英チャールズ国王「戴冠式」を専門家が解説 秋篠宮ご夫妻の「ロイヤルブルー」とカミラ王妃の“女帝化”
レセプションでチャールズ新国王と談笑する秋篠宮さまご夫妻(写真・KCS/アフロ)
5月6日、英チャールズ国王の戴冠式が、ロンドンのウエストミンスター寺院でおこなわれた。戴冠式は、新しい君主の即位を祝福する、1000年以上続く歴史的な儀式。今回の戴冠式の特徴を、英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子氏はこう話す。
「ウクライナ情勢の影響で、物価の上昇などから国民が苦しんでいる経済状況のもと、大がかりな戴冠式にならないよう、配慮されました。人数や時間、パレードのルートの距離も減らし、縮小されました。現代の戴冠式らしく、国民の気持ちに沿ったものにしようというチャールズ国王のご意思で、簡素化されていましたね。
大部分の国民からは好意的に受け止められていますが、一部の王室研究家などからは、英国の底力や華やかさをアピールする貴重なチャンスなのに、控えめにする必要はないのではないか、という意見もありました。結果的にはどちらの意見も上手に立てて、国民の理解を得つつ、伝統や風習、慣習を守ることができた式になったと思います」
日本からは、秋篠宮さまご夫妻が戴冠式に参列された。一部では、天皇皇后両陛下や愛子さまではなく、秋篠宮さまご夫妻が参列することに疑問を呈する声も出ていたが、式にはぴったりの装いで出席されていたという。
「秋篠宮ご夫妻の扱いは、よくも悪くもなく、ほかの王室の方々と平等に扱われていたと思います。戴冠式には秋篠宮さまはモーニングを着用され、紀子さまは着物をお召しになっていらっしゃいました。着物は日本のアイデンティティでもありますし、日本人だということが一目でわかるので、とてもよかったと思います。
戴冠式前日のレセプションにご出席された際には、淡いロイヤルブルーのドレスをお召しになっていました。戴冠式は、ロイヤルのイベントのなかでも、これ以上はないほどの大きなイベントですので、ロイヤルブルーをお召しになって、英王室へのリスペクトを表されていたことが、よく伝わってきました」
一方、現地でもっとも注目を集めたのは、チャールズ国王との関係悪化が伝えられている、英王室を離脱したヘンリー王子だ。王子はこれまで、米国人の妻で元女優のメーガン妃とともに、王室との確執を明かしており、2020年1月には、“主要王族”の立場から引退することを発表している。
ヘンリー王子は、戴冠式には出席したものの、式後に主要な王室メンバーが登場した、バッキンガム宮殿のバルコニーには姿を見せなかった。
「出席するにあたり、バルコニーに出してほしい、という条件が、ヘンリー王子とメーガンさんから出ていましたが、王室として却下しました。このバルコニーに出ることができるのは、現役で公務をおこなっているワーキングロイヤルに限ると、エリザベス女王がお決めになったのです。その条件に合わないということでしょう。やはり、王室を批判する回顧録『SPARE』を出版し、露骨に攻撃的な内容を書かれたので、仕方ないことだと思います。残念ながら、国民からも『バルコニーに出してあげればよかったのに』というような声は聞こえてきませんね」
多賀氏は、今回の戴冠式を通じ、チャールズ国王の妻であるカミラ王妃の存在感が増すことが、気になるところだと話す。
「ヘンリー王子の出ることができなかったバルコニーに、カミラ王妃の孫が登場しました。今回の戴冠式の招待状では、これまで使用してきた“王の伴侶”を意味する『クイーン・コンソート』という称号ではなく、“女王”を意味する『クイーン』の称号が、初めて使用されました。イギリス国民にとっては、まだ女王といえばエリザベス女王なのですが、これからは女王といえばカミラ王妃になるわけです。実際、チャールズ国王はカミラ王妃の思いのままですから、今後はカミラ王妃の“女帝化”が危ぶまれますね」
いつの時代も、話題にこと欠かないイギリス王室。ヘンリー王子は「王室離脱」を選んだが、カミラ王妃をめぐり、“第2ラウンド”が開始されるかもしれない……。