婚活市場でパパ活から婚活にシフトしている女性が目立ち始めているといいます。背景に何があるのでしょうか(写真:ABC/PIXTA)

結婚相談所の経営者として婚活現場の第一線に立つ筆者が、急激に変わっている日本の婚活事情について解説する本連載。今回は、パパ活を卒業して婚活へシフトした女性の考え方の特徴と、事例についてご紹介します。

「シャンパンのおかわり、いいかしら」

最近、パパ活を引退した女性の婚活が目立つようになっています。弊社の結婚相談所の会員さんにはいませんが、他社の相談所には続々と入ってきているようです。そうした女性たちが、当相談所の男性たちに次々にお見合いを申し込んできます。

パパ活にどんどん若手が参入してくるので、20代半ばを越えると「もう自分はオバサンだ。パパ活では高く売れない」と考え、逃げ道として結婚を希望するようです。

もちろんパパ活をしていた女性が、パパ活を辞めて結婚を希望すること自体は悪いことではありません。ただ、多くのパパ活女性の場合、婚活を始めてもパパ活の感覚が抜けきれていないことが少なくありません。

そのため男性側に迷惑をかけたり不快にさせたりすることも。そして、結婚生活のイメージがずれているので、お互いを助け合い支え合うという感覚がない。それが問題なのです。

パパ活女性の特徴は、まず、ほぼ全員お金目当てということです。お見合いは「30代の年収2000万以上の男性」を軒並み狙ってきます。デートではお財布を一切出しません。その上、高い物ばかり食べたがる。普通の年相応の男性が行く店に連れていくと、「え、こんなところ?」とガッカリします。

ある年収3000万円の男性経営者は、最初は「パパ活女性でも構いませんよ、ハハハ」なんて笑っていたのですが、いざデートしてみたら、財布を出すそぶりが一切なく、あまりにもあからさまに「ごちそうさま」と言うので、「金食い虫にしか見えなくなった」と、交際をお断りしていました。

要求ばかりする女性は敬遠される

年収が高い男性であっても、要求ばかりする女性は敬遠されます。バブル時代とは違い昨今は、稼いでいても堅実に貯金している男性が多いのです。

初デートでしかも昼間なのに、シャンパンを注文した女性もいました。デートでアルコールを注文することはルール違反ではないのですが、男性がコーヒーを注文したのに、いきなりシャンパン。しかも、「おかわりもいいかしら」と2杯飲んだそうです。男性はドン引きしていました。

これまで女性と話す機会があまりなかったというエリート男性からは、「交際中の女性から『もうすぐお誕生日なので、プレゼントはヴィトンのバッグか、シャネルの財布を買ってほしい』と言われました。両方買わないといけないですか? 両方買ったら50万円以上になるようなのですが⋯⋯」という相談を受けました。

当然、買う必要はありません。まだ結婚するどうかもかもわからない仮交際中に、そんなことおねだりをする方が常識はずれです。

前述した女性たちは、自ら「私はパパ活をしていました」と言っていたわけではありません。ただ、その他にもいろいろと共通点があり、十中八九、パパ活経験があると思われます。

その他の特徴としては、まずプロフィール写真が過剰に派手。清楚系の白いブラウスを着ている場合もありますが、ボディコンシャスのワンピースで背中を反らしてバストを強調している女性も多くいます。

整形か写真修正かわかりませんが、目は一般的な女性の倍以上の大きさでまるで人形です。肌もつるんと陶器のよう。

「この写真の女性はおすすめしません」といっても、普通の男性は見抜けません。「かわいい、会いたい」と言う。しかし、実際にお見合いをしてみると「写真と違った」とガッカリ。それなりにかわいいようですが、やはり写真のとおりとはいきません。

遅刻することが当たり前となっている

そして、必ずといっていいほど15分くらい遅刻してきます。パパ活では女性の立場が強く、遅刻しても注意されない、むしろそれが当たり前となっていたのでしょう。

言葉使いが汚い女性もいるそう。そばを子どもが走っていると、「あのガキ、うるさい!」なんて平気で言ってしまう。

一般常識に乏しく、金銭が絡まない恋愛というものがわからなくなっている。ましてや結婚して一緒に支え合って生活していくという覚悟もない。だからお見合いの席で、「私のエステ代はどこから出るの?」なんて言ってしまう。もちろん全員ではありませんが、パパ活から婚活に移行した女性にはこうした人が多くいます。

