業予定

所沢市は首都圏のベッドタウンとして発展した歴史があり、商店街など暮らしやすい住環境も魅力です。所沢駅には日本の航空発祥の地にちなんで命名された所沢プロぺ商店街があるなど、街ににぎわいがあります。

グランエミオ所沢と所沢駅(筆者撮影)

2020年に市政70年を迎えた所沢市では、都市再生の動きも活発化しています。

2018年3月には、所沢駅直結の大型商業施設グランエミオ所沢の第1期として70店舗超が開業。2020年には第2期工事が完了し、第1期と合わせた全125店舗がオープンしています。生鮮食品、総菜、グロサリーなど食の専門店のほか、レストランやカフェ、コスメやファッション、雑貨などライフスタイルを充実させる多彩なお店がそろっています。明るく開放的な芝生広場やベンチなどもある屋上庭園もあり、読書や子どもの遊び場などに利用できます。

建設中の「所沢駅西口開発計画」(2023年8月 筆者撮影)

所沢駅西口では、2000年に西武鉄道車両工場が機能移転し閉鎖されたことで大規模な未利用地が生まれました。所沢市の表玄関にふさわしい良好な住環境の形成に向けて、土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体施行による街づくりが進められています。

その中核となるのが、西武ホールディングスと住友商事が進める「所沢駅西口開発計画」。映画館など約150店が入る大型商業施設が、2024年秋開業に向けて工事が進行中です。所沢駅は西武新宿線および西武池袋線が通る所沢市の中核駅だけに、施設が開業すれば所沢市の暮らしはさらに豊かになるでしょう。

「所沢駅西口開発計画」建物外観(イメージ) 出典:株式会社西武ホールディングス 住友商事株式会社 2022年10月リリース

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2020年には「ところざわサクラタウン」がオープン、新たな人気スポットに

ところざわサクラタウンのライトアップ(画像素材:PIXTA)

所沢市に誕生した新たな注目スポットが、JR武蔵野線東所沢駅に開業した「ところざわサクラタウン」です。KADOKAWAと所沢市による、みどり・文化・産業が調和した誰もが「住んでみたい」「訪れてみたい」地域づくりを進める「COOL JAPAN FOREST構想」。「ところざわサクラタウン」を中心に、文化事業や企業誘致などが行われています。

「ところざわサクラタウン」内には、ミュージアム・イベントスペース・レストラン・書店・オフィス・神社などがあり、あらゆる文化が体験できます。図書館・美術館・博物館が融合した文化複合施設である角川武蔵野ミュージアムは、2020年の開設以来、多くの人が訪れています。

ところざわサクラタウン内(筆者撮影)
ところざわサクラタウン内の角川武蔵野ミュージアム(筆者撮影)

令和4年度版所沢市市民意識調査によれば、『所沢市への定住意向』について、「住み続けたい」と答えた人が 47.1%と最も多く、「どちらかといえば住み続けたい」と答えた人の 35.2%と合わせると、82.3%もの人が「住み続けたい」と考えています。

また、『所沢市への愛着度』については、「持っている」と答えた人が 47.1%と最も多く、「どちらかといえば持っている」と答えた人の 41.6%と合わせると、88.7%の人が所沢市に愛着を持っています。

所沢駅東口(筆者撮影)

所沢市は豊かな自然に歴史や文化、商業などさまざまな魅力がそろった街。そして、「ところざわサクラタウン」やグランエミオ所沢など新たなスポットも誕生しています。所沢で暮らす多くの人が愛着を持ち、今後も住み続けたいと考えるのも当然かもしれません。

続いて、所沢市の住宅事情を見てみましょう。

所沢駅前でタワーマンションが分譲中 新築戸建てなら4,000万円台で手が届く場所も

新所沢駅前の街並み(筆者撮影)

高度成長期に活発に住宅が供給された所沢市ですが、近年は住宅供給も落ち着いています。ほかの郊外エリアと同じように駅を中心とした街づくりになっており、市内で最も利用者数が多いのは所沢駅。次いで新所沢駅、小手指駅です。ともに住宅団地のつくられた街で、駅周辺には商店街など商業施設が立地しています。新所沢駅、小手指駅は所沢駅まで2駅なので、日常的な買い物は身近で済ませ、オフタイムは所沢駅に気軽に出かけられます。

小手指駅前のタワーマンション(筆者撮影)

西所沢駅、航空公園駅といった所沢駅の隣駅も1日の平均乗降者数は2万人台(2022年度実績)であり、居住エリアとして認知されています。また、JR武蔵野線東所沢駅は区画整理された街並みで住環境は良好。「ところざわサクラタウン」の誕生もあり、新たなにぎわいを見せています。

分譲中のタワーマンション「シティタワー所沢クラッシィ」(筆者撮影)

新築マンションの分譲は、商業施設が集積する所沢駅が中心となっています。執筆時点(2023年8月)で所沢駅にペデストリアンデッキ経由で徒歩約3分の地上29階建て・全311邸の超高層制震タワーレジデンス「シティタワー所沢クラッシィ」が分譲中です。所沢駅はグランエミオ所沢の開業など街の整備が進んだこともあり、街の注目度もアップしておりタワーマンションの販売価格は高止まり傾向にあります。

新築戸建ては、市内全域で分譲されています。東京都に比べると住宅地の地価はリーズナブルなので、駅によっては4,000万円台でも検討可能です。駅近にこだわらないのであれば、戸建てを選択肢に加えるのも良いかもしれません。

