28日の債券市場で、先物中心限月6月限は大幅に3日続伸した。日銀がこの日まで開いた金融政策決定会合で、大規模緩和策の現状維持を決定した。あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2025年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しが前年度比プラス1.6%となる見通しが示された。物価安定目標となる2%を下回る状況が続き、日銀の金融緩和策が長期化するとの見方から、先物に買いが集まった。

 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)に関しては、市場の大方の予想通り、長期金利の変動許容幅をマイナス0.5%程度からプラス0.5%程度とする現行の枠組みの修正は見送られた。また日銀は、金融緩和策の長期化を受け、金融政策運営について「1年から1年半程度の時間をかけて、多角的にレビューを行う」ことを決めたと発表した。金融政策の正常化が急速に進むことへの思惑を後退させる格好となり、債券先物の買いを誘った。

 朝方は売りが優勢だった。27日に公表された米1~3月期の国内総生産(GDP)の速報値は、市場予想を下回りながらも個人消費は増加し、米景気の堅調ぶりが示された。FRBによる利上げの長期化の可能性が意識されるなか、米国の長期債相場が下落(金利は上昇)し、円債相場の重荷となった。取引時間中には、日銀の金融政策決定会合を巡る観測報道を受け、先物が大きく上下動する場面があった。

 先物6月限は前営業日比54銭高の148円60銭で取引を終えた。現物債市場で新発10年債利回りは、同0.065%低い0.395%と急低下した。


出所:MINKABU PRESS