三笘と伊藤(26番)との連係には課題が残った印象だ。写真:サッカーダイジェスト/JMPA代表撮影

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[キリンチャレンジカップ]日本 1−1 ウルグアイ/3月24日/国立競技場

 ウルグアイとの試合前日、森保監督はこう話していた。

「(速攻は)サッカーのセオリーで絶対に持たないといけない部分。ボールを握るところが先行しすぎて、素早く攻めることを忘れてはいけない。試合をコントロールするのは理想としてレベルアップしていきたいですが、同時に相手が嫌な攻撃もやっていきたい」

 これを実践したのはむしろウルグアイのほうで、日本は苦しい戦いを強いられた。特に前半は相手の前線からのプレスに苦しみ、思うようにボールを繋げられない展開で、カウンターからいくつかピンチを招くなど、低調なパフォーマンスに終始したのだ。

 期待の三笘も見せ場は限られ、孤立するシーンも何度か見受けられた。途中出場の選手(主に伊東)が躍動感をもたらしてくれたおかげで引き分けに持ち込めたものの、どこかすっきりしない内容だった。短い準備期間での組織構築が難しいのは重々承知しているが、それでも同じような条件でウルグアイはある程度規律がとれたサッカーをしていたのだから、準備期間の短さは言い訳にならない。

 カタール・ワールドカップ後初の親善試合、第二次森保ジャパンの初陣なので、正直、ハイレベルな内容は求めていなかった。ただ、日本がやりたいことを、しかもホームゲームでまんまとウルグアイにやられてしまう脆さは気になる。
 

 前半で気になったのはチームが間延びしていた点だ。前線から最終ラインの距離が遠く、守備の局面で前からプレスで嵌めようとしても選手の距離間が悪いせいで簡単にパスを通され、ファウルで阻止するシーンも目に付いた。加えて、1トップの浅野が敵の2CBにいわば消されたせいで中央突破という選択肢がなくなり、外回りのパスが必然的に増えたことがチームの攻撃を停滞させた一因と言えた。

 伊東の打開力、西村の決定力、菅原のチャンスメイクとポジティブな側面ももちろんあったとはいえ、このゲームでどちらが試合巧者だったかと言えば、間違いなくウルグアイだった。
 何より残念だったのは、左サイドの三笘が味方のサポートに恵まれなかった点だ。例えば、三笘を敵サイドバックの裏に走らせて、それに合わせるような縦パスを入れるようなシーンは皆無に等しかった。

 いい形で三笘にボールを預けるようなアクションがウルグアイ戦ではできていない印象だ。なかでも、左サイドバックの伊藤とのコンビネーションはいまひとつのように映った。カタール・ワールドカップのコスタリカ戦でも左サイドがあまり機能しなかった事実も踏まえると、あくまで私見ながら、三笘と伊藤のプレースタイルは相性が良くないのではないかという結論に行き着いてしまう。

 三笘に強引にボールをつけてよさそうな場面でも伊藤は横パスかバックパスを選択。もちろんすべてのプレーがそうではなかったが、特に後半はそういうシーンが目についた。  

 躊躇せず、多少厳しいパスでもいいから、三笘に預けても良いというのが持論だ。今回のウルグアイ戦はワールドカップの試合ではなく、フレンドリーマッチである。ならば、多少強引なチャレンジをしてもいいのではないか。

 サッカーにおいて、プレーの相性は極めて重要なファクターだ。その意味で、カタール・ワールドカップのコスタリカ戦に続き、今回のウルグアイ戦でもそこまで呼吸が合わなかったと言える三笘と伊藤の同時起用はリスキーなのかもしれない。

 いずれにしても、三笘が活きるサポート体制を築くべきだろう。単純に三笘個人の突破力に頼っていては、“戦術・三笘”と言われたカタール・ワールドカップからの進化は望めない。ブライトンでのプレーを見れば分かる通り、周りに活かされてこそ三笘は本領を発揮できるはずだ。日本の左サイドが機能して、そちらに敵の警戒心が向けば、逆サイドの伊東や堂安はより輝くはずである。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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