がんばっているのに満たされない、人のことばかり気になる……そんなあなたへ、自分のために幸せをつくる方法を紹介します(写真:Graphs/PIXTA)

がんばっているのに満たされない、人のことばかり気になる、自分の本音が言えない……。日々そんなふうに感じていませんか? 

悩みを抱える人たちへの優しさあふれる言葉がSNSで大人気の心理カウンセラーPocheさんがそんな悩みにお答えします。これまで誰かのためにがんばってきたあなたへ、自分のために幸せをつくる方法をつづった『がんばりすぎて疲れたあなたが自分のつくる本』より一部抜粋し、3回にわたってご紹介します(1回目)。

がんばっているのに満たされない

「努力は必ず報われる」という言葉があります。

学校の授業か何かで聞いた気がするという人もいれば、日本のプロ野球選手王貞治さんをはじめ、何かを成し遂げた人たちのインタビューで聞いたことがあるという人もいるかもしれませんね。

成功者がこの言葉を語ることが多いせいか、「必ず報われる=必ず結果が出る」と捉えてしまいがちですが、「報われる=結果」とは限りません。

さらには何をもって報われたと感じるかは、人それぞれ違います。

たとえば、報われるという意味が努力によって知識や経験が得られることだとするなら、努力すれば必ず報われるといってもいいでしょう。努力したということは、努力する前と比べて得たものがあるはずだからです。

でも、報われるという意味が何かしらの良い結果を得ることだとすれば、必ず報われるとは限りません。受験や試験のように、努力しても思ったような結果が出ないことはあります。

がんばっても認めてもらえなかったり、がんばっても受け入れてもらえなかったり、がんばったのに結果が出ないことに落ち込むこともあるかもしれません。自分1人の問題ではなく、複数の人が関係するような場合は特にそうです。

たとえば、オリンピックには努力を重ねた選手が各国から参加していますが、すべての人がメダルを取れるわけではありませんよね。

がんばる人の背中を押す言葉

「努力すれば必ず報われる」という言葉にあなたが勇気をもらえるならば、努力を重ねるのもいいでしょう。

勇気をもらえるということは、あなたががんばるために背中を後押ししてくれる言葉だということ。「これをがんばりたい!」というあなたの本音に沿った言葉だということだからです。自分の気持ちを後押ししてくれるような言葉は、どんどん取り入れるべきです。

でも反対に、この言葉に苦しくなってしまう人もいます。

がんばっているのに満たされないと感じたり、いったいどれだけがんばればいいのだろうとしんどくなっているのなら、努力はいったんストップ。

本当はがんばりたくないことをがんばりすぎているか、がんばってばかりの毎日に疲れすぎてしまっている可能性大。さらには自分の努力を認められず、結果だけを求めすぎて自分自身を追い込んでしまっている可能性があります。

誰かにとって良い言葉が、必ずしもあなたにとって良い言葉とは限りません。誰かを成功に導く言葉が、あなたを成功に導くとも限りません。どの言葉が心に響いて、どの言葉があなたの支えになるかは、環境や心の状態によってもガラリと変わります。

口コミサイトで高評価のスキンケアアイテムが必ずしも自分に合うとは限らないのと同じで、良さそうだと思って取り入れても、「やっぱり合わないかも」と感じることが誰にでもあります。

だから自分が「いいな」と思った言葉はどんどん取り入れればいいし、「ん?」「それはおかしいんじゃないか?」とモヤモヤするような言葉は取り入れなくていいのです。自分に合わないコスメを肌荒れしてまで無理して使わないのと一緒で、自分に合わない言葉はどんどん手放していきましょう。

