働くママに立ちはだかる「小1の壁」、悲痛の声が多数寄せられた体験談

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 ワーキングマザーが増え続ける一方、避けて通れない悩みとして多く挙げられるのが「小1の壁」。保育園から小学校に上がると、子どもの帰宅時間は必然的に早くなり、授業の終わる15時頃に。多くの会社では、就学タイミングで時短制度が使えなくなるのに加え、学童保育の預かりが18時までのところが多く、お迎えが間に合わない状態に。そもそも、学童保育がいっぱいで入れないという実状もある。eltha by ORICON NEWSが20〜50代女性の小1の壁を感じた経験がある人を対象に調査したアンケートから、子育て世代が抱える「小1の壁」へのリアルな声が届いた。

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 女性の社会進出が進み、日本における共働き世帯は年々増え続ける傾向にある。企業によっては育休制度や、コロナ禍によるリモートも手伝って、一昔前よりは働きやすくなっているケースも多い。

 とはいえ、育休後の復帰に関してはまだまだハードルも。ワーキングマザーがまず直面するのが、保育園の壁だ。保育園を探す活動、通称“保活”に象徴されるように、近隣の保育園は争奪戦に。希望の保育園に入れず、電車に乗って自宅から離れた保育園に通うなど、働く母親の負担も倍増。2016年には、保育園の待機児童問題に関するブログ記事「保育園落ちた日本死ね!!!」が話題になるなど、社会問題へと発展した。

 過酷な保活を経たワーキングマザーが次に直面するのが、「小1の壁」だ。保育園時代は、朝早く預け、夜も仕事が遅くなった場合は延長が可能。近年では保育中に体操やプール、英語などの習い事をさせてくれたり、給食や夕食の頼み弁当があったりと、サービスも充実している。働く親にとっては、なくてはならない大切な場所となっている。

 しかし小学校に上がると、状況は一変。学校後に預かってくれる学童保育も、近年、待機児童問題が増加しているのだ。公設の学童には、利用の可否に書類審査が必須。面接があるところもあり、利用できるか否かは、小学校入学直前の2〜3月になることも。今年3月10日には「#学童落ちた」がTwitterのトレンドワード入りする事態となった。

 学童に入れない理由は、定員オーバーや、パートの勤務形態では利用できないなどさまざま。

「幼稚園の時は理由に関係なく預かり保育が利用できたが、小学生になると私の働き方では学童は長期休みのときしか利用できなかった。そのため、子どもの下校が早い日はそれに合わせて私も早く帰らなければならず、勤務時間をこれまでより調整する必要があり大変だった」(佐賀県/30代)

「扶養内勤務だったので、子ども園時代から14時お迎えに間に合うようにしていたが、1年生は入学当初、給食無しが多かったり、4時間授業で終わってしまうことが多く、扶養内だと学童にも入れないので、フルタイムとは違った壁を感じてしまった」(東京都/30代)

 勤務形態の都合上、学童を使えない悩みに加えて、預かり時間が短いこともネックに。入学してしばらくは給食のない期間も長く、夫婦で仕事の割合を調整したという声も上がっていた。

「学童の預かり時間が保育園より短くなったので、自分の仕事は変えていないが、配偶者の仕事をリモートに変えてもらった」(神奈川県/30代)

「入学からしばらくの間、保護者が学校まで迎えに行かなければならなかったり、それが終わっても、指定場所までの迎えが必要だったりで、仕事を早くあがらせてもらうしかなかった。祖父母が替わりにやっている人が多く、うらやましく思った」(群馬県/40代)

 「小1の壁」を感じた人を対象にした同調査では、子どもが小学校に上がる時に、時短や転職、退職など自身の生活に影響があったと答えた人は83.2%、働き方を変えたという人は、32.2%にのぼった。

「朝8時にならないと家を出られないので仕事開始時間が遅くなりました。在宅があるからなんとか続けていますが、この先学級閉鎖等があったり、コロナ5類により出社が増えるとフルタイムは難しいかなとか考えます」(京都府/40代)