ここからは所沢市の筆者おすすめの街を2つ紹介します。

多彩なスポットが充実の所沢駅は中古マンションが狙い目

1つ目は、所沢駅です。

所沢駅前のペデストリアンデッキ(筆者撮影)

その魅力は、西武新宿線と西武池袋線の2線が利用でき、新宿・池袋方面へ直通アクセスできる交通利便性の高さ。西武新宿線・西武池袋線ともに特急、座席指定列車の停車駅でもあるため、通勤やレジャーにも便利です。加えて、グランエミオ所沢をはじめとする商業施設も充実。工事が進行中の「所沢駅西口開発計画」が開業すれば、さらに生活利便性が高まることが予想されます。

駅周辺はペデストリアンデッキで結ばれており、東口・西口の回遊性も高く、所沢プロぺ商店街やスーパーなどの買い物施設も点在。駅徒歩圏であれば、日常の買い物はある程度身近で済ませられます。

所沢の街並み(筆者撮影)

コロナ禍を経て、企業のテレワークの導入も進みました。ターミナル駅である所沢駅には、カフェなどのサードプレイスが豊富にあり、コワーキングスペースや個室型のワークブースなどテレワークができる場所も増えてきています。所沢駅は、テレワークと出勤を並行して行う新しいワークスタイルに対応できる街と言えるでしょう。

所沢航空記念公園から見た所沢のタワーマンション群(画像素材:PIXTA)

飛行機名が名称の由来となっているファルマン通りから飛行機新道を抜ければ、所沢航空記念公園へアクセス可能。子どもたちが遊べるスポットも身近にあります。生活利便施設が充実した街から、広大な憩いの場に気軽に往来できる街は早々出合えないでしょう。

所沢のタワーマンション群(筆者撮影)

所沢駅前からファルマン通りを歩くと、大規模なマンションやタワーマンション建物群が目にとまります。ファルマン通りからその先の所沢銀座商店街は、1990年代後半からマンション分譲が活発化。通りを挟むように多くのマンションが建設されています。築10年未満からもうすぐ築30年を迎えるものまでさまざまで、中古マンション市場でも多くのマンションが流通しています。

新築分譲マンションの供給は限られていますが、所沢駅で住まいを探すのなら、価格帯もリーズナブルな中古マンションを検討するのも良いでしょう。駅徒歩10分圏でも70平方メートル台の3LDKタイプが4,000万円台から十分検討できます。これなら子育て層にも手が届きそうです。

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ところざわサクラタウンのある東所沢駅は買い物施設がロードサイドに充実

東所沢駅(筆者撮影)

2つ目は、2020年に「ところざわサクラタウン」が開業した東所沢駅です。

JR武蔵野線の東所沢駅は、東武東上線朝霞台駅への乗換駅である北朝霞駅へ2駅、西武池袋線秋津駅に乗り換えできる新秋津駅へ1駅でアクセス可能。交通利便性も高い街です。東所沢駅の開業は1973年。1971年から1986年にかけて190ヘクタールもの広大な地域で土地区画整理事業(完了済)が行われており、美しい街並みが形成されています。

武蔵野樹林パーク(筆者撮影)

駅を中心としたコンパクトな街づくりが特徴で、武蔵野樹林パークや東所沢公園など街なかに子どもたちが遊べる憩いの場があるのが特徴的。柳瀬川や東川といった河川も流れており、滝の城址公園などの公園も。ところざわサクラタウン内では、小さな子どもを連れた家族の姿も多く見かけました。

東所沢公園(筆者撮影)

スーパーやドラッグストアなど商業施設や飲食店も点在しており、暮らしやすい住環境です。関越自動車道の所沢ICも近いので、週末のレジャーなど車でのお出かけも便利です。

東所沢の商業施設(筆者撮影)

東所沢駅周辺は土地区画整理事業がいち早く完了していることもあり、新築マンションの分譲はあまりなく、中古マンションストックも限られます。流通件数が少ないためか、中古マンションの価格は3LDKタイプが2,000万円台から検討できるなどリーズナブル。予算を抑えた住まいを考えるなら魅力的です。

東所沢の住宅街の街並み(筆者撮影)

新築戸建ての分譲は豊富で、駅徒歩10分圏以内でも4,000万円台で検討できるものも。徒歩20分圏に条件を広げれば、4,000万円未満で購入できる物件もあります。子育てファミリーにとって、東所沢駅は予算的にも魅力的な街と言えるでしょう。

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自然豊かなロケーションとリーズナブルな住宅価格が魅力の所沢市

所沢駅周辺の再開発や「ところざわサクラタウン」の開業など注目を集める所沢市での住まい探しですが、留意したいポイントは街のインフラや将来性に地域差があることです。東所沢駅周辺や無電柱化されている小手指駅周辺のように、居住環境が良好な場所がある一方で、耕地がそのまま宅地化され、狭い道路が残る地域も。

また、所沢駅周辺などの商業集積は、周辺エリアから購買層を吸収します。1983年に開業した新所沢パルコも2024年2月の営業終了が予定されています。これも時代の流れかもしれません。

2024年秋には、所沢駅西口に本文中で紹介した大型商業施設が開業予定です。敷地面積が3万平方メートルを超える地上7階建ての大型施設で、店舗面積は4万平方メートル超え。駐車場は約1,700台の計画となっています。開業すれば新たな人の流れを生むでしょう。

新たな開発が進む一方、狭山湖や多摩湖が身近で自然に恵まれたロケーションは、所沢市の変わらない魅力。中古マンションや新築戸建てなら住宅価格もリーズナブルです。一生モノの住まいを検討したい家族に、おすすめしたい街です。

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