杉並区のおすすめの街3選! 都心近接で便利&緑も豊富なエリアの魅力を徹底解説
「古着の街」として有名な高円寺のほか、阿佐ヶ谷や荻窪など、人気の街を擁する杉並区。杉並区には活気ある商店街が多く、駅周辺は多彩なお店でにぎわっていますが、少し歩くと雰囲気は一転、緑あふれる公園や閑静な住宅街が広がっています。
新宿や渋谷、東京、大手町、銀座など都心へ好アクセスな立地ということもあり、学生や社会人シングル、ファミリーなど幅広い層に人気です。昨年、初の女性区長が誕生し話題にもなりました。今回は、そんな杉並区で暮らす魅力と住宅事情について紹介します。
武蔵野台地のほぼ中央に位置 かつての農村地帯が人気の住宅地に変貌
杉並区は東京23区の西側に位置し、東は中野区、渋谷区、西は三鷹市、武蔵野市、南は世田谷区、北は練馬区と接しています。杉並区の面積は、34.06平方キロメートルで東京23区中8番目の大きさ。武蔵野台地のほぼ中央に位置し、地勢は平たんで善福寺川、神田川、妙正寺川が西から東へ向かって流れています。
杉並区は江戸時代、多くの住民が農業に従事する農村地帯でした。市街化が大きく進んだのは、鉄道の開業後から。1891年に新宿~立川間を結んだ甲武鉄道(現・JR中央線)の駅として荻窪駅が開業。1922年に高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪の3駅が新設され、関東大震災の影響もあり、人口流入が加速しました。
1932年には杉並区が誕生し、区政がスタート。人口14万6,560人、世帯数3万1,583世帯だった街は、2023年2月1日時点で人口57万598人。世帯数32万5,845世帯の規模へと発展しました。
【杉並区のデータ】
総面積…34.02平方キロメートル
人口…57万598人(2023年2月1日時点)
世帯数…32万5,845世帯 (2023年2月1日時点)
杉並区で暮らす魅力は、交通、買い物、公園や自然などバランスのとれた生活環境。2022年5月に実施された「第54回杉並区区民意向調査」によれば、定住意向について「住み続けるつもり」が61.5%、「当分の間は住み続けたい」が28.6%。合計では、90.2%と9割を超える人が定住意向を示しています。
また、「住みよいまち」と思うかについては、「住みよい」が46.1%、「まあまあ住みよい」が50.1%と、こちらも96.2%が「住みよい」と考えています。杉並区は住みやすく住み続けたい街として多くの人に支持されているようです。
「住みよい」理由として挙げられるのが、生活環境のバランスの良さ。自宅周辺の生活環境に対する質問に対しては、「生活環境全般」を「良い」26.9%、「まあ良い」67.9%と多くの人が評価しています。
「良い」が高い数値を示す項目は、「交通の便」61.8%、「買物の便」52.8%、「緑の豊かさ」41.0%、「公園や広場」(31.4%)、「みどりや水(河川等)とのふれあい」(28.8%)の順。交通、買い物に加え、憩いの場があることが高く評価されています。
新宿駅や東京駅に直通 JR中央線や東京メトロ丸ノ内線など軽快なフットワーク
杉並区内には、JR中央線の高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪の4駅をはじめ、東京メトロ丸ノ内線、京王井の頭線、京王線、西武新宿線といった5路線の19駅があります。商業・ビジネスの中心地である新宿駅や東京駅へスムーズにアクセスできる街が多く、たとえば、高円寺駅から新宿駅はJR中央・総武線各駅停車で約10分。荻窪駅から新宿駅はJR中央線利用で10分台、東京駅までは20分台でアクセス可能。荻窪駅は東京メトロ丸ノ内線の始発駅でもあり、東京メトロ東西線の乗り入れもあります。
また、ほぼ平たんな地形で、区内には環状7号線や環状8号線も通り、バス路線も充実しています。電車の移動だけでなく、徒歩や自転車での移動がしやすいことも杉並区で生活する魅力と言えるでしょう。
2019年には、それまで支線だった東京メトロ丸ノ内線の中野坂上~方南町間の運行が直通で池袋まで往来できるようになりました。都心へスムーズにアクセスできる駅が多い点は、杉並区の魅力となっています。
