ラグビー日本代表応援サポーター・浅野杏奈がW杯を熱く語る「『優勝を目指す』という選手たちの言葉を信じています!」
浅野杏奈「ラグビーW杯」インタビュー 前編(全2回)
「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」が9月9日(日本時間、以下同)に幕を開ける。日本代表は、チリ、イングランド、サモア、アルゼンチンと同組のプールDで1次リーグを戦い、前回大会のベスト8以上も期待されている。本番に向けて緊張感も高まるなか、自身も小学生時代にラグビー経験があり、「ラグビー日本代表応援サポーター2023」と「J SPORTSラグビーアンバサダー」に就任したタレントの浅野杏奈さんに、本大会の見どころや展望を聞いた。
「ラグビー日本代表応援サポーター2023」を務める浅野杏奈さん
【テストマッチの不調にはポジティブ】
ーーW杯に臨む日本代表メンバーも発表され、本番モードに差しかかってきました。
浅野杏奈(以下同) 私自身もアンバサダーとしての活動をさせていただく機会も増えてきて、本番が近づいていることをひしひしと感じています。とくに日本代表の「BRAVE壮行会」に参加した時の張り詰めた空気には、グッと胸を締めつけられるものがありました。
代表の皆さんの団結感や胸に秘めた思いも感じましたし、主将の姫野和樹選手が宣誓で話されていた「歴史を変える自信がある」という言葉がとても印象に残りました。
ーーテストマッチを1勝5敗で終えた日本代表の戦いぶりに、不安を感じる方もいると思います。
大会前最後のテストマッチとなったイタリア戦(21対42/8月26日)にも敗れて、大丈夫かなと心配されている方も多いと思うんですが、個人的にはテストマッチはたくさんの収穫があったと感じています。
たしかに結果はとても残念なものでしたし、サモア戦(22対24/7月22日)やフィジー戦(12対35/8月5日)では途中で退場者が出てしまって、少ない人数で試合をすることになってしまった。ファンだけではなく、選手にとっても当然満足できる結果ではなかったと思います。
でも、テストマッチで想定外の状況を経験して、かえって本番に向けて十分な備えができたんじゃないかなとも思っていて。浮き彫りになった課題を、本番の好結果につなげてほしいなとポジティブにとらえています。
日本戦の見どころを熱く語る浅野さん
ーーラグビー日本代表の注目選手やポイントを挙げるとしたら?
全員に注目してほしいですけど、挙げるとしたら、堀江翔太選手やリーチ マイケル選手といったベテランの活躍だったり、故障者の多いLO(ロック)のポジションに、本番では誰が起用されるのか気になっています。
ーーバックス陣で注目されている選手はいますか?
フィジー戦での大活躍も記憶に新しい長田智希選手ですね。試合開始早々の退場によって、メンバーがひとり少ないなかで見せてくれた活躍は印象に残りましたし、気持ちが折れそうな試合展開で見せてくれたランは、ジャパンを救う原動力になったとも思っています。フランスの地でも長田選手の身体を張った力強いプレーが見られることが楽しみです。
浅野さんは、小学生の時に4年間ラグビー部に入っていた
ーーW杯を機にラグビーに興味を持つ方も多いと思います。浅野さんおすすめのラグビーの楽しみ方はありますか?
ラグビーは、正直ルールが難しいですし、試合時間も長い。最初は、試合中に何が起こっているかわからないかもしれませんが、まずは試合の興奮や雰囲気を楽しむことが大切なのかなと。
試合を見ているうちにルールはどんどん覚えていくでしょうし、ラグビー場に行けば周りの人が教えてくれることも。W杯の応援だけではなく、秋に開幕するリーグワンの試合にもぜひ来ていただけたらうれしいです。
ーー女性のラグビーファンも増えているようです。
日本でW杯が行なわれた2019年頃から、女性ファンの方がものすごく増えました。最近では、東京サントリーサンゴリアスの女性ファンの方を「ゴリ女」、ピーター"ラピース"ラブスカフニ選手の女性ファンが「ラピ女」、垣永真之介選手の女性ファンが「カキ女」と呼ばれるくらい、さまざまな世代の女性がラグビー観戦に来ています。
女性ファンの方が、いつもキラキラした表情で楽しんでいる姿はとても印象的で、時にかわいいグッズやカッコいい選手の話を交えながらも、真剣にラグビーについて語り合うこともできるのは、生で試合観戦のよさなのかなと思います。
ーー浅野さんはどのようにラグビーを楽しんでいますか?
