カメラに続き、ソニーストアも“動画重視”に ソニーの狙いは
デジタルカメラをいち早く動画重視の方針に切り替え、「α」「VLOGCAM」「Cinema Line」を続々ヒットさせたソニー。この夏、直営店「ソニーストア」も動画重視の方針でリニューアルしました。ソニー製品をまんべんなく取り扱う直営店で、あえて動画重視を掲げる狙いは。
若年層が集まる新しい商業施設に移転
国内の大手電機メーカーでは珍しく実店舗の直営店を持つソニーが、ソニーストア札幌を皮切りに直営店のリニューアルに乗り出しました。リニューアルのキーワードは、若年層を中心に興味関心を持つ人が増えている「動画」。専門知識を持つスタッフによるレクチャー付きの動画撮影や編集、配信が体験できる場を無料で提供するほか、商業施設の目玉である水族館を訪れた人にカメラを無料で貸し出して動画撮影を体験してもらうサービスも用意します。「ソニー製品は買ったことがないが動画制作や動画配信はやってみたい」と考える若年層に「動画ならソニー」「動画ならα」のイメージを与え、新たなソニーファンや熱心なソニーユーザーを獲得する狙いが垣間見えました。
リニューアルオープンしたソニーストア札幌内にある動画体験コーナー。動画クリエイターの間で定評のあるカメラやアクセサリーを設置し、動画撮影や編集、配信が体験できる
全国5つの実店舗のなかで最も北にあるソニーストア札幌が7月20日、再開発で新たに誕生した商業施設「moyuk SAPPORO」(モユクサッポロ)内に移転オープンしました。札幌市内で最古の商店街といわれる狸小路商店街と、札幌駅とすすきのをつなぐ目抜き通りに面し、市民の足である路面電車の電停も目の前にあるなど、絶好の好立地といえます。
札幌市内で屈指の賑わいを見せる好立地にオープンした商業施設「moyuk SAPPORO」。都市型水族館「AOAO」が施設の目玉として上層階に入っているほか、人気雑貨店のロフトも9月中旬にソニーストア札幌と同じフロアにオープンするなど、若年層が多く足を運ぶ商業施設になる点もソニーストアにとって追い風となる
東西に延びるアーケード型の狸小路商店街。平日の昼間でも大いに賑わっていた
ワンフロアで展開する開放的な店内は、薄型テレビのBRAVIA、スマートフォンのXperia、携帯音楽プレーヤーのウォークマンなど、ソニーのコンシューマー向け製品をズラリ展示。発売前の新製品も先行展示していていち早く試せるのは、メーカー直営店ならではのメリットといえます。
ワイドで開放的な雰囲気の店内。製品の販売もしており、在庫があれば持ち帰れる
充実した内容の動画体験コーナーを目玉に据える
なかでも展示スペースを広く確保しているのが、ミラーレス「α」シリーズを中心としたカメラコーナー。APS-Cフォーマットの入門機からフラッグシップモデル「α1」、「FX30」などのシネマカメラ、交換レンズ、マイクなどのアクセサリーなどをズラリ展示。発売前のAPS-Cモデル「α6700」や、小型軽量化を図った望遠ズームレンズ「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」も実機を展示し、手に取って試し撮りできました。
カメラコーナーは広めで展示している製品の数が多いだけでなく、一般的な量販店では実機の展示がない高価格帯のカメラや交換レンズもしっかり置いてあった
発売前の望遠ズームレンズ「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」は、2種類のテレコンバーターを組み合わせて試せる状態で展示していた。これも直営店ならではといえる
カメラやレンズの在庫もズラリ。FX30も買ったその場で持ち帰れる
カメラコーナーの一角に設けられていたのが、新生ソニーストア札幌の目玉といえる動画体験コーナー。ここでは「スタイリスト」と呼ばれる専門的な知識を持つスタッフのレクチャーを受けながら、用意されている機材を使って動画の撮影や編集、制作、配信が実際に体験できます。
動画体験コーナー。左が撮影&配信コーナー、右が動画編集コーナーだ
動画体験コーナーは2つ用意され、1つのテーブルは動画配信者の作業デスクをイメージした撮影&配信コーナーに仕立てていました。テーブルには、リングライトを装着した自撮り用カメラや、真下に向けた商品レビュー用カメラなど複数のカメラが用意され、社外品のスイッチャーやミキサー、配信ソフトのOBS Studioを用いたYouTube配信が体験できるようにしていました。もう1つのテーブルは動画編集コーナーで、Catalyst BrowseやDaVinci Resolveなどのソフトウエアを用いた本格的な動画編集が体験できます。