また、駅前の商店街など買い物がしやすいことも杉並区の魅力です。そのなかでも、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪といったJR中央線の駅は、商店街が東西南北へと広がり個性的なお店がたくさん並んでいます。また、買い物施設に加え、食堂やカレーの専門店、中華など多彩なジャンルの飲食店がそろっている点も特色です。
古くからの住宅街でもある西荻窪の南口駅前から久我山方面へ向かって歩くと、「なみじゃない、杉並! 中央線あるあるPROJECT」のフラッグとともに低層建物に入ったお店が連なります。ひいきのお店を見つけるのも杉並区で暮らす楽しみと言えるでしょう。
大田黒公園や和田堀公園、善福寺公園など豊かな自然が寄り添う街
杉並区は、善福寺川や神田川、妙正寺川といった河川が流れる自然が身近にある街です。善福寺池、妙正寺池、井の頭池といった池も近くにあり、湧水が流れる場所としても知られています。上井草、井荻、高井戸、桃井など井戸の「井」が入った地名や、沼や水が入った地名があることからも、水利に恵まれた場所だったことが想起されます。
杉並区は公園面積が広いわけではありませんが、区内には和田堀公園、善福寺公園など、水辺を抱く公園や緑地が多数あります。浜田山の三井の森公園、下高井戸の下高井戸おおぞら公園、工場跡地の街区整備としてつくられた荻窪の桃井原っぱ公園など、区内の各所に区立公園が点在していることも憩いの場が多いと感じる理由でしょう。
また、井の頭公園のある人気の街である吉祥寺(武蔵野市)には、JR中央線や京王井の頭線で短時間にアクセスできます。オフタイムも渋谷、新宿、吉祥寺といったスポットに短時間でアクセスしやすいのは、杉並区で暮らすメリットと言えるでしょう。
杉並区の街は住居系エリアが中心 マンション供給は限定的
杉並区は農地が住宅街へと移り変わった場所が多く、住宅用地が高い比率を占めます。そのため、工場跡地などがマンション用地に転用されるケースは限られ、新築マンションの供給も駅周辺の商業地や社宅跡地などに限定されています。
また、マンションの規模も小・中規模マンションの分譲が中心になっています。一方、小規模な新築戸建ての分譲は活発で、杉並区の広範囲なエリアで販売されています。
杉並区は、沿線によって雰囲気がずいぶんと異なります。JR中央線沿線は商店街が広がり繁華性が高い一方、西武新宿線や京王井の頭線は落ち着いた住宅街が広がります。なかでも、永福町や西永福、浜田山など京王井の頭線沿線は、区画整理した邸宅街が多く見られます。こうした邸宅街は、敷地面積が200平方メートル超と広々した敷地が多く、土地価格だけで数億円する物件もあります。
杉並区内の新築戸建ての販売事例を見ると、土地面積を狭くして価格を抑える戸建て分譲が目立ちます。なかには、荻窪や阿佐ヶ谷などJR中央線沿線でも、駅徒歩圏で6,000万円台の新築戸建てが分譲されているケースも。新築マンションの供給は限られており、人気エリアだけに価格も相応の設定になっています。70平方メートル以上の3LDKタイプであれば、1億円前後の予算は必要になるでしょう。
中古マンションの流通も活発です。億ションが目立つ都心エリアに比べると、杉並区の中古マンション価格は抑えられています。地域を絞って探すのなら、中古マンションも含めて検討するべきでしょう。
次に、杉並区の筆者おすすめの街を紹介します。
にぎわいと憩いのスポットが身近にある荻窪 東京メトロ丸ノ内線とJR中央線で新宿駅・東京駅に直通
一つ目のおすすめの街は、荻窪駅です。荻窪駅は、JR中央線と東京メトロ丸ノ内線の2路線が利用可能。東京メトロ丸ノ内線の始発駅でもあります。青梅街道が近くを通る交通の要衝で、ルミネ荻窪や荻窪タウンセブンといった商業施設が駅前にあり、荻窪南口仲通り商店会などの商店街が駅周辺に広がっています。
また、邸宅跡が公園になるなど、憩いのスポットも豊富です。大田黒公園は、音楽評論家の故大田黒元雄氏の邸宅跡地を、杉並区が整備して開園したもの。園内には樹齢100年を超えるイチョウ並木をはじめ、ケヤキ、アカマツ、シイノキなどの巨木が茂り、数寄屋造りの茶室、レンガ色の記念館が保存されています。