「パートですが、転職もしくは主婦一択のどちらかを選択しなければと思っている最中です。帰宅時に誰もいないとパニックになって大変でした。“お仕事だから少しだけ留守番しておいてね”という言葉は全く頭に残ってなかったようです」(福岡県/40代)

 小学校になったらもっと働きたいと思っていたものの、より身動きが取れなくなったという意見も多い。

「自分の周囲も含め、子どもが小学生になったことで今までより多めに働こうと奮起するものの、実際は、学校から早く帰る日も多く、とてもじゃないけど正社員なんて無謀だと思わされます。帰ってからお友達と遊びたいとか、子ども自身にも自主性が出てくるので、子どもの都合に合わせる必要もあり、なかなか本格的に働くことができません」(千葉県/40代)

 一方で、働き方を変えていない人も53.0%にのぼる。裏を返せば、働き方を変えずに、悩みながらも両立している状態の人も多いと言うことだ。そういった「小1の壁」を乗り越えるために必要だと思うことについては、

会社の雇用形態の多様化(47.0%)、地域サービスの充実(43.0%)、政府の施策の強化 (例:学童の待機児童対策やキャリア支援など)(41.6%)、祖父母など親族のフォロー(40.3%)、民間サービスの充実(38.3%)

といった声が上がった。※複数回答

「小1の壁」問題では、生活面でも大きな変化が。「お子さんが小学1年生の時期、ご自身にどのような影響がありましたか」と聞いてみたところ

1位 趣味や自分のための時間がなくなった(31.5%)

2位 休息時間がなくなった(28.2%)

3位 育児疲れ(24.8%)

4位 収入が減った(23.5%)

5位 子どもとのコミュニケーションの時間が減った(11.4%)

と、生活スタイルに大きな影響を及ぼしていることが伺える結果となった。

 リアルな声を聞いてみると、仕事に加え、小学校生活に慣れない子どものケアや、宿題、翌日の準備などの補助、家事とやることが山積みで、休息時間が削られ、疲弊してしまうという意見が多い。

「学童のお弁当、学童の保育が保育園とは違う、平日のイベント(参観日、懇談会、PTAなど)が多い、お手紙がわかりにくい、持ち物が多い」(神奈川県/30代)

「保育園と学校では全く別になり、毎日宿題は出るし、子どもは早く帰ってくるし、家庭で準備しなくてはならないものも結構あるためとても大変だった。何より子供自身が変化に対応するのがとても大変そうできつかった」(北海道/40代)

「集団下校でも道草して遅れ気味なので付き添いに来てほしいと子ども会役員さんに言われ、パート終わったらなるべく下校に付き添うことになった。仕事終わって学校近くまで行き往復歩くのは体力的に大変でした」(愛知県/40代)

 「小1の壁」と同時に訪れるのは、平日に設定される授業参観や保護者会、PTA役員への加入、そして地域によっては当番制で行われる通学時の児童見守り業務など、「仕事をしているので」では通用しない業務が待ち構えている。

「仕事で迷惑をかけたくないと思う自分に、しばしば自己嫌悪になった。物理的なことだけでなく、子どもへの思いと、仕事への責任で板挟みになり、常に心が辛かった」(大阪府・40代)

 という意見に代表されるように、“仕事もきちんとやりたいけど、子どものこともきちんと見てあげたい”という両面で心を悩ませるワーキングマザーは多いのではないだろうか。

 親子ともに生活スタイルが変わる大きなタイミングである「小1の壁」。雇用形態の多様性や、学童の待機児童対策といった政府の制作強化などを求める声が多い中、「大変だったけど、子どもの成長を感じられた」というポジティブな声も見受けられた。様々な課題があり、人生の選択は人それぞれで正解はない。「小1の壁」を乗り越え、親も子も幸せに毎日を過ごせるような未来を願いたい。

【調査概要】

調査時期:2023年4月20日(木)〜4月25日(火)

調査対象:計149名(自社アンケートパネル【オリコン・モニターリサーチ】会員「小1の壁」を感じた経験がある20〜50代の女性)

調査地域:全国

調査方法:インターネット調査

調査機関:オリコン・モニターリサーチ(https://omr.oricon.co.jp/)