動画体験コーナーでは、αやVLOGCAM、Cinema Lineのカメラだけでなく社外品のアクセサリーも用い、クリエイターの作業環境を体験できるようにしていた
動画編集コーナーでは、定番の編集ソフトを用いた本格的な動画編集が体験できる
これらの動画体験コーナーの利用は無料で、オンラインで日時や担当スタイリストを指定しての予約が可能。1回の時間は基本的に60分と長いので、ほかの人にじゃまされずマンツーマンでじっくり体験できます。これほど充実した環境での動画体験を無料で提供するのは、販売が主目的の一般的な量販店では難しく、動画に興味を持つ人の注目スポットとなりそうです。
カメラコーナーの一角には、プロのフォトグラファーやビデオグラファーに向けた有料会員サービス「ソニー・イメージング・プロ・サポート」の窓口を設け、修理や点検などのサポートを実施する体制も整えていました。
機材のメンテナンスや修理依頼に対応するプロサポートの窓口も設置
FE 135mm F1.8 GMを愛用、斎藤佑樹さんの写真展も
店内のギャラリーでは、元プロ野球選手の斎藤佑樹さんの写真展「斎藤佑樹 写真展 〜On the Mound〜」が開かれていました。引退しても自身にとって特別な場所だというピッチャーマウンドをテーマに、厳選した作品を展示。少年野球など野球をテーマにした作品をαシリーズで撮影している斎藤さんですが、今回は初めて動画の作品も展示しています。
店内ギャラリーで開かれている斎藤佑樹さんの写真展「斎藤佑樹 写真展 〜On the Mound〜」。αで撮影した初の動画作品も展示
現在はα1を愛用しているという斎藤さん、ソニーのカメラを使い始めたきっかけは、自身の投球フォームをチェックしたかったからだそう。最初に購入したのはレンズ一体型のRX100シリーズで、素早い動きをスローモーションで再生できるハイスピード撮影を重宝して使っていました。
自身で長く野球をプレイしていたからこその視点の作品を多く展示していた斎藤さん。αシリーズのカメラや交換レンズは気になったものを自腹でガンガン購入しているという
現役を引退して少年野球を精力的に撮るようになって、αシリーズのカメラや交換レンズを次々に購入。一番使っているレンズは、ズームレンズではなく単焦点の大口径望遠レンズ「FE 135mm F1.8 GM」だそう。斎藤さんの写真展は8月9日までソニーストア札幌で開かれ、今後全国のソニーストアで巡回開催します。
今回、ソニーストア5店舗の「ソニーストア スペシャルパートナー」に就任した斎藤さん。右はソニーマーケティングの粂川滋社長
若年層が集まる新しい商業施設に移転
国内の大手電機メーカーでは珍しく実店舗の直営店を持つソニーが、ソニーストア札幌を皮切りに直営店のリニューアルに乗り出しました。リニューアルのキーワードは、若年層を中心に興味関心を持つ人が増えている「動画」。専門知識を持つスタッフによるレクチャー付きの動画撮影や編集、配信が体験できる場を無料で提供するほか、商業施設の目玉である水族館を訪れた人にカメラを無料で貸し出して動画撮影を体験してもらうサービスも用意します。「ソニー製品は買ったことがないが動画制作や動画配信はやってみたい」と考える若年層に「動画ならソニー」「動画ならα」のイメージを与え、新たなソニーファンや熱心なソニーユーザーを獲得する狙いが垣間見えました。
全国5つの実店舗のなかで最も北にあるソニーストア札幌が7月20日、再開発で新たに誕生した商業施設「moyuk SAPPORO」(モユクサッポロ)内に移転オープンしました。札幌市内で最古の商店街といわれる狸小路商店街と、札幌駅とすすきのをつなぐ目抜き通りに面し、市民の足である路面電車の電停も目の前にあるなど、絶好の好立地といえます。
札幌市内で屈指の賑わいを見せる好立地にオープンした商業施設「moyuk SAPPORO」。都市型水族館「AOAO」が施設の目玉として上層階に入っているほか、人気雑貨店のロフトも9月中旬にソニーストア札幌と同じフロアにオープンするなど、若年層が多く足を運ぶ商業施設になる点もソニーストアにとって追い風となる
東西に延びるアーケード型の狸小路商店街。平日の昼間でも大いに賑わっていた
ワンフロアで展開する開放的な店内は、薄型テレビのBRAVIA、スマートフォンのXperia、携帯音楽プレーヤーのウォークマンなど、ソニーのコンシューマー向け製品をズラリ展示。発売前の新製品も先行展示していていち早く試せるのは、メーカー直営店ならではのメリットといえます。
ワイドで開放的な雰囲気の店内。製品の販売もしており、在庫があれば持ち帰れる
充実した内容の動画体験コーナーを目玉に据える