私はキックやパスの時に聞こえるプレーの音が好きです。選手が蹴ったボールの音が生で聞いてみたいという気持ちが芽生えて、その音を聞くためにラグビー場に行ったこともありました。あとは、迫力満点のスクラムもラグビーの魅力ですよね。とくにスクラムで選手同士の身体がぶつかり合う時の音はすさまじいものがあるので、震えながら楽しんでいます。
ーーさて日本代表は、初戦でチリと対戦(9月10日)します。
世界ランキング(日本14位、チリ22位)を見ると、日本が試合を有利に進められるんじゃないかと思うんですけど、チリはプレーオフを制して初出場を決めた勢いがあるチームなので気が抜けません。
未知数な部分もありますし、大会初戦ならではの難しさや怖さもありますが、選手の皆さんには気持ちのこもったプレーを見せてくれたらなと思います。チリ戦はパブリックビューイングで観戦するので、たくさんの方と一緒に盛り上がれたらうれしいです。
ーー続く2戦目(9月18日)には世界ランキング8位の強豪、イングランドとの対戦が控えています。
これまでの日本代表は、2大会連続でジャイアントキリングを起こしてきたので、今回も期待したいですし、選手の皆さんが口々におっしゃられている「今回は優勝を目指す」という言葉を信じないわけにはいかない。
イングランドは仕上がりがすごくいいと聞きましたが、テストマッチでいい結果が残せてない日本代表は勝ちに飢えている状態。格上のイングランドとの対戦に燃えているんじゃないかなと思います。
紆余曲折あって、イングランド代表のオーウェン・ファレル選手が日本戦には出場できないことになりましたが、誰が代わりにSO(スタンドオフ)に起用されるのかにも注目したいところです。
ーーそして3戦目(9月29日)は、サモア(世界ランキング12位)との対戦。日本にとっては7月のリベンジマッチということにもなりますが?
サモアの選手は身体が大きくて、動きが速いという印象です。7月の試合で悔しい逆転負けを喫してしまったので、本番で雪辱を晴らしたいという思いは強いです。サモア戦はフランスで生観戦させていただけることになったので、精一杯の声援を届けてきたいと思います!
ーー1次リーグの最終戦(10月8日)は、世界ランキング6位のアルゼンチンとの対戦です。
リーグワンでの力強いプレーも目に焼きついているパブロ・マテーラ選手がいる、長身を活かした力強いラグビーが特徴のチームです。日本代表に勝ってほしい気持ちはもちろんありますけど、マテーラ選手が「日本と一緒に予選を通過したい」とインタビューで言ってくれていたので、日本とアルゼンチンが決勝トーナメントに進める展開になるといいなと思っています。
ーーW杯は9月9日のフランス(世界ランキング3位)対ニュージーランド(4位)戦で幕を開けます。
自国開催のフランスと、4度目の優勝を目指すニュージーランドという大会屈指の好カードなんです。フランスに頑張ってもらいたいなと思いつつ、オールブラックスが負けるところも見たくないなという複雑な気持ちなんですけど、優勝候補同士の対決を今から楽しみにしています。
ーー開幕戦の注目選手は?
来季からトヨタへの加入が決まったニュージーランド代表のSH(スクラムハーフ)、アーロン・スミス選手とSO・FB(フルバック)のボーデン・バレット選手に注目してほしいです。特にバレット選手は、どんなハイボールもキャッチングする安定感のあるプレーにびっくりします。
ーーフランス代表の印象も聞かせてください。
フランスはロマン・ヌタマック選手が、けがをしてW杯に間に合わないのが残念ですよね。SOが変わることでチームにもかなり変化があると思いますが、主将のアントワーヌ・デュポン選手をはじめ、フランスにはいい選手がたくさんいますから。
チームの中心を担っているのは、自国開催のW杯に向けて小さい頃から強化してきた世代の選手が多いそうなので、彼らが自国で悲願の初優勝を手にすることができるのかにも注目です。
ーー日本は準決勝(10月21日)で、両チームと対戦する可能性がありますね。
昨年のテストマッチで、日本代表はフランスやニュージーランドと対戦しましたが、残念ながら勝つことはできませんでした。
でもニュージーランド戦(31対38/2022年10月29日)は、惜しいところまでいきましたし、勝利に向けた希望が見えた試合でもあったように思うんです。その点を考えると、本当に厳しい戦いになると思いますが、勝ち抜けるチャンスもあるんじゃないかと期待してしまうんですよね。
ーーでは、W杯開幕に向けファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
今回のフランスW杯は、距離や時差もありますが、そのぶん、日本からの応援がとても大事になると思うんです。現地まで応援に行ける人はあまり多くないかもしれませんが、ぜひひとりでも多くの方に日本代表を応援していただいて、一緒に感動を分かち合えたらうれしいなと思います!
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【プロフィール】
浅野杏奈 あさの・あんな
2000年、東京都生まれ。青山学院初等部3年から6年までラグビー部「コアラーズ」に所属。バスケットボールにも小学2年〜中学3年まで取り組む。中学1年の時にスカウトされ、芸能界入り。2016〜2020年にアイドルグループ「マジカル・パンチライン」で活動。現在は俳優業のかたわら、『ラグビーわんだほー!』(J SPORTS)MC、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会の「ラグビー日本代表応援サポーター2023」、「J SPORTSラグビーアンバサダー」などラグビー関連で活躍している。