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「町田」は東京都なのか神奈川県なのか。この人類永遠のテーマ(?)に決着をつけようと、地図情報の調査・製作・販売をおこなう「ゼンリン」が、同社の膨大なデータを駆使して調査した。その結果がTwitterにアップされ、話題になっている。

 町田の住所は「東京都町田市」だが、なぜか神奈川県だと思っている人が多い。町田駅のすぐ南は神奈川県相模原市で、市外局番はともに「042」。街中を走るバスは「神奈川中央交通」で、商圏も神奈川に近い。そもそも、明治26年(1893年)まで、町田が含まれる「三多摩」は神奈川県だったのだ。

 町田市の住民がこう語る。

「あくまで私見ですが、もともと『原町田』だったJR駅が、小田急に近づく形で現在の位置に移動し、『町田駅』に改称したのが1980年なんです。その勢いに乗って近隣エリアも町田となったんでしょう。

 町田駅から本当に徒歩1分とかからず神奈川県になるので、単純に相模原より東京の町田と名乗ったほうが土地としての価値も高くなるんだと思います」

 こうした理由で、町田駅近辺は東京なのか神奈川なのか、多くの議論を呼んできたわけだ。

 それにしても、なぜいま、ゼンリンは町田に注目したのか。調査した担当者に聞いた。

「町田が東京なのか神奈川なのかという論争を長年見聞きしてきましたので、当社のデータによって決着がつけられないかと思い、このたび調べてみようと思いました。町田が “特別な地域” ということではありません(苦笑)」

 調査は、町田駅周辺の建物名や事業所名から「町田」とつく物件を抽出したという。

「相模原市内に『町田駅南」交差点があるとか、町田市内の路線バスが神奈川中央交通さんであることはすでに議論がすんで周知の事実だと思いましたので、“当社ならでは” の調査方法ということで、住宅地図製作において取得しております建物名や事業所名にフォーカスしました」

 さぞかし、大変な作業だったのではないか。まさに、全社をあげた総力戦?

「いえ、作業時間は1時間ほどでした。苦労も特になく、保有しているデータを当社の地図上に可視化しただけですので……。ただ、建物名などのデータ取得は徒歩による目視ですので、(収集した)担当者が大変だったことはお断りさせてください(苦笑)」

 はたして、ゼンリンの調査結果はいかに。人類永遠のテーマである「町田問題」は解決したのだろうか。

「残念ながら何も解決しませんでした(笑)。ただ、作成した地図をおぼろげに見ていると、東京・神奈川両方が支え合っているようなエリアに見えてきませんか? 本質はここにあると思います、東京だろうと神奈川だろうと町田は町田です!」

 ちなみに、神奈川県側の相模原市南区上鶴間本町では、駅に近い2丁目までに「町田物件」が多く、駅から離れた1丁目にはほぼないことも判明している。

 同社に、今後、同様の調査をしたい地域があるか聞くと、「フォロワーのみなさまから『湘南』『梅田』『新宿』などのお声をいただいております。どれも興味がありますので、いつか取り組んでみたいと思います」とのことだった。

 第2弾に期待しています!