なかでも展示スペースを広く確保しているのが、ミラーレス「α」シリーズを中心としたカメラコーナー。APS-Cフォーマットの入門機からフラッグシップモデル「α1」、「FX30」などのシネマカメラ、交換レンズ、マイクなどのアクセサリーなどをズラリ展示。発売前のAPS-Cモデル「α6700」や、小型軽量化を図った望遠ズームレンズ「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」も実機を展示し、手に取って試し撮りできました。
カメラコーナーは広めで展示している製品の数が多いだけでなく、一般的な量販店では実機の展示がない高価格帯のカメラや交換レンズもしっかり置いてあった
発売前の望遠ズームレンズ「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」は、2種類のテレコンバーターを組み合わせて試せる状態で展示していた。これも直営店ならではといえる
カメラやレンズの在庫もズラリ。FX30も買ったその場で持ち帰れる
カメラコーナーの一角に設けられていたのが、新生ソニーストア札幌の目玉といえる動画体験コーナー。ここでは「スタイリスト」と呼ばれる専門的な知識を持つスタッフのレクチャーを受けながら、用意されている機材を使って動画の撮影や編集、制作、配信が実際に体験できます。
動画体験コーナー。左が撮影&配信コーナー、右が動画編集コーナーだ
動画体験コーナーは2つ用意され、1つのテーブルは動画配信者の作業デスクをイメージした撮影&配信コーナーに仕立てていました。テーブルには、リングライトを装着した自撮り用カメラや、真下に向けた商品レビュー用カメラなど複数のカメラが用意され、社外品のスイッチャーやミキサー、配信ソフトのOBS Studioを用いたYouTube配信が体験できるようにしていました。もう1つのテーブルは動画編集コーナーで、Catalyst BrowseやDaVinci Resolveなどのソフトウエアを用いた本格的な動画編集が体験できます。
動画体験コーナーでは、αやVLOGCAM、Cinema Lineのカメラだけでなく社外品のアクセサリーも用い、クリエイターの作業環境を体験できるようにしていた
動画編集コーナーでは、定番の編集ソフトを用いた本格的な動画編集が体験できる
これらの動画体験コーナーの利用は無料で、オンラインで日時や担当スタイリストを指定しての予約が可能。1回の時間は基本的に60分と長いので、ほかの人にじゃまされずマンツーマンでじっくり体験できます。これほど充実した環境での動画体験を無料で提供するのは、販売が主目的の一般的な量販店では難しく、動画に興味を持つ人の注目スポットとなりそうです。
カメラコーナーの一角には、プロのフォトグラファーやビデオグラファーに向けた有料会員サービス「ソニー・イメージング・プロ・サポート」の窓口を設け、修理や点検などのサポートを実施する体制も整えていました。
機材のメンテナンスや修理依頼に対応するプロサポートの窓口も設置
FE 135mm F1.8 GMを愛用、斎藤佑樹さんの写真展も
店内のギャラリーでは、元プロ野球選手の斎藤佑樹さんの写真展「斎藤佑樹 写真展 〜On the Mound〜」が開かれていました。引退しても自身にとって特別な場所だというピッチャーマウンドをテーマに、厳選した作品を展示。少年野球など野球をテーマにした作品をαシリーズで撮影している斎藤さんですが、今回は初めて動画の作品も展示しています。
店内ギャラリーで開かれている斎藤佑樹さんの写真展「斎藤佑樹 写真展 〜On the Mound〜」。αで撮影した初の動画作品も展示
現在はα1を愛用しているという斎藤さん、ソニーのカメラを使い始めたきっかけは、自身の投球フォームをチェックしたかったからだそう。最初に購入したのはレンズ一体型のRX100シリーズで、素早い動きをスローモーションで再生できるハイスピード撮影を重宝して使っていました。
自身で長く野球をプレイしていたからこその視点の作品を多く展示していた斎藤さん。αシリーズのカメラや交換レンズは気になったものを自腹でガンガン購入しているという
現役を引退して少年野球を精力的に撮るようになって、αシリーズのカメラや交換レンズを次々に購入。一番使っているレンズは、ズームレンズではなく単焦点の大口径望遠レンズ「FE 135mm F1.8 GM」だそう。斎藤さんの写真展は8月9日までソニーストア札幌で開かれ、今後全国のソニーストアで巡回開催します。
今回、ソニーストア5店舗の「ソニーストア スペシャルパートナー」に就任した斎藤さん。右はソニーマーケティングの粂川滋社長