あなたがいいなと思うのにも、モヤモヤするのにも、ちゃんと理由があるはずですから、自分の心の声をもっともっと信じてみてください。

あなたをよく知らないほかの誰かの言葉ではなく、あなたをよく知る自分自身の「これがいい」「これは違うかも」という直感を大切にしてくださいね。

「がんばっても満たされない」と感じられるあなたは、努力することのできる人。正確には、これまで努力してきた人です。

がんばっても満たされないという感覚は、何かをがんばった人にしかわかりません。

ですが、がんばれる人があれもこれもと良さそうな言葉をすべて取り入れていたら、時間も体力も足りなくなってしまいます。がんばれてしまうあなただからこそ、自分にとって良い言葉をどんどん選んでください。やっぱり違うなと思えば、その言葉はいったん手放しても大丈夫。

世の中にはたくさんの良い言葉・良い方法があふれていますから、あなたにぴったりの言葉も必ず見つかります。


(イラスト:Poche)

人のことを気にしすぎてしまう

世界的に有名なパティシエが作ったケーキが5個、箱の中に入っていたとします。

「このケーキはすべてあなたにプレゼントされたものなので、全部食べていいですよ。どれから召し上がりますか?」と訊ねられました。

さて。このときあなたは、どのような気持ちになるでしょうか?

ケーキが大好きな人ならきっと、箱に入ったケーキを見てワクワクするのではないかと思います。まずはどれから食べようかと、迷ってしまいますね(ケーキなど甘いものが苦手な人は、自分の好きな食べ物に置き換えて考えてみてくださいね)。

では、もしこのとき、あなたが友達と一緒だったとしたらどうでしょうか。友達2人とあなたに、同じく5個入りのケーキがプレゼントされたとしても「どれを食べたいか」というワクワクした気持ちでケーキを選ぶことができますか?

なぜこのような質問をしたかというと、人のことばかり気にしすぎてしまう場合には、1人のときと誰かといるときでは思考回路が変わるからなのです。

1人のときには「どれを食べたいか」という自分の気持ちを優先して選べるけれど、誰かと一緒のときには「この人はどれを食べたいだろうか」と相手の気持ちを優先して選びがちです。

その結果、自分がどれを食べたいのかという本音やワクワクが置き去りになってしまうことがあります。

あなた自身のことを振り返ってみてください。

誰かといるときには「これが食べたい!」と素直に言えなかったり、本当は食べたいケーキが決まっているのに「どれでもいいよ」「残ったのでいいよ」と言ってしまって後悔したことはありませんか?

ここでお伝えしたいのは、「自分の食べたいケーキをなんとしても主張したほうがいい!」ということではありません。「誰かに譲らなければいい」というアドバイスをしたいのでもありません。

誰かの気持ちを考えられるのはあなたの良さですし、譲り合いが必要な場面もあります。自分の主張だけを通していたら、人間関係もうまくいきません。

ですが、もしあなたが「人のことばかり気になる」と感じているのなら、次の2点について考えてみてほしいのです。

• 1つ目
あなたばかりが我慢しすぎてしまっている可能性はないでしょうか?
• 2つ目
いつもあなたが譲っていたり、あなたが折れてばかりということはないでしょうか?

もしもこれらの答えが「はい」なら、人のことを優先しすぎてしまっているのかもしれません。

他人を優先しすぎないこと

人のことを優先するのがいけないということはありませんが、あまりに優先しすぎてしまうとしんどくなってしまいます。誰かを優先するには、自分を後回しにしなければいけないからです。


なぜか他人優先になってしまうという場合は、あなたが他人優先になってしまう理由を考えてみましょう。他人を優先してしまう理由がわかれば、「他人を優先するかどうか」をその時々で選べるようになります。

さらには他人を大切にするように自分も大切にしていいと納得できれば、今より自分に優しくなれます。

今より自分に優しくなれると、自分を苦しめるものを減らし、その代わりに自分が幸せになるために必要なものを選べるようになります。

あなたが幸せになるための鍵を握るのは、新しいスキルを身につけたりがんばって何かを変えることではなく、今のままの自分を大切にしてあげることです。

誰かのために時間と体力を使ってきたあなたが、これからは自分のために時間や体力を使えるようになることが、幸せをつくるうえで大きな一歩になります。


(イラスト:Poche)

(Poche : 心理カウンセラー)