ちなみに、愛人を卒業して婚活を始める人もいます。愛人女性は、パパ活女性よりも常識はあります。というのも、愛人は1人の男性と一定期間、関係を築いていたから。

一方で、パパ活の場合はリピートすることは少ないと聞きます。関係性がその場、その場なんですね。だから、常識外れな行動もその場限り、会話力、コミュニケーション力も育たない。それで成り立ってきていたのです。

学費や生活費稼ぐためのパパ活も

パパ活女性に対して厳しいことを述べてしまいましたが、パパ活が流行している背景を考えると、女性だけが悪いわけではありません。当初から遊ぶお金が目的でパパ活を始める女性もいますが、もともとは生活のためという女性もいます。

背景には日本の厳しい経済事情があります。貧困層が増加し、親が子どもの学費、生活費を払えないというケースが増えてきました。そのため自ら学費、生活費を稼ぐためにアルバイトを始めるのですが、時給1000円ちょっとでは毎日働いてもとうてい足りません。

昼間は授業があるし、休日は少しは友だちと遊びたいでしょう。短時間で効率よく稼ぐにはどうすればいいか⋯⋯そこでパパ活に足を踏み入れてしまう。なかには、高校生のうちから年齢をごまかしてパパ活を始めたというケースもあると聞いています。

パパ活は全部が全部、セックスが目的とは限りません。一緒に食事するだけの場合もあります。また、就職活動の一環として人脈づくりのためにパパ活をしている女子学生もいるようです。

ただ、若いうちに見返りがある関係が当たり前になってしまうと、見返りのない関係づくりがなかなかできなくなってしまう。また、最初は「パパ活は学生のうちだけ」と思っていても、贅沢な暮らしに慣れてしまい、一般企業でコツコツ働いてわずかな手取りを得ることがバカバカしくなってしまう。昼間は会社で働きながら、パパ活を続けるケースも多いようです。

婚活をしたいなら、まず現実を知ること

当相談所では、入会していない方でも恋愛相談を受け付けています。「パパ活をしていたけれども、結婚したい」という女性からご相談を受けたことがあります。

まず「お母様に自分がパパ活をしていたことを話せますか」とお聞きしています。娘がパパ活をしていることを知って喜ぶ母親はいないでしょう。たいていの女性は「言えません」と答えます。「だったらパパ活は卒業しましょう」とアドバイスしています。

さらに、結婚生活を具体的にイメージしていただきます。「あなたのお父様が仮に年収800万円だとして、家賃がこれくらい、子どもが2人だったら学費はこれくらい……」と示していく。

現実を見せることで、自分が働いて稼いだわけでもないのに数十万円のブランド品をポンポンと買う生活は普通ではないということを教えていきます。

昭和の時代のように女性は専業主婦で生きていられる時代も終わり、働き続けなければいけないということも伝えます。こうしたことを理解できなければ、結婚は難しい。

どうしても理解できなければ、2回りも3回りも年上の「女性は若ければそれでいい」という男性と結婚するしかありません。そういう男性もまだ一定数いますから。

当相談所の男性会員には、パパ活女性の見分け方を教えています。ブランド品を持っているからといって、必ずしもパパ活女性であるとは限りません。富裕層の場合、「一生物のバッグ」を子供に譲ったり買ってあげることもあります。

靴がブラント品の場合は要注意?

注意すべきは、靴がブランド品の場合。高級ブランドの場合は、20万円以上するものもあります。女性本人の年収が相当高ければ別ですが、例えば20代、30代の平均と言われる年収300万円台でそのような靴は買えないでしょう。靴はバッグよりも傷みが早いですから。また、流行に左右されやすいコートが高級ブランド品の場合は、さらに怪しい。

男性会員には、当相談所の近くの表参道でシャネル、ディオール、ヴィトン、グッチなどのマークを覚えてきていただき、「靴にこれらのマークが付いていたら要注意。さらに、ものをねだられたら警戒してください」とお知らせしています。当相談所では、パパ活の疑いがありそうな女性はリストに記録もしています。

30代の年収1500〜2000万円の男性がもっとも狙われやすい。特に、仕事ばかりしてきた男性は、お金を持っていても生活は地味な人も少なくありません。女性とのお付き合いも苦手な場合がよくあります。パパ活女性はそんな男性を狙ってきます。ご注意ください。


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(植草 美幸 : 恋愛・婚活アドバイザー、結婚相談所マリーミー代表)