ダービー一本に照準を絞ったシーズンリッチ 同厩の重賞馬にもひけを取らない調教どおりの走りを見せれば一発の可能性も
2023年クラシック候補たち
第14回:シーズンリッチ
3歳馬の頂点を決めるGI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)。もちろん、最大の注目を集めるのは激戦のGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)を戦ってきた面々だ。ただ一方で、ダービートライアルなど別路線から挑む馬にも関心が寄せられる。
そうした別路線組のなかで、早くもダービー一本に照準を絞って準備を進めている馬がいる。GIII毎日杯(3月25日/阪神・芝1800m)を制してダービーに向かうシーズンリッチ(牡3歳/父ドゥラメンテ)だ。
毎日杯を勝って日本ダービーへ向かうシーズンリッチ
美浦トレセンの久保田貴士厩舎に所属する同馬は昨年10月、デビュー2戦目の未勝利戦(10月10日/東京・芝1800m)で初白星を挙げた。道中は好位2〜3番手を追走。直線半ばで先頭に立つと、後方から追い込んできた2着ロゼルの追撃も押さえて勝利した。
しかしその後は、1勝クラスの百日草特別(11月6日/東京・芝2000m)で4着、GIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)でも6着と善戦止まり。いずれも直線途中まで上位争いに加わりながら、最後は伸びきれずに終わった。
やや消化不良のレースが続くなか、2勝目を挙げたのが毎日杯だった。13頭立ての内5〜6番手でレースを進めたが、直線では前が壁になって窮屈な状態に。しかし、残り200mをきってから進路を見つけると、馬群の合間から力強く抜け出してトップでゴール板を通過した。
こうして重賞タイトルをつかんで、ダービーに直行するシーズンリッチ。厩舎サイドではデビュー前から同馬のことを高く評価していたという。その点について、関東競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。
「厩舎スタッフはシーズンリッチについて、『デビュー前から調教の動きは、厩舎に所属する馬のなかでもトップクラスでした。重賞勝ち馬イルーシヴパンサー(牡5歳)と併せても遜色ない動きだった』と話しています。ダービーに向けても、『調教どおりの走りができれば面白い』と手応えを感じているようでした」
能力の高さはスタッフもお墨付きの同馬だが、毎日杯を勝つまでは折り合い面で課題を抱えていたという。その分、満足のいく結果が残せなかったようだ。トラックマンが言う。
「スタッフによれば、レースにいくと『どうしても引っかかってしまう』とのこと。実際、百日草特別や共同通信杯ではジョッキーがかなり引っ張っていたそうです。
それが、『毎日杯は折り合いがうまくいった』とスタッフ。スムーズに運ぶことができれば、最後はしっかり伸びることを確認できて、改めて同馬への期待は高まっています。ダービーの鞍上は現在調整中のようですが、折り合いがカギになる分、誰が手綱をとるかが勝敗を左右する重要なポイントになりそうです」
現状、下馬評では伏兵の一頭にすぎないが、折り合いがついてリズムよくレースを進められれば、直線で粘り強さを発揮する可能性は大いにある。コンビを組む鞍上とともに、今後の成長ぶりにも注視していきたい。