また、俳人で角川書店の創設者である故角川源義氏の旧邸宅を、杉並区が寄贈を受け整備した角川庭園もあります。荻窪駅の南側は善福寺川に向かう高台になっており、落ち着いた邸宅が立ち並んでいます。街のにぎわいと静かな生活環境を求める人に、荻窪の戸建てやマンションはおすすめです。
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アーケードのある商店街が魅力の阿佐ヶ谷 南阿佐ヶ谷駅前には杉並区役所が立地
二つ目のおすすめの街は、阿佐ヶ谷駅です。JR中央線阿佐ヶ谷駅から中杉通りを南に進むと東京メトロ丸ノ内線の南阿佐ヶ谷駅に着きます。直線距離で約600メートル。ほぼ同じ生活圏と言ってよいでしょう。南阿佐ヶ谷駅前には杉並区役所があるなど、公益施設もそろっています。
阿佐ヶ谷駅の魅力は、商店街などの街のにぎわい。アーケードのある阿佐谷商店街振興組合をはじめ南阿佐ヶ谷すずらん通り商店街などもあり、一人でくつろげるカフェなど多彩なお店が並びます。
中杉通りのケヤキ並木など、緑豊かな環境も阿佐ヶ谷の魅力。善福寺川緑地の桜並木も有名で、春の開花時期は多くの人でにぎわいます。
人気エリアでもあるため、阿佐ヶ谷駅の中古マンション流通は限られます。駅徒歩10分圏の築浅の3LDKタイプであれば、8,000万円程度の予算は必要です。
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阿佐ヶ谷駅 / 南阿佐ヶ谷駅
再開発が進む新宿副都心へ約5キロメートル圏の方南町 東京メトロ丸ノ内線の始発駅から都心直通
三つ目のおすすめの街は、方南町駅です。2019年に東京メトロ丸ノ内線の池袋方面への直通運転がスタート。新宿駅とは約5キロメートル圏と、杉並区内でも都心近接のエリア。新宿では(仮称)新宿駅西口開発事業が進行中で、方南町駅の拠点性は将来さらに高まりそうです。駅前には方南銀座商店街などの商店街が広がり、スーパーなど買い物施設も充実しています。
また、方南町駅から徒歩20分ほど歩くと、善福寺川沿いに広がる和田堀公園があります。26万平方メートルを超える面積があり、さまざまな広場やジョギングコースも。家族でくつろげる広々した憩いのスポットが身近にあるのは、方南町に暮らす魅力でしょう。
JR中央線沿線と比べると求めやすい価格で、中古マンションならとれた2LDKタイプで5,000万円台、3LDKタイプなら6,000万円台から検討可能です。通勤利便性も高い街なので、共働きのファミリーやシングル層も暮らしやすくおすすめです。
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認可保育園が増え、子育て環境充実 災害リスクには留意を
住みやすいと感じる人が多い杉並区ですが、留意点は災害リスクが小さくないことです。東京都が行った「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)(令和4年9月公表)」によれば、杉並区は相対的に危険度が高いとされる4に指定されている地域が多くあります。農地から市街化が進んだため道路が狭いところが多いことや、築年数の古い木造住宅が密集していることも一因です。また、妙正寺川、善福寺川、神田川が流れており、低地では水害リスクにも備える必要があります。
バランスの取れた生活環境の杉並区で、注目なのは子育て環境です。2022年4月1日の杉並区の待機児童数は、5年連続となる0人。認可保育所数は190ヶ所、2010年比で約3.3倍に、認可保育所整備率は約2.4倍と増加しています。交通アクセスが良好で、買い物もしやすく公園も豊富な杉並区は、共働きファミリーにとって暮らしやすい街と言えるでしょう。
ちなみに、「第54回杉並区区民意向調査」によれば、「隣近所との人間関係」について「良い」「まあ良い」と答えた方の合計が87.5%にも上ります。商店街が身近にあり、顔の見える近所付き合いがあるのも杉並区の魅力かもしれません。住んでいる人が暮らしやすさを実感している杉並区。新居の候補地として、検討してみてはいかがでしょうか。
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