NASA、ハビタブルゾーンにある地球型惑星を新たに発見 赤色矮星を周回
赤色矮星を周回する地球型惑星がはじめて発見されたのは2013年のことで、プロキシマケンタウリbと呼ばれている。この惑星は地球からの距離がわずか4.2光年しか離れておらず、しかもハビタブルゾーンにあり、生命が誕生している可能性もある。もしも知的生命体が存在していたならば、電波による直接交信が可能な領域であるため、非常に大きな関心が寄せられている。
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そしてNASAは1月、赤色矮星を周回する新たな地球型惑星を発見したと発表した。TOI-700 eと命名されたこの星は地球から約100光年の距離にあり、比較的地球に近く、ハビタブルゾーンにある生命誕生の可能性が期待できる惑星として注目される。この赤色矮星では以前にもハビタブルゾーンに惑星が見つかっており、今回が2個目の発見となる。
ハビタブルゾーンとは、液体の水が存在できる温度領域を指し、赤色矮星は太陽と比べて暗く低温のため、そのハビタブルゾーンは主星に非常に近い領域となる。例えばプロキシマケンタウリbの公転半径は約0.05天文単位で、地球と太陽の距離の20分の1しかない。TOI-700 eの公転半径は明示されていないが、地球が太陽から受ける照射量の1.27倍程度の照射を主星から受けていると見積もられている。
TOI-700 eの半径は地球の0.953倍で、87%の確率で岩石惑星である可能性が高いとされる。また主星を周回する公転周期は27.8日で地球の1年の12分の1以下と、1カ月にも満たない。主星に非常に近い領域を公転するため、潮汐力の影響が非常に大きく、地球を周回する月と同様に自転周期と公転周期がほぼ同じであるとも考えられている。
赤色矮星を周回している惑星が注目されるゆえんは、その寿命が数十兆年と桁違いに長いために、あと50億年ほどで太陽と運命を共にして滅びてゆく運命にある地球とは違い、生命進化に費やすことのできる時間がほぼ無限に用意されている点だ。
実は、ハビタブルゾーンを周回する地球型惑星はまだ12個しか発見されていない。その意味において地球に比較的近く観測がしやすいTOI-700 eは、生命をはぐくむ可能性のある惑星の研究にとって格好の観測対象となり続けていくことだろう。