「さらば青春の光」が無許可で動画配信し炎上した風俗嬢の「写メ日記」とは? 嬢にとっての”超重要集客ツール”写メ日記の舞台裏
人気芸人、「さらば青春の光」が運営するYouTubeチャンネルで配信されたある動画がちょっとした問題になっている。これは風俗街を盛り上げる主旨の動画だったが、結果的にひとりの風俗嬢が精神的な窮地に追い込まれる事態に。そのきっかけとなったのが、風俗嬢の書いた「写メ日記」。風俗店や風俗嬢にとって「写メ日記」とはどれほど重要なツールなのか。舞台裏を取材した。
さらば東ブクロがまたやらかした!?
3月18日に『さらば青春の光Official Youtube Channel』で配信された動画、「【風俗写メ日記バトル】プレイ後にお礼のメッセージをどれだけ書いてもらえるか対決!!」。
「さらば」の森田哲矢と東ブクロが派遣風俗店を利用し、サービス後の「写メ日記」(風俗嬢が日常の出来事や客へのお礼のメッセージを記すためのもの)でどれだけ好意的なメッセージが書かれたかをコンビで競う企画で、結果的には東ブクロが勝利となった。
しかし4月1日に公開された現代ビジネスの記事によると「企画は店に無許可で行われていた」ことが判明。さらに動画内で東ブクロを接客した女性が書いた「写メ日記」の内容が一部公開されたことで「動画視聴者に風俗嬢が特定されてしまう」事態に。
それだけでなく、東ブクロのファンによる仕業なのか「風俗嬢のSNSにDMが殺到し一時的に精神的に不安定になってしまっている」という。
「さらば」の事務所マネージャーは、同サイトの取材に対して「女性と話をした上で、謝罪をしたい」と話をしているが、騒動の収まる気配はないという。
これについて伝説の風俗誌「俺の旅」の元編集長で「フーゾクの現代史」の著者、生駒明氏は言う。
「『写メ日記』とは大きく分けてふたつあり、風俗ポータルサイトの最大手『シティヘブンネット』をはじめとした、風俗情報サイトに掲載されるものと、各店舗のものとがありますが、紙媒体の風俗情報誌がほぼ壊滅した今、風俗店や風俗嬢にとって『写メ日記』やSNSはお客さんを呼び込める唯一の需要なツールです。
それを無許可で動画企画にして結果的に女の子がバレてしまう事態となるのは営業妨害に他ならないでしょう。風俗街を活性化しようと企画したものであるのは同じ風俗ファンとして大歓迎ですが、もう少し個人が特定されないよう気を遣うことはできたのではないかと思います」
写メ日記は時間外労働である
ではそもそも、風俗嬢本人たちは「写メ日記」をどんな気持ちで取り組んでいるのか、彼女たちの本音を聞いた。複数店の派遣型風俗店に在籍する百合香さん(28歳)は言う。
「店からは“毎月1回は必ず『写メ日記』書いて”と言われたり、送迎の最中にも“書いてくださいねー”と言われたりもします。厳しい店になると“1日1本は必ず書いて”と強制されることもあるんですけど、ハッキリ言って書くのは超絶面倒くさいです(笑)」
店舗スタッフとのLINEでのやり取り。このように「写メ日記」を書くように催促されるのだとか
※百合香さんに許可を得て掲載しています
百合香さんが「面倒くさい」というのには理由がある。
「私たちが売ってるのは自分の時間だと思ってて、お客に買われた時間はその分だけサービスを頑張るけど、終わった後にお礼文を書いたり、ましてや日常のことを書くなんて時間外労働じゃんって思います…。
でも、『写メ日記』を書くことで本指(再び指名されること)してくれる場合もあるから最低限はやるって感じですね。他店では“1投稿につき500円出すから書いて”とプチボーナスが出る店もあるほどですよ」
「『写メ日記」はかなり面倒です」と打ち明ける百合香さん
百合子さんの写メ日記。お土産のお礼を書いたりしている
なんと「写メ日記」投稿にプチボーナスがつく店もあるとは驚きだ。その一方で、投稿しても一銭もボーナスが出ないにも関わらず集客に重要なツールだからと1日20投稿を常としているプロフェッショナルもいた。
都内の派遣型風俗店に勤務するアイコさん(38歳)は言う。
客の心を掴み続けるのに重要なツール
「写メ日記」を頑張って書くようになったら成績が上がった、とアイコさん
「離婚を機に一人で生きていくための家と車を買うことを目標に風俗で働き始めたのですが、半年目までは『写メ日記』は不真面目でした。でも入店1年を機に気持ちを入れ替えて他店の風俗嬢の日記を研究して頑張って書くようにしたら、常時本指20人と新規10人ほどのお客様を獲得し、毎月安定して回せるようになりました」(アイコさん)
アイコさんは「『写メ日記』は客の心を掴んだり掴み続けるのに重要なツール」だと言う。
「新規のお客さんには細かい気遣いや楽しかったことを褒めて次へと繋ぎます。一方で本指へのお礼文はあえて『今日は360分のロングコースありがとう』と時間を書いて、他の本指がやきもちを焼くように意識して書きます。
あるいはあえて「●●●してくれてありがとう」と伏せ字にして、プレイ内容を妄想させるようなことを書いたりして他の本指の嫉妬心を煽ったり。メールと違って公開日記なので“みんなが見る”ことを意識して書いてますね」
「写メ日記」だというと軽く聞こえるが、書いている本人たちは様々な工夫を凝らし、投稿する時間にまでこだわっていた。
「本指や新規客への予約のお礼を伝える時はなるべく昼には送るようにして、お店の宣伝や自分のセクシーな写真、動画の投稿は午後から夕方にして、1日20本を満遍なく投稿しています。
お客さんの中には『写メ日記』に書いてもらうことを待っている人もいるので、プレイしたその日には、あえて投稿せずに必ず翌日にするんです。お客さんを焦らすという意図もあるし、前日のプレイの余韻に浸ってもらって思い出してもらうためです」
風俗嬢にとって「写メ日記」は男性の心をくすぐり次も再び来てもらうための心理ツールだったというわけだ。“だからこそ”とアイコさんは続ける。
「風俗嬢にとって『写メ日記』は日々の自分の勤怠記録な役割にもなっているし思い出の一部です。また、プレイ内容を書いて別の本指を嫉妬させすぎてストーカー化してしまうケースもあったりと、とても神経を使って書き綴るものでもあります。
私が家と車を買うという目標があるように、今回、晒されてしまった女の子にも何か目標があったかもしれません。女の子がまた元気に働けるようになることを祈るばかりです」
※記事内の写メ日記は全て許可を得て掲載しています
取材・文/河合桃子