2021年を目途に液晶パネルの生産を終了することを発表していた

 東証プライム上場のパナソニックホールディングス(株)(TDB企業コード:580001548、大阪府門真市)は、7月31日に連結子会社であるパナソニック液晶ディスプレイ(株)(TDB企業コード:261010896、資本金5億円、兵庫県姫路市飾磨区妻鹿日田町1-6、代表加藤知之氏)が解散し、特別清算を申請することを発表した。

 パナソニック液晶ディスプレイ(株)は、2004年(平成16年)10月に設立。(株)日立製作所、(株)東芝、松下電器産業(株)〈現:パナソニックホールディングス(株)〉の3社によって、薄型テレビ向け液晶パネル事業の合弁会社として発足した経緯を持つ。日本を代表する家電メーカーの技術力を活かし、広視野角・高画質な「IPSαパネル」をメインに各メーカー向けの液晶パネルを生産。当時の薄型テレビ需要もあり、2008年3月期には年売上高約1523億9300万円を計上していた。

 その後、東芝保有分や日立グループ保有分の株式をパナソニックへ譲渡し、2010年10月には現商号へ変更のうえ千葉県茂原市から兵庫県姫路市に本店を移転。以降はパナソニックグループの液晶製造部門として、2013年度には32型換算で1500万台/年の生産能力を有していた。パナソニック製品のみならず他社からの受注にも対応し、液晶パネルにバックライトを取り付ける液晶モジュール(半製品)の出荷も行える体制を構築。

 しかし、2016年9月末にテレビ用液晶パネルの製造からの撤退を発表して以降、徐々に生産量は減少。近年は採算性の高いタブレット(多機能携帯端末)などICT用途や医療用モニター、車載用(カーナビゲーションシステムなど)などの製造が主体となり、同分野において「4K」「8K」など高画質パネルの製造にも注力していた。

 激烈な価格競争を受けて車載・産業分野向けへと注力市場を転換したが、米中貿易摩擦等による市況悪化の影響が車載・産業分野にも波及。さらに海外の液晶パネルメーカーとの激しい価格競争により、設立以降、黒字化することはなく100億円を超える赤字が続いていた。事業継続は困難であると判断し、2019 年11月に生産終了を決定、2023 年3月末で事業活動を停止していた。2023年度に入り、所有する資産(兵庫県姫路市の工場等)の処分・移管が完了する見込みとなったことから解散および特別清算開始の申立てを行うこととなった。

 なお、申立ては今年度中を予定している。

 負債は約5800億円。