アスクワンタイムが小倉2歳Sを制覇(c)netkeiba.com

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る札幌2歳S

【Pick Up】セットアップ:1着

 ダッシュを利かせてハナに立ったセットアップがマイペースに持ち込み、パワーホール以下の追撃を寄せ付けず逃げ切りました。日曜日の札幌芝は、7レース中6レースで逃げ馬が連対したように前が止まらない馬場でしたが、後続につけた4馬身差は、2021年のジオグリフと並ぶレース史上最大着差です(現行条件となった1997年以降)。

 母スリーアローは3勝クラスまで出世しました。初仔のリーゼノアール(父エピファネイア)は、2021年のセレクションセールで6000万円(税抜)の最高価格をつけ、2番仔の本馬も翌年の同セールで4200万円(税抜)の高値がつきました。デクラレーションオブウォー産駒のセリ売買馬としては歴代3位の高馬であり、1歳時から目を惹く好馬体だったことが伺えます。

 2代父ウォーフロントは、スピードの持続力が持ち味で、他にアメリカンペイトリオット、ザファクターなどがわが国で供用されています。デクラレーションオブウォー産駒の出世頭トップナイフは、昨年のホープフルSで2着と逃げ粘り、今年の札幌記念では9番人気ながら2着と健闘しました。アメリカンペイトリオット産駒のビーアストニッシドはスプリングSを逃げ切っています。セットアップのレースぶりは、先に行って粘り強い、というこの系統の良さを最大限に活かしたものでした。

◆血統で振り返る小倉2歳S

【Pick Up】アスクワンタイム:1着

 後方に控えたアスクワンタイムが直線大外を強襲して差し切りました。1~4番人気は新馬戦を勝ったばかりの馬が占めていましたが、5番人気の本馬は、中京の新馬戦(芝1200m)で2着に敗れ、同コースの未勝利戦(芝1200m)を5馬身差で楽勝したあと、ここに臨んでいました。

 ファンタジスト(京王杯2歳S、小倉2歳S)、ボンボヤージ(北九州記念)の全弟。全兄弟3頭がいずれも小倉コースで重賞を勝っているのですから抜群の適性です。兄弟は小倉芝コースで15戦7勝、そのうち3勝が重賞です。

「ロードカナロア×ディープインパクト」の組み合わせは、馬体のサイズが小さめに出るのがネックで、本馬も現時点で438kgしかありません。現役生活を通じ、ファンタジストは44kg、ボンボヤージは30kgも馬体重が増えたので、本馬もこれから成長し、非力な面は解消されていくでしょう。