スマートフォン向け写真共有アプリ「Snapchat」を運営するSnapが、OpenAIの大規模言語モデルであるGPT-3シリーズの関連技術を用いたチャットボット「My AI」を立ち上げ、有料サブスクリプションサービス「Snapchat+」に試験的ながら実装することを発表しました。

Say Hi to My AI

https://newsroom.snap.com/en-US/say-hi-to-my-ai

Snapchat releases ‘My AI’ chatbot powered by ChatGPT - The Verge

https://www.theverge.com/2023/2/27/23614959/snapchat-my-ai-chatbot-chatgpt-openai-plus-subscription

Snapは、「My AIは、あなたの親友への誕生日プレゼントを提案したり、長い週末にハイキング旅行を計画したり、夕食のレシピを提案したり、チェダーチーズが大好きな友人のためにチーズで俳句を一句詠んだりすることもできるのです。My AIに名前をつけたり、チャット用の壁紙をカスタマイズしたりして、自分だけのAIを作りましょう」とアピールしています。

My AIはアプリのチャットタブでフレンドとの会話欄の上に表示される予定で、最初は月額3.99ドル(約540円)で利用できるSnapchat+の加入者のみが利用できますが、Snapのエヴァン・シュピーゲルCEOは「最終的にはSnapchatのユーザー全員がMy AIを利用できるようにすることが目標です」と述べています。



ただし、シュピーゲルCEOは「すべてのAIを搭載したチャットボットと同様に、My AIは幻覚を起こしやすく、だまされて何でも言うようになる可能性があります。不具合の多さをご承知の上、予めご了承ください」と述べ、AIであるがゆえに誤ったこともしゃべってしまう可能性を認めています。

My AIは「OpenAIの最新GPT技術」を採用しているとのことで、いわば「ChatGPTのSnapchat版」といえますが、ChatGPTと大きく違うのはSnapchatによって回答できる内容に制限がかかっているということ。SnapchatのMy AIは「偏った情報、不正確な情報、有害な情報、または誤解を招く情報を避けるように設計されている」とのこと。実際にThe VergeがMy AIに学術的なエッセイを書かせようとしたところ、My AIに断られたそうです。

The Vergeは、SnapがOpenAIの「Foundry」を利用している顧客の1社だと指摘しています。FoundryはGPT-3.5などの新しい機械学習モデルを実行できるコンピューター資源と開発者プラットフォームで、「大規模なワークロードを実行する最先端の顧客」向けに2023年2月から提供されています。Snapが「OpenAIの最新GPT技術」にアクセスでき、スマートフォン上でGPT技術をベースとしたチャットボットを動作可能にしているのは、このOpenAIのFoundryを利用しているからだと考えられます。



The Vergeは「My AIはまだ始まりに過ぎませんが、Snapにとっては主要な投資分野であり、Snapが『人間と会話するようにAIとの会話するようになる未来が訪れる』と考えていることを示しています」とコメントしました。